子どもと親権 / Q&A

別居するとき子供をどうする?連れて出る前に考えたいこと

この記事のもくじ
  1. 別居しても親権は変わらない:子の居所は共同で決める事項
  2. 場面で分かれる:連れて出る前の4つの道
  3. 連れて出る前に、確かめておく7つのこと
  4. 浮気が原因の別居で、子どもについて気をつけること
  5. 相談先と、弁護士に見せる整理

別居するとき子どもを連れて出てよいのかは、婚姻中は父母の双方が親権者であることから考えます。2026年4月に改正後の民法が施行されましたが、婚姻中の親権のしくみは基本的に同じで、別居しただけで親権が一方に移ることはありません。子の転居は、共同で決めるのが基本の事項です。ただし、暴力や虐待から避難する場合など、急迫の事情がある場合は一方だけで動けます。この記事では、連れて出る前に考えること、場面ごとの分かれ道、相談先を整理します。

別居しても親権は変わらない:子の居所は共同で決める事項

民法818条2項は、父母の婚姻中は父母の双方を親権者とすると定めています。別居していても離婚していない以上、双方が親権者のままで、親権は父母が共同して行うのが原則です(民法824条の2第1項)。

法務省のQ&Aによると、子の転居は、同じ学区内の移動も含めて、原則として「監護及び教育に関する日常の行為」には当たらず、一方だけでは決められない事項です。例外として一方が単独で動けるのは、次のときです。

  • 他方が親権を行うことができないとき
  • 子の利益のため急迫の事情があるとき。DVや虐待からの避難(子の転居を含む)、緊急の医療が必要なとき、入学手続の期限が迫るときが、法務省の挙げる例です。DVや虐待は、現に被害を受けている最中に限られず、加害行為が今は行われていなくても、急迫の状態が続いていると認められることがあります。

例外にあたらないのに、共同で行うべき子の転居を無断で行った場合はどうなるか。法務省のQ&Aは、その経緯や態様によっては、親権者の指定・変更や親権停止の審判で考慮されることがあり、侵害の程度によっては損害賠償の責任が生じることもある、と説明しています。民法817条の12第2項の、父母が互いに人格を尊重し協力する義務との関係でも、正当な理由のない無断の転居が、事情によっては義務違反と評価されることがあります。

ここで読み違えやすい点があります。「連れて出ると親権が不利になる」と一律に言えるわけでも、「連れて出たほうが有利」と言えるわけでもありません。判断は個別の事情を総合して行われ、どちらかに立証の責任を課す考え方でもないと、法務省は説明しています。

場面で分かれる:連れて出る前の4つの道

場面の整理:状況別の進め方
場面 進め方 主な連絡先
A 暴力・虐待があり、避難が必要 急迫の事情にあたりうる。安全を最優先に、先に窓口へ。無断の転居でも、避難のためなら義務違反にはならないと法務省は説明 110番、DV相談ナビ #8008、児童相談所 189
B 話し合いができる 子の居所、学校、生活費、親子交流を話し合い、メールや合意書で残す 弁護士、別居の合意書の記事
C 話し合えないが、危険はない 無断で動く前に、家庭裁判所の調停(子の監護者の指定、親権行使者の指定など)を検討する 家庭裁判所、法テラス
D 相手が先に子を連れて出た 子の引渡しの調停を検討する。連れ戻しの前に手続きを確かめる 家庭裁判所、弁護士

場面Aは、安全を先にします。 暴力や脅しがある、子どもに危害が及ぶおそれがあるときは、今すぐの危険なら110番、避難や住所を知られない手続きの相談は配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008)です。番号と受付時間の一覧は浮気・不倫の相談先一覧の記事に、避難のための持ち物や手続きはDVから逃げる準備の記事にあります。法務省のQ&Aも、DVや虐待から避難するための転居は、父母相互の協力義務に違反するものではないとしています。

場面BとCは、連れて出る前の話し合いが分かれ目です。 話し合いができるなら、次のように具体的に切り出すと、ことが進みます。

文例:「来月から別居したいと考えています。子どもは当面、私と〇〇市で暮らし、学校のことは別に相談したいです。あなたと子どもが会う日は、ここで決めておきたいです。今週中に話せる日を教えてください。」

話し合いが進まない、または顔を合わせるのが難しいときは、家庭裁判所の調停を使えます。裁判所のQ&Aは、子がどちらの親と暮らすかで折り合いがつかないときの監護者の指定の調停、共同で行うべき特定の事項(居所の決定を含む)の親権行使者を決める調停・審判があると案内しています。ただし、特定の事項の親権行使者を、私的な文書だけで定めることは想定されていません。

連れて出る前に、確かめておく7つのこと

  1. 子ども自身の気持ちと年齢。 手続きの場面では、子の意思を把握するよう努めることが家庭裁判所に求められ、15歳以上の子の陳述は聴かなければならないとされています。親の事情だけで決めず、子に年齢に合わせて伝える機会を作ります。
  2. 学校・園の変更。 転校は共同で行うべき事項です。手続きは離婚・別居で子供が転校するときの記事にまとめています。
  3. 別居先で暮らす人と部屋。 子の生活が落ち着くよう、部屋の広さや通学の距離を、先に決めておきます。
  4. 生活費。 別居中の生活費は婚姻費用として請求できます(別居の準備チェックリストの記事で、お金・書類・子ども・住まいをまとめて確かめられます)。
  5. 手当と保険。 児童手当は、父母が離婚協議中などで別居している場合は、子と同居している人に優先して支給されます。申請は現住所の市区町村で、遅れた月分は原則受けられません(こども家庭庁)。
  6. これまでの養育の記録。 送り迎え、通院、学校とのやりとりを誰が担っていたかを、日付つきで書き出します。後で親権や監護が争われる場面で、養育の状況が聴かれるためです。
  7. 相手と子の交流。 民法817条の13は、離婚前の別居中にも、子と別居する親の交流を協議で定め、まとまらなければ家庭裁判所が定めると規定します。連れて出た後に子と会う機会をどう作るかも、先に考えておきます。

浮気が原因の別居で、子どもについて気をつけること

浮気が別居の理由でも、子の居所や監護の判断は子の利益を軸に行われます。浮気を理由に子どもを連れて出ること自体は、民法の規定上、特別な扱いを受けるものではありません。浮気をした側か、された側かで、親権の判断がどう変わるかは浮気した親は親権をとれない?の記事で扱います。

子どもに浮気の事情を伝えるかどうか、相手の悪口をどこまで言うかも、気をつけたい点です。民法817条の12は、父母が子の人格を尊重し、互いに人格を尊重して協力するよう求めています。法務省のQ&Aは、暴言や誹謗中傷が義務違反と評価されうる例に挙げています。親の気持ちを子に向けない工夫は浮気と子供の記事にあります。

相談先と、弁護士に見せる整理

子どもをどうするかの相談先は、次のように使い分けます。

  • 家庭裁判所の窓口: 調停の申立て方法を案内してもらえます。
  • 法テラス(日本司法支援センター): 弁護士費用が心配なときの入口です(0570-078374)。
  • 養育費・親子交流相談支援センター: 養育費と親子交流の取り決めの相談先です(番号は相談先一覧の記事)。
  • 弁護士: 連れて出ることが後の親権の判断にどう響くかなど、個別の見通しは弁護士の仕事です。

相談の前に、次の項目を一枚にまとめておくと、話が早く進みます。子どもの氏名と生年月日、学校・園、別居の予定日と別居先、これまでの養育の分担、暴力や脅しの有無とその記録、相手に伝えた内容と返事です。親権の仕組み全体は親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方の記事にあります。

よくある質問

Q. 子供を連れて出ると、親権をとれなくなりますか?

連れて出たこと自体で親権が決まる、あるいは失われるという規定はありません。ただ、共同で決めるべき子の転居を、例外にあたる事情もないまま無断で行った場合は、経緯や態様によっては、後の親権者の指定や変更の審判で考慮されることがあると、法務省のQ&Aが述べています。連れて出る前の話し合いと記録が、判断の材料になります。

Q. 先に配偶者が子供を連れて出て行ってしまったら、どうなりますか?

離婚前でも後でも、連れ去られた子の引渡しを求める調停を家庭裁判所に申し立てられます。子がどちらの親と暮らすかで折り合いがつかないときは、監護者の指定の調停も利用できます。実力で連れ戻すと別のもめごとになりかねないので、先に家庭裁判所の窓口か弁護士に手続きを相談してください。

Q. 別居中でも、子供と別居した親は会えますか?

会えるかどうかは、父母の協議で決めます。民法817条の13は、離婚の前の別居中にも、子と別居する親と子の交流について、父母の協議で定め、まとまらなければ家庭裁判所が定めると規定しています。浮気が原因の別居でも、交流の定めは子の利益を最優先に考える点は同じです。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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