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財産分与の対象になる財産・ならない財産の早見表と判断が分かれる例

この記事のもくじ
  1. 対象になる財産・ならない財産の早見表
  2. 判断が分かれる財産の例:何が分かれ目になるか
  3. 自分の財産一覧の作り方
  4. 浮気との関係と、次に読む記事

財産分与の対象になるのは、婚姻中に夫婦の協力で取得し、または維持した財産です。裁判所の家事事件Q&Aは、建物、土地、預金、株式などを例に挙げています。反対に、婚姻前から各自が持っていた財産、婚姻中でも相続や贈与で一方が取得した財産、社会通念上一方のものとみられる衣類や装身具などは、対象にならないと考えられているとされます。

この記事は、その線引きを早見表にして、判断が分かれやすい財産の例と、自分の財産一覧の作り方を示します。条文では、民法762条が夫婦の一方が婚姻前から持つ財産と婚姻中に自分の名前で得た財産を「特有財産」とし、夫婦のどちらのものか明らかでない財産は共有と推定すると定めています。768条3項は、家庭裁判所が婚姻中に取得・維持した財産の額や寄与の程度を考慮して分与を決めると定めています。つまり、通帳や登記の名義が一方のものでも、婚姻中の収入で築いたものなら、分与で見る対象に入りうるということです。名義は出発点で、結論は協力の実態で見ます。

対象になる財産・ならない財産の早見表

早見表:財産ごとの一般的な扱い(2026年10月23日時点)
財産 一般的な扱い 判断が分かれる点 集めたい資料
預貯金(婚姻中に貯めたもの) 対象。名義がどちらでも見る 別居後に入った給与を含めるか、基準日をいつにするか 通帳・取引履歴、残高証明書
結婚前の預貯金 特有財産で対象外 婚姻中の生活口座に混ざったとき 結婚時点の残高が分かる古い通帳
不動産(婚姻中に取得) 対象 頭金に親の援助や結婚前の貯金が入っているとき 登記事項証明書、売買契約書、固定資産評価証明書
住宅ローン 家の価値との差で見る 家の価値よりローンが大きいとき ローンの残高証明書、契約書
自動車 対象になりうる 年式による価値、ローン残 車検証、査定額
株式・投資信託 対象。婚姻中に買ったもの 結婚前から持っていた銘柄の値上がり分 取引報告書、残高明細
生命保険・学資保険 解約返戻金がある契約は、その金額が材料になる 契約者・受取人と保険料を払った人が違うとき 保険証券、解約返戻金の試算
退職金 支給済みなら預貯金等と同じ入口で見る。将来分は退職金の記事で 支給前の見込額をどう扱うか 退職金規程、会社の試算
厚生年金の記録 財産分与ではなく年金分割の手続 割合は合意または裁判所が決める 年金分割のための情報通知書
相続・贈与でもらった財産 一方が取得したものは対象外と考えられている 夫婦の生活費に使って混ざったとき 遺産分割協議書、贈与の記録
衣類・装身具・趣味の品 一方の固有物とみられるものは対象外 高額な宝飾品、コレクション 購入時の領収書、鑑定額
借金(婚姻中の生活費のため) 差し引く材料になりうる 浪費やギャンブルの借金 借入先の残高証明、使途の記録

年金は表のとおり、財産分与とは別の窓口です。日本年金機構の説明では、分割の対象は厚生年金の記録で、離婚等をした日の翌日から5年以内(2026年4月1日より前の離婚は2年以内)に請求します。仕組みは年金分割とは?合意分割と3号分割の違いと手続きの流れ・請求期限に分けて書いています。

判断が分かれる財産の例:何が分かれ目になるか

どの財産も、夫婦の協力で取得・維持したのか、一方だけのものなのかという一本の問いに行き着きます。結論そのものは事案次第ですが、分かれ目になる点は決まっています。

  • 結婚前の貯金が生活口座に混ざった。 切り分けられるのは、結婚した日の残高と、その後の入出金を追える通帳があるときです。資料がないと「どこまでが特有か」を示しにくくなります。
  • 親から贈与された頭金で家を買った。 頭金の出どころ(贈与の記録、親の口座からの振込)と、その後のローン返済を誰がしてきたかの両方が材料になります。
  • 一方が相続した財産が、婚姻中に増えた。 相続した財産そのものは対象外と考えられていますが、その維持や増加に配偶者が関わったかどうかが論点になりえます。
  • 別居後に増えた・減った財産。 どの時点の財産を見るか(算定の基準時)が争点になります。裁判所の財産分与の事情説明書にも、対立すると思われる点として「算定の基準時(別居の時期)」を選ぶ欄があります。
  • 子ども名義の預金。 名義が子でも、出どころが夫婦の収入なら、家計の貯蓄として話題になることがあります。
  • 一方が営む事業や法人の持分。 個人の財産と事業の財産の線が資料で引けるかどうかが先に問われます。

別居前後のお金の動きの扱いは、別居前の預金引き出しはどこまで?財産分与との関係と記録の残し方に分けています。

自分の財産一覧の作り方

調停を申し立てるときも、話し合いで決めるときも、一覧がないと対象の範囲の議論が始まりません。次の順に作ります。

  1. 基準日を仮に決める。 別居した日、または離婚を決めた日の残高を基準日にして、その日の金額を書きます。
  2. 財産と借金を分けて書き出す。 預貯金、不動産、保険、有価証券、車、退職金の見込み、ローンを項目別に並べます。
  3. 名義と取得時期を書く。 結婚前か婚姻中か、相続・贈与かを欄で分けます。
  4. 特有財産の候補に印を付け、資料を探す。 結婚時の通帳、贈与の記録、遺産分割協議書などです。
  5. 相手側の財産で分からない部分を空欄のまま残す。 空欄がある場合の調べ方は財産分与で隠し財産が疑われるとき:開示を求める手続きと調べ方で説明します。

裁判所の財産分与請求調停の案内によると、申立てには、夫婦の財産に関する資料として、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しまたは残高証明書などが標準的に必要になります。調停では、対象となる財産の範囲などについて双方に確認し、必要な資料を出してもらったうえで、助言やあっせんが行われます。

浮気との関係と、次に読む記事

裁判所の案内が示す対象の基準は「夫婦の協力で取得・維持したか」で、浮気をしたかどうかは基準に出てきません。浮気の有無と分与の額の関係、慰謝料との切り分けは浮気した側も財産分与を受けられる?慰謝料との関係の整理で確かめます。基本の期限(離婚の時から5年、2026年3月31日以前の離婚は2年)と割合の考え方は財産分与とは?対象・割合・請求の期限(離婚から5年)の基本を整理にあります。

次の記事は退職金です。支給前か支給後かで考え方が分かれるため、財産分与で退職金は対象になる?支給前・支給後で変わる考え方で別に扱います。家そのものをどうするかは財産分与で家はどうする?売る・住み続ける・名義を移す3つの選択肢です。個別の財産が対象になるか、どの割合で分けるかといった判断は弁護士の領域なので、一覧を持って相談に行くと話が早く進みます。

よくある質問

Q. 夫(妻)名義の財産でも、財産分与の対象になりますか?

名義だけで決まるわけではありません。裁判所の家事事件Q&Aは、対象を「婚姻中に夫婦の協力で取得し又は維持した財産」と説明しています。名義が相手でも、婚姻中の収入から積み立てた預金などは、この説明に当てはまるかどうかを資料で見ていくことになります。

Q. 結婚前に貯めた貯金や親からもらったお金は、まったく対象外ですか?

裁判所のQ&Aは、婚姻前から各自が持っていたものと、婚姻中でも相続・贈与などで一方が取得したものは、対象にならないと考えられていると説明しています。ただし生活費の口座に混ざってしまうと、どこまでが特有財産かを示す資料が要ります。古い通帳や贈与の記録を残しておくと切り分けやすくなります。

Q. 住宅ローンが残っている家も対象ですか?

婚姻中に取得した家は対象になりえますが、ローンの残高との差で見るため、残高が家の価値を上回る場合の扱いが論点になります。名義やローンの契約者によって話し合いの進め方が変わるので、[住宅ローンが残る家の財産分与:オーバーローンと名義・連帯保証の整理](/bunyo-loan/)で確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

浮気した側も財産分与を受けられる?慰謝料との関係の整理

財産分与で退職金は対象になる?支給前・支給後で変わる考え方

財産分与とは?対象・割合・請求の期限(離婚から5年)の基本を整理

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