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財産分与に税金はかかる?不動産を渡す側・受け取る側の扱い

この記事のもくじ
  1. 立場ごとの早見表:誰に、どの税がかかるか
  2. 受け取る側:贈与税がかかる二つの例外
  3. 渡す側:不動産で分与すると譲渡所得の課税がある
  4. 慰謝料の税金と、名目の分け方
  5. 手続の前にやること

財産分与で財産を受け取る側には、原則として贈与税はかかりません。一方、土地や建物で分与する場合、渡した側には所得税(譲渡所得)の課税があります。この二つが、国税庁の説明の核心です。どちらにも例外があり、「いくらまで非課税」という線は示されていないので、金額の目安を決めてしまうのは危険です。

この記事は、国税庁のタックスアンサーに沿って、立場ごとに何が課税の対象になるかを整理します。個別の税額の計算や申告は、税務署や税理士の領域です。

立場ごとの早見表:誰に、どの税がかかるか

早見表:財産分与と税金(国税庁タックスアンサー、令和8年4月1日現在法令等)
立場 渡すもの 税の見方 例外・注意
受け取る側 現金・預貯金・不動産など全般 原則として贈与税はかからない(4414番) 分与の額が多すぎる部分には贈与税。税を免れるための離婚なら、もらった財産の全部に贈与税
受け取る側 土地・建物 受け取った日の時価で取得したものとして扱う(3114番) 将来売るとき、長期か短期かの判定も受け取った日から数える
渡す側 土地・建物 渡した時の時価が譲渡所得の収入金額(3114番) 取得費などを差し引いた後の利益が課税の対象になる(所得税法33条)
慰謝料を受け取る側 金銭 心身に加えられた損害についての慰謝料は所得税が非課税(1700番) 名目が慰謝料でも、実質が財産分与や贈与と見られる場合は、財産分与の考え方になる

読み方は、「受け取る側は原則非課税、渡す側は不動産だと課税の可能性がある」と覚えます。現金や預貯金を渡す側の課税については、国税庁のこの二つのページには記載がありません。渡す側が現金で分与する場合の扱いは、税務署に確かめてください。

受け取る側:贈与税がかかる二つの例外

国税庁のタックスアンサー4414番は、離婚で相手から財産をもらうこと自体を、贈与ではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づく給付と考えられるとしています。そのため原則は非課税です。例外は次の二つです。

  1. 分与された額が多すぎる場合。 婚姻中の夫婦の協力で得た財産の額その他一切の事情を考慮しても多すぎる部分には、贈与税がかかります。
  2. 税を免れる目的の離婚と認められる場合。 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められるときは、もらった財産の全部に贈与税がかかります。

「多すぎる」の線は、金額で示されていません。財産の総額、婚姻期間、それぞれの寄与などを見て個別に判断されます。話し合いの途中で、全財産の大半を片方に移す条件になったときは、合意の前に税務署か税理士に事情を伝えて確かめるのが筋です。

渡す側:不動産で分与すると譲渡所得の課税がある

国税庁のタックスアンサー3114番は、財産分与を土地や建物で行った場合、渡した側に所得税(譲渡所得)が課されるとしています。収入金額は、渡した時の土地・建物の時価です。受け取った側は、受け取った日の時価で取得したものとして扱われます。

譲渡所得の金額は、所得税法33条3項により、総収入金額から、その資産の取得費と譲渡に要した費用の額の合計額を差し引いた残りを基礎に、特別控除額を引いて計算されます。次は仮の数字による筆者の計算例です。実際の取得費は、購入価格や建物の経過年数などの資料から税務署や税理士が確かめる必要があります。

  • 分与した時の時価:3,000万円
  • 取得費と譲渡費用の合計:2,200万円
  • 譲渡益(特別控除を引く前):3,000万円 − 2,200万円 = 800万円

この800万円が課税の計算の出発点になります。「財産分与だから課税されない」と考えて、分与の時期や方法を決めてしまうと、後で所得税の負担が現れます。

3,000万円の特別控除は使えるのか

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除を、財産分与で渡す場面に当てはめられるかが気になる方は多いはずです。国税庁のタックスアンサー3302番は、親子や夫婦など特別の関係がある人への譲渡は、この特例の対象外としています。ただし、このページには離婚後の元配偶者への分与の扱いは書かれていません。使えるかどうかは、離婚のタイミングや居住の状況を伝えたうえで、税務署か税理士に確かめてください。使えるものと決めて条件を合意しないよう、確かめるのが先です。

登記のお金は税金とは別の窓口

不動産の名義を移すときは、登記に登録免許税がかかります。国税庁の登録免許税の税額表には、財産分与という原因の区分が明記されていないため、税率は法務局で確かめます。名義変更の登記の手続は司法書士が代理する業務に当たり(弁護士も扱えます)、不動産取得税(都道府県税)がかかるかどうかは、不動産のある都道府県税事務所で確かめます。住宅ローンが残る場合の名義の整理は住宅ローンが残る家の財産分与:オーバーローンと名義・連帯保証の整理で扱います。

慰謝料の税金と、名目の分け方

浮気の慰謝料の税については、国税庁のタックスアンサー1700番が、心身に加えられた損害について受け取る慰謝料は非課税だと説明しています。このページの例は事故の負傷が中心なので、不貞の慰謝料を個別に例示しているわけではありませんが、所得税法9条に基づく一般的な原則です。

注意したいのは、名目と実質のずれです。「慰謝料」と書いても、中身が財産分与や贈与と見られる場合は、財産分与の考え方で税の扱いが決まります。書面では、財産分与の部分と慰謝料の部分を分け、それぞれ金額を書いておきます。この整理は浮気した側も財産分与を受けられる?慰謝料との関係の整理で説明しています。

手続の前にやること

  1. 財産の一覧を作り、不動産の取得時期と購入価格が分かる契約書を探す。
  2. 分与の対象にする財産のうち、不動産がどれかを確かめる(対象の見方は財産分与の対象になる財産・ならない財産の早見表と判断が分かれる例)。
  3. 不動産を渡す場合は、合意の前に税務署か税理士に譲渡所得の見込みを聞く。
  4. 登記の費用を法務局や司法書士に確かめる。
  5. 合意書には、財産分与として渡すことと、渡す物の特定(所在・地番)を書く。

家を売るか、住み続けるか、名義を移すかで税と費用の見え方が変わります。選択肢を比べる記事は財産分与で家はどうする?売る・住み続ける・名義を移す3つの選択肢です。退職金を受け取った後に分けるような場合は財産分与で退職金は対象になる?支給前・支給後で変わる考え方も合わせて確かめてください。

よくある質問

Q. 預貯金や現金で財産分与をもらうと、贈与税はかかりますか?

国税庁は、離婚で相手から財産をもらっても、原則として贈与税はかからないと説明しています。夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づく給付と考えられるためです。ただし、分与された額が婚姻中の協力で得た財産の額などを考慮しても多すぎる場合は、その多すぎる部分に贈与税がかかります。

Q. 税金の負担を減らすために離婚する形にしても問題ありませんか?

国税庁は、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、離婚でもらった財産の全部に贈与税がかかるとしています。実質のない離婚で税を減らす考え方は避けてください。迷うときは税務署や税理士に、事情を伝えて確かめます。

Q. 財産分与の税金の相談は、弁護士と税理士のどちらですか?

税の計算や申告は税理士や税務署、財産分与の額や方法の取り決めは弁護士の領域です。分与の額を決める話し合いの途中で、渡す財産が不動産なら、先に税務署か税理士に譲渡所得の見込みを聞くと、条件を決めるときの材料になります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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