離婚調停の費用:申立ての実費と弁護士に頼む場合の違い
離婚調停の申立てで裁判所に払う実費は、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手が中心です。切手の額は裁判所ごとに違い、東京家庭裁判所の令和8年3月版の案内では1,240円分です。これに戸籍謄本の取得費を足すと、東京家裁に出す場合の実費は3,000円に届かない計算になります。弁護士に頼む場合は、この実費とは別に、着手金・報酬金・日当などが弁護士ごとの額でかかります。この記事では、2つを分けて見られるようにします。
申立ての実費:何にいくらかかるか
離婚調停(正式名は夫婦関係調整調停〈離婚〉)の申立てで、実際にかかるものを一覧にします。
| 項目 | 額 | 払う先・備考 |
|---|---|---|
| 収入印紙 | 1,200円分 | 申立書に貼る。申立書の書式は「申立て1件あたり1,200円分」と案内 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所ごとに違う(東京家裁は110円×10枚、50円×2枚、10円×4枚で1,240円分) | 申立先の家庭裁判所のサイトで確かめる。郵便料は保管金として納付する方法もある |
| 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書) | 1通450円が国の標準額(実際の額は市区町村の条例) | 本籍地の市区町村。東京家裁は3か月以内の発行を求める |
| 年金分割のための情報通知書 | 年金分割を求める場合だけ必要 | 年金事務所に請求する。離婚前でも請求できる |
収入印紙の1,200円は、民事訴訟費用等に関する法律の別表第一で、家事調停の申立ての手数料として定められている額です。子の氏の変更許可のような別の手続きは800円分で、手続きの種類によって額が違います。
切手は、裁判所からの連絡や書類の送付に使うための予納です。郵便料は裁判所ごとに異なるため、申立先の家庭裁判所のサイトにある「申立てに必要な費用」を見て、額と枚数の内訳を確かめてください。東京家裁のように、切手の種類と枚数の内訳を案内に載せている裁判所もあります。
筆者の計算:東京家庭裁判所に申し立てる場合
東京家裁(本庁)に、夫婦が同じ戸籍に入っている状態で申し立てるときの実費を計算します。戸籍謄本の額は国の標準の450円とします。
| 項目 | 金額(筆者の計算) |
|---|---|
| 収入印紙 | 1,200円 |
| 郵便切手(110円×10枚+50円×2枚+10円×4枚) | 1,240円 |
| 戸籍謄本1通 | 450円 |
| 合計 | 2,890円 |
ほかの裁判所では切手の額が変わるので、合計も変わります。ここに、期日に通う交通費と、仕事を休む負担が加わります。
別の調停を同時に申し立てる場合は、調停ごとに印紙代が増えます。別居中の生活費を求める婚姻費用の分担請求調停も、収入印紙1,200円分と郵便切手です。離婚調停の申立書の中で、親権者や養育費、財産分与、慰謝料などを付随の申立てとして書くときは、申立書1通の扱いです。調停費用は、家事事件手続法28条1項が各自の負担と定めているので、離婚が成立しても、相手に請求できる前提ではありません。
弁護士に頼むと増える費用:項目だけ先に分ける
家庭裁判所の調停で、本人に代わって手続きをする代理人になれるのは、原則として弁護士です(家事事件手続法22条)。ただし、弁護士に依頼することは必須ではなく、裁判所のQ&Aも、依頼しなくても調停の手続はできると案内しています。
弁護士に頼む場合は、着手金・報酬金・日当・実費が、弁護士ごとの基準で加わります。日本弁護士連合会は、費用は個々の弁護士が基準を定めると案内しており、「離婚調停の弁護士費用はいくら」と1つの数字で言える公的な基準はありません。4つの項目の意味は弁護士費用の仕組み、離婚調停に固有の見方(訴訟に進んだときの追加着手金、期日ごとの日当、何を成功とみなすか)は離婚調停の弁護士費用の見方で扱います。
自分で進める場合と弁護士に頼む場合の違いを、費用の面で並べます。
| 比べる点 | 自分で進める | 弁護士に頼む |
|---|---|---|
| 裁判所に払う実費 | 印紙1,200円分・切手・書類取得費 | 同じ額(実費として別途かかる分もある) |
| 弁護士費用 | かからない | 着手金・報酬金・日当などが別にかかる |
| 手続きの負担 | 書類づくりと期日への出席を自分でする | 書類づくりと主張の整理を任せられる |
弁護士費用の全体像は、離婚の弁護士に共通する内訳を離婚の弁護士費用の内訳:着手金・報酬金・実費と見積もりの比べ方で比べています。弁護士に頼むなら、浮気が原因の離婚の取扱いと、費用の説明が書面で出るかを確かめて選ぶ選択肢があります。
費用の負担を軽くする方法
費用が心配なときの方法を、手間の少ない順に並べます。
- 家庭裁判所の手続案内で、申立ての仕方と書類を聞く:申立書の書き方を聞けますが、法律相談には応じていません。家庭裁判所の手続案内とは?調停の申立て方を無料で聞ける窓口で使い方を整理しています
- ウェブ会議の利用を相談する:遠方で通うのが難しいときは、裁判所が相当と認めればウェブ会議が使えます
- 無料の法律相談を使う:自治体、弁護士会、法テラスで、条件を満たせば無料で相談できる場合があります。違いは弁護士の無料相談を使うには:自治体・弁護士会・法テラスの違いと準備にまとめました
- 法テラスの費用の立替えを確かめる:総合法律支援法30条は、裁判の準備や追行の費用を払う資力がない人などを援助するため、弁護士などに払う報酬・実費の立替えをすると定めています。立替えなので、原則として返す必要があります。収入や資産の基準は、法テラスの案内で確かめてください
調停の期間の目安は離婚調停にかかる期間:期日の回数の目安を司法統計で見るで見られます。期間が長くなるほど、交通費や休みの負担が増えるためです。別居中の生活費が苦しいときは、離婚調停とは別に、婚姻費用の分担請求調停という手段があります。離婚調停の全体の流れは離婚調停の流れ:申立てから成立・不成立までと浮気が原因のときの準備に、離婚準備のお金の全体は浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めることにあります。
よくある質問
Q. 離婚調停の費用は、離婚が成立したら相手に払ってもらえますか?
家事事件手続法28条1項は、調停の手続費用は各自の負担と定めています。印紙代や切手代は、離婚が成立しても、原則として申し立てた側が自分で負担します。慰謝料や財産分与とは別の費用として考えてください。
Q. 離婚調停と同時に、婚姻費用や養育費も申し立てると費用は増えますか?
別の調停として申し立てると、調停ごとに収入印紙1,200円分が必要です。養育費と親子交流の調停は、子1人につき1,200円分です。離婚調停の申立書の中で、親権者や養育費などを付随の申立てとして書く場合は、申立書1通の費用です。
Q. 弁護士をつけない場合、ほかにかかるお金はありますか?
戸籍謄本などの書類の取得費、期日に通う交通費、年金分割を求める場合の情報通知書の請求手続が主なものです。仕事を休む負担もあります。遠方の場合は、裁判所の許可でウェブ会議を使えることがあり、交通費を減らせる場合があります。
出典・参考にした公的な情報
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てる方へ(令和8年3月版・東京家庭裁判所)(裁判所)
- 夫婦関係等調整調停申立書(離婚)の書式(裁判所)
- 婚姻費用の分担請求調停(裁判所)
- 家事調停手続(調停手続一般)(裁判所)
- 民事訴訟費用等に関する法律 別表第一(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第22条・第28条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 離婚時の年金分割(情報通知書の請求は離婚の前でも後でも可)(日本年金機構)
- 弁護士費用(報酬)とは(日本弁護士連合会)
- 総合法律支援法 第30条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。