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慰謝料請求をしたら反訴された?反訴の仕組みと届いたときの手順・相談先

この記事のもくじ
  1. 反訴とは:同じ裁判の中で相手から訴え返される手続
  2. 不倫の慰謝料で反訴が起こりうる3つの場面
  3. 反訴状が届いたときの手順
  4. 本訴を取り下げたら反訴はどうなるか
  5. 反訴されたときの相談先

不倫の慰謝料を訴えたあとで相手から反訴されたときは、こちらの請求はそのまま残り、同じ裁判所で相手の請求も一緒に審理されることになります。反訴とは、訴えられた側(被告)が、同じ裁判の中で訴えた側(原告)を訴え返す手続です。反訴の書面が届いたら、こちらは反訴の被告の立場にもなるので、書かれた期限までに反論の書面を出す準備が要ります。この記事では、反訴の仕組みと、不倫の慰謝料で反訴が起きやすい場面、届いたときの手順と相談先を整理します。

反訴とは:同じ裁判の中で相手から訴え返される手続

民事訴訟法146条1項は、被告は、本訴の目的である請求または防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起できると定めています。「本訴」はこちらが起こした慰謝料の訴え、「反訴」は相手がその中で起こす訴えです。

条文の要素を、慰謝料を請求した側から見ると次のようになります。

条文の要素 意味 請求した側にとって
関連する請求に限る 本訴の請求や、相手の反論と関わりのある請求 不倫の件とまったく無関係な請求は、反訴の形では出せない
口頭弁論の終結まで 審理が終わる前ならいつでも 裁判の途中、しばらくたってから届くこともある
本訴の係属する裁判所に こちらが訴えた裁判所でそのまま 裁判所や期日が増えるのではなく、同じ流れに加わる
例外 他の裁判所の専属管轄に属するとき、著しく訴訟手続を遅滞させるとき 反訴が受け付けられない場合もある

反訴は「訴え」なので、訴えに関する決まりがそのまま当てはまり、相手は反訴状を出し、手数料を納めます。こちらには反訴状が届き、反論の書面(答弁書)を出す立場になります。離婚の裁判(人事訴訟)では、人事訴訟法18条1項が、民事訴訟法146条1項にかかわらず、第一審または控訴審の口頭弁論の終結に至るまで、被告は反訴を提起できるとしています。

図解:本訴と反訴の関係
本訴 反訴
起こした人 あなた(原告) 相手(本訴の被告)
訴えられた人 相手 あなた(反訴の被告)
中身の例 不貞行為の慰謝料 あなたの言動による損害賠償など
審理の場 同じ裁判所・同じ流れ 同じ裁判所・同じ流れ
終わり方 判決・和解・取下げなど 本訴とは別に、判決・和解・取下げなど

不倫の慰謝料で反訴が起こりうる3つの場面

件数の統計はないため、ここでは条文の仕組みから、不倫の慰謝料の争いで反訴の形になりうる場面を3つに分けて整理します。自分の件がどれに近いかを先に見ておくと、反訴状を読むときに相手の狙いがつかみやすくなります。

1. 請求した側の言動が問題にされる場面

発覚の後、相手の職場に知らせた、SNSに書いた、自宅に押しかけた、強い言葉で連絡を続けた、といった行動があると、相手はそれを理由に名誉毀損やプライバシー侵害の損害賠償を求めてくることがあります。不倫の件と同じ一連の出来事から生じた請求なので、本訴と関連する請求として反訴の形をとりやすい場面です。どんな知らせ方が問題になりうるかは不倫を周囲に知らせると名誉毀損になるかの記事で扱っています。

2. 離婚の裁判で、相手も離婚や慰謝料を求める場面

配偶者を相手に離婚と慰謝料を求めたところ、配偶者も「婚姻を壊したのは相手のほうだ」として、自分からの離婚や慰謝料を反訴で求めることがあります。人事訴訟法17条は、離婚の請求と、その原因である事実によって生じた損害の賠償の請求を一つの訴えでできるとしており、双方の言い分が同じ家庭裁判所の裁判で並ぶ形になります。

3. 示談や誓約書の約束をめぐる場面

裁判の前に示談書や誓約書を交わしていた場合、相手が「無理に書かされた」「約束した額はもう払った」「口外しない約束を破られた」と主張して、反論とあわせて請求を立ててくることがあります。書面の作り方と交わした経緯が、そのまま争点になる場面です。

なお、不倫相手が慰謝料を払った後にあなたの配偶者へ負担分を求める求償は、あなたへの反訴ではなく、不倫相手と配偶者の間の別の問題です。仕組みは不倫の求償権とは何かの記事にまとめています。

反訴状が届いたときの手順

反訴状が届くと、自分で訴えていた人は特に慌てやすくなります。次の順で進めると、見落としが減ります。

  1. 期限を確かめる:裁判所から届いた書類に、反論の書面を出す期限や次の期日が書かれています。見落とさないよう、届いた日とあわせてカレンダーに書き込みます。
  2. 反訴状の「請求の趣旨」と「請求の原因」を読む:相手が何を、いくら、どんな出来事を理由に求めているかを書き出します。
  3. 書かれた出来事を時系列で照らす:相手の主張する日時・場所・言葉と、自分の記録(送ったメッセージ、通話の履歴、日記)を並べ、合っている点と違う点を分けます。
  4. 反論の材料をそろえる:違う点を示す記録の写しをまとめます。消してしまったやりとりがあれば、その旨もメモします。
  5. 弁護士に相談する:本訴と反訴の両方を見たうえで、反論の方針や、和解で両方をまとめて終える道があるかを相談します。

地方裁判所や簡易裁判所での慰謝料の裁判では、反訴状に反論しないまま期日を欠席すると、相手の言い分どおりの事実を認めたものと扱われるおそれがあります(民事訴訟法159条)。訴状が届いたときの基本的な対応は不倫で訴えられて訴状が届いたときの記事と共通です。

文例(弁護士に聞くこと):「不倫相手に慰謝料を求めて訴えたところ、私が相手の職場に連絡したことを理由に反訴されました。反訴状と、私が送ったメッセージの記録を持ってきました。反論の方針と、本訴を続ける場合・和解する場合の違いを教えてください。」

本訴を取り下げたら反訴はどうなるか

反訴を受けて「もう訴えるのをやめたい」と考える人もいます。ただし、本訴を取り下げても反訴は当然には終わりません。民事訴訟法261条2項は、相手が本案について準備書面を出すなどした後の訴えの取下げに、相手の同意を必要としています。そのうえで、ただし書で、本訴の取下げがあった後の反訴の取下げにはこの同意を要しないとしています。つまり、反訴を続けるか取り下げるかは相手が選べる形になっています。

選ぶ道 本訴 反訴 考えること
本訴を続ける 審理が続く 審理が続く 本訴と反訴の両方に主張と証拠を出す
本訴を取り下げる 相手の同意が要る段階がある 相手が続ければ残る 反訴だけが残ると、守る立場だけになる
両方まとめて和解する 和解で終わる 和解で終わる 両方の請求をどう清算するかを条項で決める

本訴と反訴が並んでいるときは、両方をまとめて和解で終える道もあります。和解の条項で何を決められるかは不倫の裁判で和解をすすめられたときの記事で整理しています。

反訴されたときの相談先

反訴は、本訴より争いが広がった状態です。相談先は次のように選びます。

相談の前に、本訴の訴状の写し、反訴状、裁判所からの書類、反訴に書かれた出来事についての自分の記録を一つにまとめておくと、短い時間でも話が進みます。結婚する前の段階で浮気が分かった人は、次の婚約者の浮気で慰謝料を請求できるかの記事で考え方を確かめてください。

よくある質問

Q. 反訴されたら、こちらの訴えは取り下げたほうがよいですか?

取り下げても、相手の反訴は自動的には終わりません。民事訴訟法261条2項ただし書は、本訴が取り下げられた後の反訴の取下げに原告の同意を要しないとしており、反訴を続けるか取り下げるかは相手が選べる形です。取り下げるかどうかは、反訴の中身と見通しを弁護士と確かめてから決めます。

Q. 反訴ではなく、相手が別に訴えてくることもありますか?

あります。反訴は相手の選べる方法の一つで、関連する請求を別の訴えとして起こすこともできます。別の訴えになった場合でも、どちらの手続で何を主張するかを整理する必要があるので、届いた書類をすべて持って相談してください。

Q. 反訴の手数料はこちらが払うのですか?

反訴を起こす側、つまり相手が裁判所に手数料を納めます。民事訴訟費用等に関する法律の別表第一は反訴の手数料の定めを置き、本訴と目的が同じ反訴は本訴の手数料分を差し引く形にしています。慰謝料の請求と名誉毀損の賠償のように目的が別の請求なら、反訴の請求額に応じた手数料がかかるのが基本です。最終的に訴訟費用をどちらが負担するかは、判決や和解の中で決まります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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