浮気・不倫が原因の離婚 / Q&A

セックスレスは離婚の理由になる?浮気が重なる場合の考え方

この記事のもくじ
  1. まず分かれ道:合意で離婚するか、裁判で離婚を求めるか
  2. 裁判の離婚:レスは4号の問題として語られる
  3. 司法統計で見る「性的不調和」
  4. 浮気が重なるとき:論点を3つに分けて整理する
  5. 離婚を急ぐ前に:話し合いと第三者の使い方

セックスレスだけを理由に離婚する場合、夫婦が合意すれば離婚できます。協議離婚でも調停でも、理由は問われません(民法763条)。合意できず裁判で離婚を求めるなら、民法770条1項4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかが問題です。レスの期間、きっかけ、話し合いの有無、ほかの事情との重なりで判断が分かれるため、「レスだから認められる」「認められない」とは言い切れません。浮気が重なる場合は、1号の「不貞な行為」が別に問題になります。この記事は、場面別に論点を整理し、話し合いの進め方まで示します。

まず分かれ道:合意で離婚するか、裁判で離婚を求めるか

セックスレスの離婚は、相手がどう答えるかで道が変わります。

状況 進み方 理由の扱い
二人とも離婚に同意している 協議離婚(離婚届) 理由は問われない
一方が離婚に応じない まず家庭裁判所の夫婦関係調整調停(家事事件手続法257条の調停前置) 調停での合意なら理由は問われない
調停でも合意できない 離婚の訴え 770条1項のどれかが必要

つまり、裁判になるまでは、「レスが離婚の理由になるか」を法律上の理由として判断される場面はありません。話し合いで条件をまとめるときに、レスは「離婚を考えるようになった経緯」として語られるにとどまります。

裁判の離婚:レスは4号の問題として語られる

770条1項に、不貞な行為(1号)、悪意の遺棄(2号)、3年以上の生死不明(3号)のほか、4号として「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」があります。セックスレスは、条文に名前が出てくる理由ではなく、この4号に当たるかが問われる事情の一つです。

条文は何が「重大な事由」に当たるかを具体的に挙げていないので、個別の事情ごとに判断されます。ですから、弁護士に相談するときは、レスの事実だけでなく、次の材料を日付つきで整理しておくと、話が具体的になります。

  • いつから、どの程度か:触れ合いが途絶えた時期と、その前の状態
  • きっかけ:出産、病気、仕事、介護、気持ちの変化など
  • 話し合ったか:どちらがどう切り出し、相手がどう答えたか(メールやLINEの文面も材料)
  • ほかの事情:別居の有無、暴言、生活費、浮気の有無など
  • 誘いを断った側と断られた側:理由があったか、それが伝わっていたか

「何年続けば離婚できる」という年数の線は条文には書かれておらず、このサイトでも示しません。個別の見通しは、弁護士に確かめる部分です。

司法統計で見る「性的不調和」

家庭裁判所の統計では、調停などを申し立てた人が主な動機を3つまで挙げています。令和7年(2025年)の司法統計年報(家事編)第19表から、「性的不調和」を取り出すと次のとおりです。ほかの動機との並びは離婚の理由として認められるものの表で見られます。

申立人 総数 性的不調和
夫 15,355件 1,524件(約9.9%)
妻 42,136件 2,695件(約6.4%)

割合は筆者の計算です。動機は3つまで重複して数えるので、足すと総数を超えます。家庭裁判所に申し立てず離婚届だけで離婚した夫婦は数えられておらず、「性的不調和」は申立人が挙げた動機の区分で、法律上の離婚の理由とは別のものです。この表が示すのは、レスなどの性的な不一致が、実際に家庭裁判所へ持ち込まれる動機の一つだということまでです。裁判で離婚が認められる件数ではありません。

浮気が重なるとき:論点を3つに分けて整理する

レスと浮気が重なっていると、「レスだったから浮気した」「浮気したのだからレスは関係ない」と話が混ざりがちです。次のように分けると、整理しやすくなります。

場面別の整理:セックスレスと浮気が重なるときの論点
場面 離婚を求める側の主な論点 気をつけたい点
レスが続いた後で配偶者の浮気が分かった 1号(不貞な行為)。レスは4号の事情としても語られる 条文は、不貞な行為があったことを理由に挙げ、レスの有無を条件にしていない。2項で請求が退けられる余地もある
レスの間に自分が浮気をした 浮気をした側からの離婚請求は、有責配偶者の問題になる 最高裁の判例は、別居の長さや子の有無などを総合して見る(有責配偶者とは?)
レスだけで、どちらも浮気はしていない 4号。レスの経緯と話し合いの記録が中心 離婚に応じない相手には、調停で合意を探る

1号と4号は、どちらか一方を選ぶのではなく、事情に応じて両方を主張することがあります。ただし、2項は1号から3号までの事由があっても婚姻の継続を相当と認めるときは請求を退けられると定めていて、4号は2項に書かれていません。この違いが結論にどう響くかは事件ごとに異なります。浮気の有無の整理は浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めること、条文の全体は離婚の理由として認められるもの:民法770条と2026年4月の改正を見てください。「レスのせいにされたとき」の気持ちの扱いは、セックスレスと浮気の関係:責める・責められる前に整理したいことで扱っています。

離婚を急ぐ前に:話し合いと第三者の使い方

レスは、病気、産後、疲れ、仕事の忙しさなど、離婚の決意とは別の原因が隠れていることがあります。医療機関で相談できる状態かどうかも、確かめられる範囲で確かめてください。そのうえで、離婚しない選択も含めて、次の順で進めると後悔が少なくなります。

  1. 気持ちを短い文で書く:責める言葉を避け、「寂しい」「触れられるのが負担」のように自分の気持ちを書く。
  2. 話す時間を決める:疲れている夜や、子どもの前を避ける。
  3. 第三者を入れる:夫婦カウンセリングは夫婦カウンセリングとは?受ける流れ・相談先の種類・選ぶときの確認点、家庭裁判所の円満調停は円満調停とは?夫婦関係を修復するための家庭裁判所の手続きと流れで内容と流れを扱っています。
  4. 離婚の準備を並行して進める:生活費や住まいの見通しは、気持ちが固まる前でも整理できます。

切り出し方の例を一つ挙げます。

文例:「責めたいわけではなくて、触れ合いがなくなってから寂しい気持ちが続いています。続けていくために、一度ちゃんと話す時間がほしいです。」

離婚が現実になったときのお金や親権は、2026年4月の改正で変わった点が多くあります。離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点で、先に確認しておくと見通しが立ちます。長年連れ添った夫婦のレスで離婚を考える場合は、年金や住まいが論点になるため、熟年離婚を考えるとき:年金分割・退職金・住まいで確かめることも参考にしてください。

よくある質問

Q. セックスレスだけで裁判の離婚が認められますか?

条文には「セックスレス」という理由はなく、民法770条1項4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかが問題になります。期間や経緯、ほかの事情との組み合わせで判断が分かれるため、見通しは弁護士に確かめてください。

Q. 自分がレスに悩んでいたことは、浮気をした側の言い訳になりますか?

770条1項1号は、不貞な行為があったことを理由に挙げていて、レスの有無を条件にしていません。レスの経緯は事情の一つとして語られることはありますが、浮気の事実そのものがなくなるわけではありません。慰謝料などへの影響は個別に判断されます。

Q. 離婚はしたくないけれど、レスを何とかしたい場合は?

夫婦関係を調整する円満調停や、夫婦カウンセリングという選択肢があります。まずは責める言葉を避けて、気持ちと希望を短く伝えるところから始めると、話が続きやすくなります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点

熟年離婚を考えるとき:年金分割・退職金・住まいで確かめること

浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めること

セックスレスと浮気の関係:責める・責められる前に整理したいこと