離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点
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2026年4月1日に施行された離婚の民法改正は、親権、養育費、財産分与、親子交流、そして裁判で離婚を求める理由(770条)まで広く変えました。すでに施行済みで、「予定」ではありません。大きな点は、①協議離婚で共同親権か単独親権かを選べる、②養育費を決めずに離婚すると月2万円(子1人あたり)の法定養育費を請求できる、③財産分与を家庭裁判所に求める期間が離婚から5年に延びた、の3つです。ただし、施行前に離婚した人には使えない部分もあります。この記事で項目ごとの変更点と経過措置を一度に確かめ、くわしい手続は各記事へ渡します。
| 項目 | 改正後(2026年4月1日以後) | 2026年3月31日以前に離婚した人 |
|---|---|---|
| 親権者 | 協議離婚で双方か一方を選ぶ(民法819条1項) | 親権者の変更の申立てで双方への変更も求められる |
| 法定養育費 | 子1人あたり月2万円。取り決めまでのつなぎ | 適用されない |
| 養育費の先取特権 | 子1人あたり月8万円まで | 施行日以後に生じた各期の分に適用 |
| 財産分与の請求期間 | 離婚から5年 | 従来どおり2年 |
| 年金分割の請求期限 | 離婚等から5年(日本年金機構の案内) | 従来どおり2年 |
| 裁判上の離婚の理由 | 旧4号(強度の精神病)の削除 | 一部の訴訟は従来の規定 |
親権:共同親権か単独親権かを「選ぶ」仕組みになった
改正前は、協議離婚のときは父母の一方を親権者に定めなければなりませんでした。改正後の民法819条1項は、協議で「その双方又は一方」を親権者と定めるとしています。裁判離婚では、裁判所が双方か一方かを判断します。
ここで誤解されやすいのが「離婚後は共同親権が原則になった」という説明です。法務省のQ&Aは、共同を原則、単独を例外とする関係ではなく、個別の事情に即して子の利益の観点から判断すると説明しています。
裁判所が判断する場面には、単独にしなければならない場合も書かれています。819条7項は、①父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき、②父母の一方が他方から暴力等を受けるおそれなどから、共同で親権を行うことが困難と認められるとき、その他双方を親権者とすることで子の利益を害するときは、一方を親権者と定めなければならないとしています。暴力や怖さがある場合は、手続の前に浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表で窓口を確かめてください。
親権の「行使」にも新しい決まりがあります(824条の2)。双方が親権者でも、食事、服装、通常の予防接種、習い事など監護・教育の「日常の行為」は一方が単独でできます。法務省のQ&Aは、転居、転学、長期留学などを日常の行為に当たらない例に挙げています。子の利益のための急迫の事情(DVや虐待からの避難、緊急の医療など)があるときも、一方が単独で行えます。親権者とは別に、日々の世話をする監護者を定めると、監護者は居所の指定なども単独でできます(824条の3)。親権の決め方は親権とは?2026年4月からの共同親権・単独親権の決め方、共同親権を選ぶ場合は共同親権とは?2026年4月施行の仕組みと選ぶときの考え方で扱います。
養育費:法定養育費と先取特権
養育費を取り決めないまま協議離婚した場合、離婚の時から引き続き子を主に世話する親は、他方に対し、法定養育費を請求できます(民法766条の3)。額は法務省令で、子1人あたり月2万円です。請求できるのは、離婚の日から、養育費を協議で定めた日、養育費の審判が確定した日、子が成年(18歳)に達した日のいずれか早い日までです。支払う側が、支払能力がない、または払うと生活が著しく苦しくなると証明したときは、全部または一部を断れます。
大事なのは、法定養育費は「取り決めまでのつなぎ」だという点です。取り決めた養育費の相場ではないので、「養育費は月2万円」と読まないでください。浮気が理由の離婚でも、養育費は別に話し合って決める必要があり、算定表の使い方は養育費算定表の使い方にあります。
もう一つの変更が先取特権です。養育費(766条・766条の3)に加え、婚姻費用(760条)や夫婦間の扶養(752条)の定期金についても、省令で定める額、子1人あたり月8万円までは、先取特権として優先的に取り立てやすくなります(民法306条・308条の2)。月8万円は養育費の上限ではなく、先取特権で優先して取り立てられる額の上限です。差押えの手続は養育費を払わない相手には:先取特権・強制執行と相談先の使い分けで扱います。
財産分与:請求期間は5年、考慮要素と「相等しい」が条文に
財産分与について、家庭裁判所に求められる期間が離婚の時から2年から5年に延びました(民法768条2項)。あわせて3項に、考慮する事情が具体的に書かれました。婚姻中に取得・維持した財産の額とそれぞれの寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、協力と扶助の状況、年齢、心身の状況、職業と収入などです。寄与の程度は、異なることが明らかでないときは相等しいものとされます。
これは寄与の程度の推定の規定で、「財産分与はいつも半分ずつ」という意味ではありません。浮気をしたこと自体は、条文の考慮事項には書かれていません。慰謝料は別の制度です。財産分与の対象や割合は財産分与とは?対象・割合・請求の期限(離婚から5年)の基本を整理に集めています。
日本年金機構の案内では、年金分割の請求期限も、2026年4月1日以後の離婚等は5年以内、それより前の離婚等は2年以内になっています。浮気で離婚する夫婦でも、慰謝料と分けて、期限を数える日付を確認する必要があります。
親子交流・祖父母・情報開示・770条など、ほかの変更点
- 親の責務(817条の12):父母は、子の人格を尊重し、子が自分と同程度の生活を維持できるよう扶養する責務があると明記されました。婚姻関係の有無にかかわらず、子に関することで互いに人格を尊重し協力するとも書かれています。
- 親子交流(766条・817条の13):法令上の言葉は「面会交流」でなく「親子交流」です。婚姻中の別居でも家庭裁判所が定められ、特に必要があるときは祖父母など父母以外の親族と子の交流を定める仕組みもできました。進め方は親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容にあります。
- 試行的実施(家事事件手続法152条の3):子の監護に関する審判や離婚調停で、裁判所が子との交流の試行的な実施を促せます。促すだけで、強制ではありません。
- 情報開示命令(家事事件手続法152条の2):婚姻費用、養育費、財産分与の審理で、家庭裁判所が収入や財産の状況の開示を命じられます。正当な理由なく開示しない、または虚偽の開示をした場合は10万円以下の過料です。
- 裁判上の離婚の理由(770条):旧4号の削除と号のずれは離婚の理由として認められるもの:民法770条と2026年4月の改正にあります。
- 夫婦間の契約の取消権:旧754条が削除されました。
施行前に離婚していた場合:項目ごとに確かめる
改正は、特別の定めがない限り、施行前に生じた事柄にも適用されます。そのうえで、施行日の前後で扱いが変わらない項目が分かれています。
- 法定養育費:2026年3月31日以前に離婚した場合は適用されません(附則3条2項)。
- 先取特権:定期金債権のうち、施行日以後に生じた各期の分に適用されます(附則3条1項)。
- 財産分与:施行日前に離婚した場合の請求期間は従来の2年です(附則4条)。すでに2年が過ぎている人もいます。
- 親権者の変更:法務省のQ&Aは、施行後は、施行前に離婚した父母も双方を親権者とする変更を申し立てられるとしています。
- 訴訟中の離婚事件:施行日前に控訴審の口頭弁論が終わったものなどは、離婚の理由について従来の規定です(附則5条)。
自分の離婚日がどちらに当たるかを確認したら、次は相談先です。養育費や親子交流の取り決めは養育費・親子交流相談支援センターや家庭裁判所の手続案内が使えます。番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。夫婦の浮気が離婚のきっかけの場合の全体の流れは浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めることを、セックスレスなど別の事情が重なる場合はセックスレスは離婚の理由になる?をご覧ください。
よくある質問
Q. 離婚後は共同親権が原則になったのですか?
いいえ。協議離婚では、父母の話し合いで双方を親権者にするか一方にするかを決める仕組みになりました。共同を原則、単独を例外とする関係ではなく、子の利益から個別の事情で判断すると法務省のQ&Aは説明しています。
Q. 法定養育費は、養育費の相場が月2万円という意味ですか?
いいえ。法定養育費は、養育費を取り決めないまま協議離婚した場合に、取り決めまでのつなぎとして請求できる最低限の額です。取り決める養育費の額は、算定表や家庭の事情をもとに話し合って決めます。
Q. 2026年3月31日以前に離婚した場合、改正の対象外ですか?
一部は対象外ですが、全部ではありません。法定養育費と、財産分与の5年は施行前の離婚に使えません。一方、親権者を双方にする変更の申立てなどは、施行後であれば施行前に離婚した父母もできます。項目ごとに確かめてください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕(法務省)(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する民法等の改正 Q&A(民法編)(法務省)(法務省)
- 父母の離婚後等の子の養育に関する民法等の改正 Q&A(行政手続・支援編)(法務省)(法務省)
- 民法 第306条・第308条の2・第766条・第766条の3・第768条・第770条・第817条の12・第819条・第824条の2・第824条の3(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 子の監護に要する費用の先取特権等に関する省令(令和7年法務省令第56号)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第152条の2・第152条の3・第258条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 財産分与請求調停(裁判所)(裁判所)
- 離婚時の年金分割(日本年金機構)(日本年金機構)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。