親権者変更の手続き:離婚後に家庭裁判所で考慮される事情
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離婚後に親権者を変えたいとき、父母の合意だけで変更することはできません。親権者の変更は、家庭裁判所の親権者変更の調停または審判によって行う必要があります(裁判所の案内)。元配偶者が同意していても、役所に届けて済ませる方法はなく、手続きは調停から始まります。
この記事では、親権者変更の申立てのしかた、審判で考慮される事情、2026年4月1日に施行された改正(令和6年法律第33号)で変わった点を整理します。離婚前の親権の争いは親権で争うときの調停・審判・裁判の流れと家庭裁判所調査官の調査にあります。
親権者変更の調停:申立人・費用・書類
裁判所の案内によると、親権者変更調停の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立人 | 子またはその親族(一般には父または母) |
| 申立先 | 相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙1,200円分(子1人につき)と、連絡用の郵便切手(額は裁判所ごとに異なる) |
| 書類 | 申立書とその写し1通、申立人・相手方・未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)、事情説明書(親権者変更)、進行に関する照会回答書、送達場所等届出書 |
申立前に取れない戸籍は、申立後に追加で出せます。審理に必要なときは、追加の書類を求められることもあります。
条文のうえでは、民法819条6項が「子の利益のため必要があると認めるとき」に、家庭裁判所が子またはその親族の請求によって親権者を変更できると定めています。改正前は、請求できるのが「子の親族」で、変更先も他方の親に限られていました。改正後は、子自身も請求者に加わり、双方を親権者とする変更も可能になっています。
調停では、調停委員会が変更を希望する事情や現在の親権者の意向、これまでの養育状況、子の生活環境などを聴きます(裁判所の案内。聴く事情の一覧は親権の判断で見られる事情の記事)。
調停が不成立になると、自動的に審判の手続きに移ります。審判では、子が15歳以上であれば、その陳述を聴かなければなりません(家事事件手続法169条2項)。15歳の意味は親権は子供が選べる年齢がある?15歳以上の意見の聴取と子の気持ちで説明しています。
審判で考慮される事情:協議の経過と、その後の事情の変更
親権者変更の審判では、父母の協議の経過、親権者を定めた後の事情の変更、その他一切の事情を考慮します(裁判所の案内)。協議で親権者を定めていた場合は、民法819条8項が、協議の経過として次を勘案するとしています。
- 暴力などの有無
- 家事調停の有無
- ADR(裁判外紛争解決手続)の利用の有無
- 協議の結果についての公正証書の作成の有無
つまり、離婚時に調停や公正証書を使って慎重に決めたのか、片方が押し切って決めたのかが、変更を判断する材料になります。変更を考える人は、次の項目を整理してみてください。
- 離婚のときの親権者の決まり方(協議、調停、判決のどれか)と、その経緯
- 離婚後に変わった事情(親権者の病気や就労の変化、子の成長、転居、再婚など)を時系列にまとめる
- 現在、子の世話を実際にだれがどのように担っているか
- 子が現在の暮らしをどう感じているか(親が決めつけず、子の年齢に合わせて聞く)
- 変更したあとの暮らしの見通し(住まい、預け先、勤務)
親権者に浮気があったこと自体が、変更の理由として条文に書かれているわけではありません。子の養育にどう影響したか、という点が見られます。一度決めた親権者が、親の気持ちの変化だけで簡単に変わる制度ではない、と受け止めておくほうが安全です。
2026年4月の改正で変わった点と、施行前に離婚した人
親権者変更に関わる主な変更点は、次のとおりです。
| 場面 | 改正で変わったこと | 注意 |
|---|---|---|
| 変更の請求者 | 子自身も請求できる(819条6項) | 子が年齢に応じて意思を示す方法は個別に違う |
| 変更の内容 | 単独から共同、共同から単独、一方から他方、いずれの形も申立てがありうる | どれが原則という決まりはなく、子の利益で判断 |
| 施行前に離婚した父母 | 施行後に、双方を親権者とする変更の申立てができる(法務省Q&A) | 申立てがあっても、認められるかは別 |
| DVなどがある場合 | 819条7項により、双方を親権者とする変更は認められず、一方を親権者と定めなければならない場合がある | 窓口を先に |
DVや虐待のおそれがあるときの決まり方はDVがあるときの親権:単独親権と定めなければならない場合にまとめています。まず安全の窓口に相談してから、手続きを考えてください。
法務省のQ&Aは、協議で決めた親権者の変更では、DVなどを背景にした不適切な協議離婚については、その経過が考慮され、是正が図られるとも説明しています。長期の養育費の不払いは、共同親権への変更が認められにくい方向に働く事情ですが、不払いだけで直ちに単独親権になるわけではない、とされています。養育費については養育費とは?決め方・算定表・2026年からの法定養育費までを見てください。
変更したいけれど、親権者の変更までは望まないとき
親権者を変えなくても、次の方法で足りる場合があります。
- 子の監護者の指定や監護の分掌:親権者はそのままで、日々の世話や居所の決定を一方に委ねる。仕組みは親権と監護権の違い:2026年改正後に分けて決めるときの考え方にあります。
- 親子交流:子と一緒に暮らさない親が、子と会う方法を決める。親子交流(面会交流)とは?決め方と取り決めておく内容で整理しています。
- 親権の共同行使で意見が折り合わない事項だけ、親権行使者の指定を家庭裁判所に求める。
申立ての前に、家庭裁判所の家事手続案内で手続きの選び方を相談できます。弁護士に頼むか迷うときは、離婚の弁護士の選び方:浮気が原因の事件で確かめる5つのことも読んでください。
- 変更を求める事情と、離婚後の事情の変更を時系列で整理する
- 相手方の住所地の家庭裁判所に、申立書・戸籍謄本・事情説明書などを出す(子1人につき印紙1,200円分)
- 調停で、調停委員会が養育状況や子の生活環境を聴く
- 合意すれば調停成立。まとまらなければ審判に移り、裁判官が判断する
- 子が15歳以上なら、審判の前に子の陳述が聴かれる
よくある質問
Q. 元配偶者が同意すれば、役所に届けるだけで親権者を変えられますか?
変更できません。離婚後の親権者の変更は、家庭裁判所の調停または審判によって行う必要があります。裁判所のQ&Aも、父母の合意だけでは変更できず、親権者変更の調停または審判を申し立てる必要があると案内しています。合意がある場合でも、手続きは調停から始まります。
Q. 2026年4月より前に離婚した場合でも、共同親権への変更を申し立てられますか?
法務省のQ&Aは、施行後は、施行前に離婚した父母も、双方を親権者とする変更を申し立てられると説明しています。申立てを認めるかどうかは、子の利益を基準に、協議の経過や事情の変更などを考慮して裁判所が判断します。
Q. 養育費が長く払われていません。それを理由に親権者を変えられますか?
法務省のQ&Aは、養育費の長期の不払いは、共同親権への変更が認められにくい方向に働く事情だと説明しています。ただし、不払いだけで直ちに単独親権になるわけではありません。養育費の回収は、親権者の変更とは別の手続きで考える必要があります。
出典・参考にした公的な情報
- 親権者変更調停(裁判所)
- 家事事件Q&A(親権者変更の方法・審判で考慮される事情)(裁判所)
- 離婚後の親権者の定めに関する手続等(裁判所)
- 民法 第819条・附則(令和6年法律第33号)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 家事事件手続法 第169条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)について・Q&A解説資料(民法編)(法務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。