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貞操権侵害とは?独身と偽った相手に責任を問う考え方と相談先

この記事のもくじ
  1. 貞操権侵害は、不法行為として整理される
  2. 問える場合の見方:偽りの程度と、知った日
  3. 集める材料と、整理の順番
  4. 損害の種類の具体例と、相談で見せる時系列の見本
  5. 時効:知った日から3年
  6. 相談先と、やってはいけないこと

独身だと偽って交際していた相手に、責任を問えるのか。この疑問で使われるのが「貞操権侵害」という言葉です。ただ、民法に「貞操権侵害」という条文はありません。実際には、民法709条の不法行為(故意又は過失による権利・利益の侵害)と、710条の精神的な損害の賠償で整理されます。つまり、問える可能性は、相手が独身だと偽ったこと、そのために関係を続けたこと、そこで生じた損害を、記録で順に示せるかにかかっています。この記事では、考え方の筋道と、集める材料、時効、相談先を整理します。

貞操権侵害は、不法行為として整理される

民法752条の夫婦の義務にも、「貞操」の語はありません。民法709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めます。710条は、財産以外の損害も賠償の対象になるとしています。

独身と偽られた交際について責任を問う場面では、次のように分けて考えます。

整理する点 内容 示す材料の例
偽りがあったか 相手が独身だと話した、または既婚を隠した 独身と話したメッセージ、アプリの登録内容
偽りを前提にしていたか あなたが独身と信じて関係を続けた 結婚の話、将来の約束、会う頻度
損害が生じたか 心身の不調、仕事や生活への影響、費用 通院の記録、休職や収入の変化
因果関係があるか 偽りが原因で、その損害が生じた 時期の前後関係を示す時系列

責任が認められるかどうか、いくらになるかは、偽りの内容や関係の続き方など事情ごとに大きく変わります。サイトでは、個別の見込みや金額は示しません。

問える場合の見方:偽りの程度と、知った日

責任を問えるかを見るとき、次の3点が整理の軸になります。

  1. 偽りの中身:「独身」と言葉で明言したのか、既婚だと言わなかっただけなのか。結婚の約束や将来の話をしていたのか。
  2. 知った日:既婚と分かった日がいつか。その前と後で、関係の意味が変わりうる。
  3. あなたの側の事情:既婚を疑わせる出来事があったのに確かめなかったか。ここは、相手の言い分で争いになりやすい点です。

相手の側に立てば、「あなたも既婚の可能性に気づけたはずだ」という反論が出ることがあります。だからこそ、不利に見える出来事も含めて時系列に書くことが大切です。

なお、あなたが既婚者と知らずに交際していたことで、相手の配偶者から請求を受けた場合は、別の整理が必要です。その場合の故意・過失の考え方は既婚者だと知らなかったのに慰謝料を請求されたらで扱います。

集める材料と、整理の順番

材料は、交際の経緯が分かるものを日付つきで並べます。

早見表:独身と偽られた交際で集める材料
種類 例 気をつける点
偽りの記録 「独身」「結婚していない」と話した文面 画面の保存は日時が分かる形で。端末ごと残す
出会いの経緯 アプリの登録内容、紹介された場面 登録画面の婚姻状況の欄を保存する
交際の実態 会った日、旅行、将来の話、家族に紹介された記録 良い点も悪い点も入れる
損害の記録 通院の領収書、診断書、休職の記録 費用は領収書、症状は受診の日付で残す
知った日 既婚と分かったきっかけと日付 その後に起きたことも続けて書く

集めるときの線引きは大切です。相手のスマホやSNSアカウントに無断でログインして中身を見る行為は、別の問題を生みます。許される範囲は浮気の証拠集めで違法になりうることで確かめてください。

損害の種類の具体例と、相談で見せる時系列の見本

損害は、大きく「お金で数えられるもの」と「精神的なもの」に分けて書き出します。709条は財産上の損害を、710条は財産以外の損害(精神的な苦痛)を対象にしています。

種類 書き出す例 残す材料
お金で数えられるもの 相手に貸した・渡したお金、二人の予定のために払った費用、通院費、休職による収入の減り 振込の記録、領収書、給与明細
精神的なもの 眠れない、食欲がない、仕事に集中できない、人と会えない 受診の日付、診断書、日々のメモ
生活への影響 転居、退職、予定していた手続の取りやめ 契約書、退職の書類

金額の見込みは、事情で大きく変わるので、ここでは示しません。相談では、次のような時系列を1枚にまとめて見せると、偽りと損害の前後関係が伝わります(日付と内容は自分の記録に置き換えてください)。

日付 出来事 材料
〇年〇月〇日 出会い。独身と話された アプリの登録画面、メッセージ
〇年〇月〇日 将来や結婚の話が出た メッセージ、会話のメモ
〇年〇月〇日 既婚と分かった(きっかけ) 相手の配偶者の連絡、画面の保存
〇年〇月〇日 眠れなくなり受診 診察券、領収書
〇年〇月〇日 相手とのやり取りの最後 最後のメッセージ

妊娠があった場合や、妊娠の可能性がある場合は、時系列の作成より先に体の状態と今後の選択が優先です。不倫で妊娠したときの相談先と制度を先に読み、産む場合の手続きは認知と養育費で確かめてください。

時効:知った日から3年

不法行為による損害賠償の請求権には時効があります。民法724条は、被害者が損害と加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときに、時効で消滅すると定めています。

ここで大切なのは、「損害と加害者を知った時」からという点です。ただし、何をもって「知った」とするかは個別の判断になります。気づいた日は、日付つきで記録に残しておき、早めに弁護士に相談してください。「まだ大丈夫」と思い込まず、時系列を持って相談に行くのが安全です。

相談先と、やってはいけないこと

相談の中心は弁護士です。費用の心配があれば、法テラス(日本司法支援センター)の案内も使えます。番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧で確かめられます。お金を貸した・渡したといった被害があるときは、別の相談先(消費者ホットライン188や警察)も選択肢です。

弁護士に会うときは、次の4つを聞くと、相談の時間を無駄にしません。

聞くこと 理由
手元の材料で、偽りと損害のどちらが足りないか 追加で残すべき記録が分かる
時効の数え始めを、いつと考えるか 動き出す期限の目安になる
相手に連絡する前に、してはいけないことは何か 暴露や脅しと受け取られる連絡を避ける
費用の仕組み(相談料・着手金・報酬)はどうなるか 続けられる範囲かを決める

相談の前に、次のことは避けてください。

  • 相手の勤務先や家族、SNSに「独身と偽られた」と知らせる:刑法230条の名誉毀損は、条文上「その事実の有無にかかわらず」成り立つとされています。感情が強いときほど、投稿する前に弁護士に見せてください。
  • 相手を問い詰めて、「偽っていました」と認める書面に署名させる:脅しと受け取られかねない書面は、あとで自分に不利な材料になります。
  • 返信を長く書く:反論や謝罪を求める文面は、弁護士と相談してから出します。

相手の配偶者に連絡する前に考えたいことは、浮気相手の職場に連絡したいときや不倫を周囲に知らせると名誉毀損になる?が参考になります。妊娠があった場合は不倫で妊娠したときを先に読んでください。次は、出会いの入り口として多いマッチングアプリで既婚者と出会ってしまったらを扱います。

よくある質問

Q. 貞操権侵害は、民法のどの条文に書いてありますか?

「貞操権侵害」という見出しの条文はありません。民法709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した人に賠償責任を負わせ、710条は財産以外の損害(精神的な苦痛)の賠償も認めています。独身と偽られた交際について責任を問うときは、この不法行為の仕組みで整理します。

Q. 相手が既婚だと途中で気づいても、責任を問えますか?

気づいた日を境に、前と後を分けて整理するのが出発点です。気づく前は、独身と信じていたことが前提になります。気づいた後も交際を続けた場合は、その期間の扱いが変わりうるので、気づいた日と、その後の出来事を時系列に残して弁護士に見せてください。

Q. 妊娠や出産があった場合は、別の記事を見たほうがよいですか?

妊娠・出産は、心身の負担や費用、子どもの認知や養育費といった別の論点が加わります。この記事は交際の経緯を中心にした整理なので、妊娠したときは不倫で妊娠したときの記事を先に読み、早めに弁護士へ相談してください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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