離婚調停で何を聞かれる?浮気が原因のときに準備しておく答え
離婚調停で聞かれることは、申立てのときに裁判所へ出す書類の項目が、ほぼそのまま手がかりになります。調停委員会は、双方の事情や意見を聴いて助言やあっせんをする場で、浮気が原因のときも、中心は「これまでの経緯」「いま困っていること」「離婚の条件をどうしたいか」の3つです。裁判所の案内ページには調停での質問の一覧がないため、この記事では書式の項目から、聞かれやすい点と準備を整理します。
書式の項目から見る、聞かれやすいこと
調停委員会は、裁判官1人と、民間から選ばれた調停委員2人以上でつくられます。申立てのときに出す「事情説明書(夫婦関係調整)」は、調停で対立しそうな点、家族、収入、住まい、財産と負債、不和のいきさつを書く書式です。調停委員はこれを読んだうえで、足りないところを尋ねると考えておくと、準備の見当がつきます。
| 項目 | 尋ねられる内容 | 準備しておくもの |
|---|---|---|
| 1 過去の調停・審判 | この問題で以前に家庭裁判所へ来たことがあるか | 時期と事件番号のメモ |
| 2 対立しそうな点 | 離婚、同居か別居か、親権・養育費・親子交流、財産分与の額、慰謝料の額、負債、生活費 | 希望の優先順位を一文で |
| 3 同居の家族 | 氏名、年齢、続柄、職業 | 家族の一覧 |
| 4 収入 | 月収(手取り)、賞与、実家などの援助 | 源泉徴収票、給与明細 |
| 5 住まい | 自宅か賃貸か、家賃 | 賃貸借契約書、ローンの書類 |
| 6 財産と負債 | 土地・建物、預貯金のおおよその額、住宅ローンなど | 通帳の写し、残高の分かる書類 |
| 7 不和のいきさつ | 夫婦が不和になった経緯と、調停を申し立てた理由 | 日付順のメモ(浮気の経緯を含む) |
もう一つの「進行に関する照会回答書」は、調停の進め方の参考にする書面で、閲覧・コピーの対象としない取扱いです。申立ての前に相手と話し合ったか、そのときの相手の様子、相手は呼出しに応じそうか、話し合いは円滑に進みそうか、申立てを相手に伝えているか、暴力があるか、都合の悪い曜日、裁判所に配慮してほしいことを書きます。書き方は離婚調停の申立書の書き方に載せています。
浮気が原因のときに聞かれやすい5つの問い
書式の構成から見て、浮気が原因のときに聞かれやすいのは次の5つです。答えは、事実だけを短く言える形にしておきます。
- いつ、何で気づいたか:日付と、きっかけになった資料(明細、メッセージの画面、本人の話など)
- 相手は認めているか、何と言っているか:認める、否定する、はぐらかす、のどれか
- いまの夫婦の状況:同居か別居か、別居ならいつからか、生活費はどうしているか
- 離婚したい気持ちか、続ける余地もあるか:迷っているなら、迷っていると伝えてよい
- どんな条件を望むか:親権、養育費、財産分与、慰謝料、住まいの順位
1への答えの例:「令和○年○月に、相手のスマートフォンの通知画面に、見覚えのない名前からのメッセージが表示されているのが見えました。○月○日に尋ねると、相手は『○○』と答えました。」 4と5への答えの例:「離婚したい気持ちは変わりません。ただ、子どもの生活を先に安定させたいので、親権と養育費を先に決めたいです。慰謝料は、他の条件が決まってから考えます。」
3と4は、整理できていないまま調停に出る人が多い点です。迷っているときは、離婚したいと思ったら最初に整理することで、気持ち、子ども、お金の順に書き出してから臨むと、答えがぶれにくくなります。
準備しておく資料
資料は「全部持っていく」より、質問に答えるための根拠を一つずつ引き出せる状態にしておくと使いやすくなります。
- 日付順のメモ1枚(日付、出来事、根拠になる資料の名前)
- 浮気を示す資料の写し(原本は自宅で保管し、出す分だけをコピーする)
- 家計の一覧(収入、預貯金、保険、住宅ローンなど)
- 子どもの世話の記録(送り迎え、食事、通院を誰がしているか)
- 希望する条件の一覧(譲れないものと、譲れるもの)
資料を出す時期と、相手に見られることへの備えは離婚調停で浮気の証拠はどう使う?で扱っています。相手のスマホへのログインなど、集め方に問題がある資料は、出す前に浮気の証拠集めで違法になりうることを読み、弁護士に見せてください。
答えるときの注意
- 事実と推測を分ける:「見覚えのない名前からのメッセージが届いていた」は事実、「だから不倫相手と連絡をとっている」は推測です。推測は「そう考えています」と添えます。
- 覚えていない日付は「ころ」とする:あいまいな日付を断定すると、後で食い違いを指摘されます。
- 相手を責める言葉を並べない:気持ちは話してかまいませんが、評価を重ねるより、出来事を一つずつ話したほうが調停委員に伝わります。
- 条件に応じるかどうかは自分で決める:調停は合意が成立しなければ終わらない手続です。合意が調書に記載されると、確定判決と同じ効力を持つ(家事事件手続法268条1項)ので、納得できない条件には応じません。
合意できないまま終わったときの進み方は、離婚調停が不成立になったらで整理しています。
自分で進めるとき:弁護士・ウェブ会議・DVがある場合
裁判所は、調停では弁護士への依頼は必須ではないと案内しています。手続の流れや必要書類は、家庭裁判所の手続案内で聞けます。ただし法律相談ではないので、浮気の事情をどこまで話すか、慰謝料を求めるかといった判断は弁護士に相談します。相談する時期の目安は離婚で弁護士に相談するタイミングにあります。
遠方で出向くのが難しい場合や、相手と同じ空間では安心して話せない場合は、家庭裁判所が相当と認めれば、当事者の意見を聴いてウェブ会議が使えます。DVがあって顔を合わせたくないときも、ウェブ会議の利用などで裁判所の中で顔を合わせないように工夫されることが少なくないと、裁判所は案内しています。照会回答書には暴力の内容や、調停の日に不安なことを書く欄があるので、申立ての前に書いておきます。進め方はDVがあるときの離婚調停で扱います。調停全体の流れは離婚調停の流れ、離婚手続の地図は浮気・不倫が原因の離婚にまとめています。
よくある質問
Q. 調停委員は、浮気があったかどうかを判断してくれますか?
調停は勝ち負けを決める手続ではなく、双方の事情や意見を聴いて合意を目指す話し合いです。調停委員会が浮気の有無を認定して結論を出す場ではありません。相手方が否定している場合は、何があったかを日付と資料で伝え、合意できなければ不成立で終わります。
Q. 調停委員に聞かれたことが分からないとき、「分からない」と答えてもよいですか?
覚えていないこと、分からないことを、分かるふりをして答える必要はありません。推測で答えて後から食い違うほうが、話が進みにくくなります。日付や金額は資料で確かめて、次の期日までに答えると伝える方法があります。
Q. 調停の話し合いを、こっそり録音してもよいですか?
調停室での録音が認められているかは、この記事では確かめられていません。録音を考えるときは、申立先の家庭裁判所に、調停室の録音や撮影の扱いを問い合わせてください。ルールを確かめる前に、持ち込んで録音するのは避けます。
Q. 調停の日に、浮気の証拠は持っていくものですか?
調停委員から求められたときにすぐ出せるよう、写しを整理して手元に置いておく備えは役に立ちます。ただ、出す資料と出す時期は、相手に見られることも踏まえて決めます。考え方は離婚調停で浮気の証拠はどう使うかの記事にあります。
出典・参考にした公的な情報
- 家事調停の手続(調停委員会の構成・不成立の場合)(裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)
- 事情説明書(夫婦関係調整)の書式(裁判所)
- 進行に関する照会回答書(申立人用)の書式(裁判所)
- 家事事件Q&A(弁護士の依頼・ウェブ会議・DVがある場合の配慮)(裁判所)
- 家事事件手続法 第248条・第268条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。