慰謝料請求された側の弁護士の選び方:費用と相談で聞くこと
慰謝料を請求された側が弁護士を選ぶときは、不倫の慰謝料を請求された側の事件をどう扱うかを説明してもらえるか、費用の内訳と総額を書面で示してもらえるか、連絡の取り方が自分に合うかの3点を軸にします。「浮気に強い」といった広告の言葉は、事務所の自己申告です。相談の予約から依頼までを順に並べ、確かめる項目を表にまとめます。
誰に頼めるか:弁護士・認定司法書士・法テラスの違い
慰謝料を請求された側が相談できる先は、いくつかあります。できることと、できないことが違うので、まず比べます。
| 相談先 | できること | 注意すること |
|---|---|---|
| 弁護士 | 相手との交渉、調停や訴訟での代理、書面の作成(弁護士法3条) | 費用は事務所ごとに違う。標準の価格はない |
| 認定司法書士 | 請求額が140万円以下なら、裁判外の和解の交渉と簡易裁判所の訴訟の代理(司法書士法3条1項6号・7号) | 140万円を超える請求や、家庭裁判所の手続は対象外 |
| 行政書士 | 合意した内容を書面にする作成まで | 相手との交渉や争いの調整は、弁護士法72条の領域 |
| 法テラス | 制度や相談窓口の情報提供、条件を満たす人への無料の法律相談、費用の立替え(総合法律支援法30条) | 立替えは返す仕組み。収入と資産の基準がある |
| 弁護士会・自治体の相談 | 初回の相談で進め方を聞く | 時間や回数、料金は窓口ごとに決まっている |
裁判所での代理は、原則として弁護士の仕事です(民事訴訟法54条1項)。簡易裁判所では、許可を得て弁護士でない人が代理人になれる例外があります。請求額が140万円を超える、地方裁判所に訴えられている、家庭裁判所の調停になっている、といった場合は、弁護士が現実的な相談先です。各資格の違いは弁護士・司法書士・行政書士の違い:浮気・離婚で頼めることの範囲で詳しく扱っています。
交渉や示談の場面で、弁護士でない業者が「代わりに交渉します」とうたう場合は、依頼する前に、相手が弁護士かどうかを確かめます。報酬を得る目的で、他人の法律事件について代理や和解を業とすることは、弁護士や弁護士法人でなければできません(弁護士法72条)。
弁護士の探し方:検索と相談窓口の使い分け
弁護士の探し方は、主に3つです。
- 弁護士会の法律相談センター。 弁護士会が設ける相談窓口で、予約の方法や費用は弁護士会ごとに違います。使い方は弁護士会の法律相談センターの使い方:予約・費用・離婚相談の流れにあります。
- 日弁連の弁護士検索。 日弁連は、現在登録されているすべての弁護士の基本情報を見られる検索を用意しています。氏名や事務所の実在を確かめるのに使えます。
- ひまわりサーチ。 取扱業務などの条件から弁護士を探せる情報提供サービスです。ただし、登録は任意で、掲載情報は弁護士の自己申告であり、日弁連や弁護士会は内容に責任を負わないとされています。載っていないからといって、実在しないわけではありません。
事務所のサイトで見るのは、広告のうたい文句ではなく、次の点です。
- 慰謝料を請求された側の相談を受けているか。請求する側だけを前面に出していないか。
- 費用の説明があるか。着手金、報酬金、実費の区別が書かれているか。
- 初回相談の時間、料金、予約の方法が書かれているか。
「浮気に強い」「専門」といった言葉は、事務所の自己申告です。言葉の見分け方は「浮気に強い弁護士」の見分け方:広告の言葉と確かめるべき点で扱っています。また、弁護士や事務所を名乗って突然連絡してくる相手には注意が要ります。連絡が突然SNSや電話で来た場合は、弁護士検索で氏名を照合し、事務所の連絡先を自分で調べて確かめます。
費用の確かめ方:着手金・報酬金・実費と、減額分の数え方
日弁連は、弁護士費用には標準の価格はなく、個々の弁護士が基準を定めると説明しています。内訳の基本は次のとおりです。
| 項目 | 内容 | 確かめること |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 相談そのものの料金 | 時間と料金、無料の枠の有無 |
| 着手金 | 依頼した段階で払う。結果にかかわらず戻らない | 金額と、どの手続(交渉・調停・訴訟)までを含むか |
| 報酬金 | 事件の終了時に、成功の度合いに応じて払う | 何を基準に計算するか |
| 日当・実費 | 出張の日当、印紙代、郵券代、謄写費用など | 見込みの額、上限の有無 |
請求された側の事件で聞いておきたいのは、報酬金の計算の基準です。請求額がそのまま基準なのか、減った額に応じるのか、示談で決まった額がいくらなら報酬がいくらになるのか。数字を例にして、書面で示してもらいます。また、交渉から調停、訴訟へと手続が変わったときに、追加の着手金が必要になるかも確認します。
費用の仕組みは弁護士費用の仕組み:相談料・着手金・報酬金・実費の違いに、法テラスの立替えの条件は法テラスとは?浮気・離婚の相談で使える無料相談と費用の立替えの条件にまとめています。
初回相談で聞くこと:受任の説明と書面
弁護士職務基本規程は、受任する弁護士に、見通し、処理の方法、報酬と費用について適切に説明することを求めています(29条1項)。有利な結果になると請け合うことや保証することも禁じられ(同条2項)、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないのに、あるかのように装って受任することも禁じられています(同条3項)。「減額を約束します」のような言い方をする事務所は、この線から外れています。事務所の説明が、この線に沿っているかが、選ぶときの目安になります。委任契約書の作成も、原則として求められています(30条)。条文の現在の文言は、日弁連が公開する規程の和文で確かめてください。
初回相談では、次の項目を聞きます。
- 私の事案で、争える点はどこか。見込みを、断定せずに説明してもらえるか。
- 進め方の選択肢(交渉、調停、訴訟)と、それぞれの費用の違い。
- 連絡の方法と、返事の目安。担当者は誰か。
- 依頼したあと、相手との連絡を誰が行うか。
- 総額の見積もり。書面でもらえるか。
- 費用の支払い方法。分割の相談は可能か。
相談で聞く例:「請求された側として、この事案で争える点と、争えない点を教えてください。費用は、手続が進んだ場合の総額の目安も含めて、書面で見せてもらえますか。」
相談の前に、請求の入口の動き方は不倫の慰謝料を請求されたらすること、届いた書面が本物か疑うなら身に覚えのない不倫の慰謝料請求が来たら、費用に不安があるなら不倫の慰謝料が払えないとき、示談に応じる場面なら示談書で確かめる条項を読んでおくと、相談で聞くことが絞れます。事前に準備すると、相談の時間を有効に使えます。持ち物は弁護士に相談する前の準備:時系列メモと持ち物・聞くことの一覧に、訴状や呼出状が届いている場合の動き方は不倫で訴えられて訴状が届いたら:答弁書の期限と弁護士への相談に整理しています。
相談のあとは、複数の事務所の説明を比べても構いません。ただし、訴状や呼出状に期日や提出期限がある場合は、期限を過ぎないように、相談と依頼の時期を逆算して決めます。
よくある質問
Q. 最初の相談で、依頼するかどうかまで決めなければいけませんか?
決める必要はありません。相談は、事件の見通しや進め方、費用の説明を聞く場です。弁護士職務基本規程は、事件の受任時に、見通し、処理の方法、報酬と費用について適切に説明することを弁護士に求めています。説明を聞いたうえで、依頼するかどうかを持ち帰って考えて構いません。
Q. 不倫相手と同じ弁護士に一緒に頼めますか?
一緒に頼めるかどうかは、弁護士が判断します。同じ事件に依頼者が2人以上いて、利益が食い違うおそれがある場合、弁護士は受任の際に、辞任の可能性などの不利益を説明するものとされています。二人の利害が同じとは限らないので、依頼する前に事情を伝え、弁護士の考えを聞きます。
Q. 弁護士費用が払えないときは、依頼をあきらめるしかありませんか?
法テラスには、収入と資産の基準を満たす人に、弁護士費用を立て替える制度があります。立替えは返済が前提です。弁護士会や自治体の相談窓口で、まず進め方を聞く方法もあります。費用の心配は、最初の相談で率直に伝えます。
出典・参考にした公的な情報
- 弁護士法 第3条・第72条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟法 第54条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 司法書士法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 弁護士費用(報酬)とは(日本弁護士連合会)
- 弁護士検索・ひまわりサーチ(日本弁護士連合会)
- 弁護士職務基本規程(第29条・第30条・第32条・第33条。2022年6月時点の英訳版で確認)(日本弁護士連合会)
- 総合法律支援法 第30条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。