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慰謝料とは?意味・損害賠償との違い・浮気で問題になる場面

この記事のもくじ
  1. 慰謝料の意味:財産以外の損害の賠償
  2. 慰謝料と損害賠償の違い:慰謝料は損害賠償の一部
  3. 慰謝料と財産分与・養育費・婚姻費用の違い
  4. 浮気で慰謝料請求が問題になる場面

慰謝料とは、精神的な苦痛(財産以外の損害)に対して支払われる賠償金のことです。民法710条が、不法行為をした人は財産以外の損害も賠償しなければならないと定めていて、この賠償を一般に慰謝料と呼びます。慰謝料は損害賠償の一種で、損害賠償のうち「心の損害」にあたる部分を指します。浮気・不倫では、不貞行為をされた配偶者が、不倫をした配偶者や不倫相手に請求する場面で問題になります。

慰謝料の意味:財産以外の損害の賠償

民法の条文を読むと、「慰謝料」という言葉そのものはどこにも出てきません。根拠になるのは次の2つの条文です。

  • 709条:故意または過失で他人の権利や法律上保護される利益を侵害した人は、それによって生じた損害を賠償する責任を負う
  • 710条:身体・自由・名誉を侵害した場合でも財産権を侵害した場合でも、709条で責任を負う人は、財産以外の損害についても賠償しなければならない

つまり、ある行為が709条の不法行為にあたると、壊れた物や減ったお金のような財産の損害だけでなく、つらさ・悲しみ・屈辱のような財産以外の損害も賠償の対象になります。この財産以外の損害の賠償金が慰謝料です。

裁判所の慰謝料請求調停のページも、慰謝料を「相手方の不法行為によって受けた精神的苦痛を償うための損害賠償」と説明しています。賠償の方法は、民法722条1項が準用する417条により、特に決めがなければお金で額を定めます。謝罪や関係の解消は、慰謝料そのものではなく、話し合いで別に約束する事柄です。

慰謝料と損害賠償の違い:慰謝料は損害賠償の一部

「慰謝料と損害賠償はどう違うのか」という疑問には、損害賠償が大きな枠で、慰謝料はその中の一つと答えられます。損害賠償の対象となる損害を、財産の損害と財産以外の損害に分けると、次のようになります。

図解:損害賠償の中での慰謝料の位置
損害賠償の対象 中身の例 呼び方
財産の損害(実際に出たお金) 治療費、壊された物の修理代 財産的損害
財産の損害(得られなくなったお金) 働けなくなって減った収入 逸失利益
財産以外の損害 精神的な苦痛 慰謝料

もう一つの軸は、損害賠償の原因です。約束(契約)を守らなかったことによる損害賠償は民法415条の「債務不履行」、約束がなくても他人の権利を侵害したことによる損害賠償は709条の「不法行為」です。不倫の慰謝料は、不倫相手との間に契約があるわけではないので、不法行為として考えるのが基本です。

お金の呼び方は場面で変わります。示談書や話し合いでは、次のような言葉が使われます。法律の条文にある用語ではなく、何の名目で払うかを当事者が決める呼び名です。

呼び方 使われる場面 注意する点
慰謝料 精神的苦痛の賠償。条文の根拠は709条・710条 財産の損害(治療費など)は含まない
賠償金・損害賠償金 損害全体の賠償。慰謝料を含む広い呼び方 内訳が書かれていないと、何の分か分からない
示談金 示談で払うと合意したお金の総称 慰謝料以外の名目が混じることがある
解決金 責任の有無を決めずに、解決のために払う形で使われる 名前が違っても、合意の中身は書面で確かめる

名前が違っても、合意した金額と何の名目かが書面に残っていることが大切です。示談書の書き方は不倫の示談の進め方の記事で扱います。

慰謝料と財産分与・養育費・婚姻費用の違い

離婚の話し合いでは、慰謝料と一緒に、性質の違うお金がいくつも出てきます。混ぜて話すと、何をいくら決めたのかが分からなくなるので、名前と根拠を分けておきます。

お金の種類 何のためのお金か 民法の条文 浮気との関係
慰謝料 不法行為による精神的苦痛の賠償 709条・710条 不貞行為が原因になりうる
財産分与 婚姻中に夫婦で得た財産を離婚の際に分ける 768条 浮気をしたかどうかとは別の制度
養育費 離婚後の子どもの監護にかかる費用の分担 766条 子どものためのお金で、浮気の有無で消えない
婚姻費用 婚姻中(別居中を含む)の生活費の分担 760条 別居中の生活費として問題になる

財産分与は、2026年4月1日以後に離婚した場合は離婚の時から5年以内に家庭裁判所へ請求できます(それより前の離婚は2年)。数字の詳細は財産分与の基本の記事にまとめています。慰謝料と財産分与を合わせて一つの金額で決めることもありますが、内訳を書面に残しておくと、後で税金や支払いの話をするときに整理しやすくなります。

税金の扱いも、名目で考え方が分かれます。国税庁のタックスアンサーは、心身に加えられた損害について受け取る慰謝料などは所得税がかからないとし、離婚でもらう財産分与も原則として贈与税はかからないと説明しています。ただし財産分与は、額が多すぎる部分や、税を免れるための離婚と認められる場合には贈与税がかかるとされています。自分の場合の扱いは慰謝料に税金はかかるかの記事で国税庁の説明とあわせて確かめ、迷うときは税務署や税理士に相談します。

浮気で慰謝料請求が問題になる場面

「慰謝料請求とは」何かを浮気の場面に当てはめると、精神的苦痛の賠償を相手に求めることを指します。浮気・不倫では、誰が誰に請求するかで考え方が分かれます。

  1. された配偶者 → 不倫をした配偶者:不貞行為そのものの慰謝料のほか、それが原因で離婚に至った場合の慰謝料が問題になります。違いは離婚の慰謝料と不倫の慰謝料の違いの記事で扱っています。
  2. された配偶者 → 不倫相手:不倫相手に既婚の認識があったかなどが問題になります。最高裁平成31年2月19日判決は、不倫相手に対する「離婚に伴う慰謝料」は特段の事情がない限り請求できないとしていますが、不貞行為そのものを理由とする責任は別です。詳しくは不倫相手に慰謝料を請求するときの記事へ。
  3. 結婚していない人どうし:婚約者や恋人の浮気では、夫婦の場合と前提が違います。婚約者の浮気で慰謝料を請求できるかの記事と彼氏や彼女の浮気で慰謝料を請求できるかの記事に分けています。

どの場面でも、慰謝料の請求権には期限があります。民法724条により、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効により消滅します。条文と判例の組み立ては不貞行為の慰謝料の仕組みの記事、請求できる場面から進め方までの全体は浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像で確かめられます。

よくある質問

Q. 慰謝料の「慰謝」とはどういう意味ですか?

苦しみや悲しみを慰め、つぐなうという意味合いの言葉です。法律の条文には「慰謝料」という語は出てこず、民法710条が「財産以外の損害」の賠償を定めています。その賠償金を、日常でも裁判の場でも慰謝料と呼んでいます。

Q. 慰謝料と示談金は同じものですか?

同じとは限りません。示談金は、示談(話し合いでの合意)で払うと決めたお金の呼び方で、慰謝料のほかに治療費や物の損害など別の名目が含まれることがあります。示談書では、何の名目でいくら払うのかを分けて書いておくと、後で食い違いが起きにくくなります。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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