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彼氏や彼女の浮気で慰謝料は請求できる?結婚していない場合の考え方

この記事のもくじ
  1. 彼氏・彼女の浮気で慰謝料が問題になりにくい理由
  2. 例外になりうる場面:婚約・内縁・既婚を隠された
  3. 慰謝料のほかに整理できること:お金・物・約束
  4. 相談する前に書き出すことと、相談先の選び方

結婚していない彼氏・彼女の浮気は、慰謝料の問題になりにくいのが法律上の基本です。夫婦の浮気で慰謝料が認められるのは、法律上の夫婦としての権利や婚姻生活の平和が守られているからで、恋人どうしの交際にはその土台がありません。ただし、婚約していた、内縁と言える生活をしていた、相手が既婚を隠していた、といった場面では話が変わりえます。この記事では、問題になりにくい理由と、例外になりうる場面の見分け方を順に整理します。

彼氏・彼女の浮気で慰謝料が問題になりにくい理由

慰謝料は、民法709条(不法行為)と710条(財産以外の損害の賠償)にもとづく損害賠償です。709条は「他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」ことを要件にしています。つまり、浮気でどれだけ傷ついたかの前に、法律が守っている権利や利益が侵されたかが問われます。

夫婦の浮気について、最高裁は次のように説明してきました。

  • 昭和54年3月30日判決:配偶者のある人と関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方の配偶者の「夫又は妻としての権利」を侵害する
  • 平成8年3月26日判決:不倫が不法行為になるのは、「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」を侵害するから

どちらも、守られているのは婚姻から生まれる権利や利益です。恋人どうしには婚姻の届出も、夫婦の同居・協力・扶助の義務(民法752条)もありません。そのため、交際相手がほかの人と関係を持っても、夫婦の不倫と同じ理屈で慰謝料を請求する道は通りにくくなります。

関係が長く深い場合でも同じ考え方が出た例があります。最高裁平成16年11月18日判決は、子どもが2人いた婚姻外の男女の関係について、住まいは別々で共同生活をしたことはなく、生計も財産も分けており、婚姻を意図的に避けていた事情などを挙げ、一方が関係を突然解消して別の人と結婚したことを不法行為とは評価できないとしました。事案ごとの判断ですが、「付き合いが長い」「子どもがいる」だけで夫婦と同じ保護が及ぶわけではないことが分かります。

早見表:関係の形ごとの、浮気と慰謝料の考え方
関係 法律上の位置づけ 浮気で慰謝料が問題になるか 読む記事
交際中の恋人 届出も、結婚の約束もない なりにくい(この記事) ―
婚約者 結婚の約束が成立している 婚約の成立と破棄の経緯しだいで問題になりうる 婚約者の浮気と慰謝料
内縁・事実婚 婚姻に準ずる関係(最高裁昭和33年判決) 不当な破棄なら損害賠償を求めうる 事実婚・内縁の相手の浮気
法律上の夫婦 婚姻の届出がある 不貞行為として問題になる 夫・妻の浮気と慰謝料

例外になりうる場面:婚約・内縁・既婚を隠された

恋人の浮気でも、関係の中身が「ただの交際」を超えていれば考え方が変わります。自分の状況が次のどれかに近いかを、まず確かめてください。

  1. 婚約していた:結婚の約束がはっきり成立していた場合です。指輪の受け渡し、両家へのあいさつ、式場の予約など、約束を示す事情が問題になります。成立をどう見るかは婚約者の浮気で慰謝料を請求できるかの記事、婚約破棄の扱いは婚約者の浮気で婚約破棄はできるかの記事で扱います。
  2. 内縁と言える生活だった:最高裁昭和33年4月11日判決は、内縁を不当に破棄された人は相手に不法行為として損害の賠償を求めうるとしました。同棲の長さだけでなく、夫婦として協力して暮らす実態があったかが見られます。詳しくは事実婚・内縁の相手の浮気はどう扱われるかの記事へ。
  3. 相手が既婚者だった:独身だと思って付き合っていた相手に配偶者がいた場合は、浮気の慰謝料ではなく、だまされて関係を続けさせられたことの責任が問題になりえます。考え方は貞操権侵害とは何かの記事で扱います。反対に、相手の配偶者から自分が請求されることもあるので、既婚者だと知らなかったのに慰謝料を請求されたときの記事も合わせて読んでください。
  4. 浮気の場面で別の被害があった:問い詰めたら殴られた、性的な画像をばらまくと言われた、といった場合は、浮気とは別の行為として法律の問題になります。慰謝料より安全が先です。リベンジポルノの被害・脅しにあったときの記事や浮気・不倫の相談先一覧から窓口を選んでください。

慰謝料のほかに整理できること:お金・物・約束

慰謝料が難しくても、交際中に生まれたお金や物の問題は別に整理できます。浮気の怒りと混ぜると話がこじれやすいので、項目ごとに分けて書き出すのが、まず試しやすい方法です。

項目 何の問題か 整理のしかた
貸したお金 貸し借り(返してもらう約束)の問題 日付・金額・返す約束の有無を、振込記録やメッセージと一緒に一覧にする
同棲の家具・家電 誰が買い、誰の物か 購入時のレシートやカードの明細で、支払った人を確かめる
部屋の契約 賃貸借の名義と解約の手続 契約者が誰か、退去の費用をどう分けるかを先に決める
「浮気したら払う」という誓約書 当事者の約束の効力 書面の写しを保管し、効力は弁護士に確かめる(民法90条で争われうる)

誓約書の効力の一般的な考え方は浮気の誓約書に効力はあるかの記事にまとめています。お金を返してほしいと伝えるときも、相手の職場やSNSで浮気を言いふらす形はとらないでください。名誉毀損などで、請求する側が責任を問われるおそれが出てきます。

相談する前に書き出すことと、相談先の選び方

慰謝料を請求できるかどうかは、個別の事情を見ないと判断できません。その判断と相手との交渉は弁護士の仕事です。相談の時間を有効に使うため、次の点を時系列で書き出してから行きましょう。

  • 交際の始まりと期間、同居していたかどうか(住民票や賃貸契約の名義も)
  • 結婚の約束があったか。あれば、いつ、どんな形で(指輪・あいさつ・式場・親族への紹介)
  • 家計を一緒にしていたか、子どもがいるか
  • 浮気が分かった時期と経緯、相手が認めているか
  • 相手が既婚者だった疑いがあるか
  • 貸したお金や共有の物の一覧

費用が心配なときは法テラスの使い方の記事、準備の全体は弁護士に相談する前の準備の記事を参考にしてください。

慰謝料の道が難しいと分かったあとに残るのは、別れるか続けるかという気持ちの問題です。判断の材料は彼氏の浮気に気づいたときの記事と彼女の浮気が分かったときの記事に整理しました。浮気調査を考えている場合は、結婚していない場合の目的と費用を彼氏や彼女の浮気調査は頼めるかの記事で確かめてください。夫婦の場合の考え方は夫の浮気で慰謝料を請求したい妻への記事へ続きます。

よくある質問

Q. 彼氏の浮気相手に慰謝料を請求することはできますか?

夫婦の場合に不倫相手が責任を負うとされるのは、配偶者の「夫又は妻としての権利」や婚姻共同生活の平和を侵したからだと最高裁は説明しています。結婚していない恋人の浮気相手には、この理屈がそのまま当てはまりません。婚約や内縁にあたる事情がある場合は、経過をまとめて弁護士に見てもらいます。

Q. 同棲していた彼女の浮気でも、慰謝料は問題になりにくいのですか?

一緒に住んでいたというだけで内縁になるわけではありません。内縁は、婚姻の届出はなくても夫婦に準ずる関係を指す言葉で、民法に定義はありません。結婚の意思や家計・親族づきあいなど、夫婦としての実態があったかどうかが分かれ目になるので、事情を書き出して相談してください。

Q. 交際中に「浮気したらお金を払う」と一筆もらっていました。払ってもらえますか?

慰謝料ではなく、当事者が交わした約束の効力の問題になります。民法90条は公の秩序や善良の風俗に反する約束を無効としており、金額の大きさや書かせた経緯によっては効力が争われます。書面の写しを持って弁護士に相談し、請求するかを決めてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

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