リベンジポルノの被害・脅しにあったら:削除の相談先と警察への届け出
性的な画像や動画を「ばらまく」「ネットに流す」と脅されている、あるいはすでに投稿されてしまった。そのときは、要求に従って送金や追加の画像送付をする前に、警察か性犯罪被害の相談窓口に連絡してください。 画像を第三者に不特定多数へ提供する行為は、私事性的画像記録提供等被害防止法で処罰の対象になり、脅すこと自体も刑法の脅迫や強要にあたりえます。サイトに載ってしまった画像は、サイト事業者・法務局・弁護士など、複数の窓口から削除を求める道があります。
いまの状況に合う窓口は次のとおりです。
- いま身の危険がある(相手が家や職場に来る、暴力をほのめかされる):110番
- 画像のことで警察に相談したい:性犯罪被害相談電話 #8103(24時間・通話無料。発信地を管轄する都道府県警察につながる)
- 夜でも話を聞いてほしい、支援の全体を知りたい:ワンストップ支援センター #8891(通話無料。センターにより24時間、または夜間・休日はコールセンターにつながる)
- 緊急ではないが警察に相談したい:#9110(受付時間は都道府県警察ごとに異なり、夜間・休日は当直や音声案内になる)
ほかの窓口の番号と使い分けは浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にまとめています。つらさが強くて何も手につかないときは、浮気や不倫で死にたいほどつらいとき:今すぐ話せる相談先も開いてください。
脅されている最中と、投稿された直後にすること
画像を握られている人が最初に感じるのは、取り返しのつかないことをしたという恐怖です。ただ、状況によって先にやることの順番が違います。
| いまの状態 | 先にすること | やらないこと |
|---|---|---|
| 「流す」と脅されているが、まだ投稿されていない | 脅しの文面・相手のアカウント・日時を画面で記録し、警察(#8103か#9110)へ | 追加の画像を送る、会いに行く、要求された金額を急いで払う |
| すでにSNSや掲示板に載った | 投稿のURL・画面・日時を記録し、運営者への削除依頼と警察への相談を並行して進める | 投稿者に直接抗議して刺激する、画像を保存し直して人に見せる |
| 画像は載っていないが、知人に送られた | 送られた人に「見ない・転送しない・消す」と頼むことを、警察や弁護士と相談してから決める | 自分で関係者に事情を説明して回る |
手順にすると次のとおりです。
- 相手とのやりとりを消さない。メッセージ、通話履歴、送金の記録、相手のプロフィール画面を、日時が分かる形で画面保存します。相手をブロックする前に保存を済ませてください。
- 画像そのものを、自分から他人に転送しない。警察への相談では、URLと画面の記録があれば状況は伝わります。現物の見せ方は、電話で窓口に聞いてから出向きます。
- 要求への返事は、保留にする。「確認してから連絡する」とだけ伝えるか、返さずに相談先へ先に連絡します。期限を切られていても、相手の期限に合わせる必要はありません。
- お金を払ってしまった場合は、振込先や日時を記録して警察に伝える。追加の要求が続くことが多いため、一度払ったことを理由に相談をためらわないでください。
- 一人で抱えない。#8103かワンストップ支援センターで、状況の整理から聞いてもらえます。
警察庁の資料では、令和7年(2025年)に警察が受けた私事性的画像の相談等は2,514件で、法の施行後で最も多くなりました。被害者と相手の関係は、交際相手(元を含む)が1,115件(44.4%)、配偶者(元を含む)が54件(2.1%)でした。件数が多いということは、同じ状況で相談している人が大勢いるということです。
私事性的画像記録提供等被害防止法の要点
この法律が守るのは、撮影された本人の名誉と私生活の平穏です。ポイントは条文ごとに分けると見通しがよくなります。
| 条文 | 内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 2条 | 「私事性的画像記録」の定義。性交などの姿態、性的な部位が殊更に露出・強調された姿態を撮影した画像で、撮影された人が第三者に見られることを認識して撮影を承諾・撮影したもの(商業作品など)は除く | - |
| 3条1項 | 第三者が、撮影された人を特定できる方法で、電気通信回線を通じて不特定または多数の者に画像を提供する | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 3条2項 | 写真・USBなどの記録物を不特定または多数の者に提供する、公然と陳列する | 同上 |
| 3条3項 | 1項・2項の行為をさせる目的で、画像を提供する | 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 3条4項 | 上の罪は告訴がなければ起訴できない(親告罪) | - |
| 4条 | サイト事業者の責任の特例(下の見出しで説明) | - |
親告罪とは、被害者が処罰を求める意思を示す「告訴」がなければ起訴できない罪のことです。告訴は書面または口頭で、検察官か司法警察員(警察署の捜査官など)にします(刑事訴訟法241条)。親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を過ぎるとできなくなります(同法235条)。相談だけで終えるつもりでも、告訴を考える可能性があるなら、日付の記録を残しておいてください。
注意したい点が二つあります。
- 「特定できる方法」の判断は、顔が写っているかだけでなく、名前、勤務先、SNSのアカウント名など、投稿の全体から決まります。顔を隠していれば安全だと考えて動くのは危険です。
- 脅しの部分は別の法律で扱われます。「ばらまく」と告げて金銭などを要求することは、刑法222条の脅迫(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)や、223条の強要(3年以下の拘禁刑)に当たりえます。警察庁の統計でも、私事性的画像に関わる事案で、脅迫49件、強要36件、ストーカー規制法違反38件、名誉毀損15件が検挙されています(令和7年、複数の罪名がある場合は法定刑の最も重いもので計上)。
画像が隠し撮りで得られたものなら、性的姿態撮影等処罰法も関わります。ひそかに性的な部位や性行為の姿態を撮影することは2条で、撮影された画像を提供することは3条で、それぞれ処罰の対象です。
| 知りたいこと | 相談先 | 補足 |
|---|---|---|
| 警察に届けたい・脅されている | #8103、#9110、緊急は110番 | #8103は24時間・通話無料 |
| 心身の支援・医療・法律支援の入口 | ワンストップ支援センター(#8891) | センターにより24時間、または夜間・休日コールセンター |
| サイトの画像を消したい | サイト運営者、法務局(みんなの人権110番) | 運営者への申出が先になることが多い |
| 削除依頼の書き方を知りたい | 違法・有害情報相談センター、法務局 | 削除そのものはしない。助言が中心 |
| 投稿者を知りたい・損害賠償を考える | 弁護士 | 費用の相談は法テラス |
削除の頼み方と、相談できる窓口
載ってしまった画像を消すには、窓口ごとにできることが違います。順番に使い分けます。
サイト運営者・SNS事業者への申出。 画像が載っている場所の運営者に、削除(送信を防止する措置)を求めます。法律の4条は、撮影された本人が、①削除を求める情報、②名誉や私生活の平穏が侵害された旨とその理由、③その情報が私事性的画像記録に係るものである旨を示して申し出ると、運営者が投稿者に削除に同意するか照会し、照会から2日を過ぎても投稿者が同意しない旨を申し出なければ、削除しても運営者が投稿者に対して賠償責任を負わない、と定めています。運営者に削除を義務づける規定ではなく、運営者が削除に踏み出しやすくするための特例です。申出の様式はサイトごとに違うため、削除依頼フォームか利用規約で確かめます。
警察。 警察庁の資料には、画像の削除を含む加害者への注意・警告を行った、と書かれています。相手が分かっているときは、削除を求める話も含めて、まず警察に相談する価値があります。
法務局(みんなの人権110番 0570-003-110)。 平日の8時30分から17時15分に受け付け、最寄りの法務局につながります。法務省のページによると、法務局は、ネット上の情報が名誉毀損やプライバシー侵害に当たるかを判断し、人権侵害と認めた情報について、プロバイダなどへ削除を「要請」します。要請は強制ではありません。法務局の窓口での面談、インターネット人権相談、LINEでの人権相談も使えます。一部のIP電話などからはつながらない場合があり、そのときは各法務局の電話番号を使います。通話料は、法務省のページに記載がありません。
違法・有害情報相談センター(総務省の委託事業)。 削除依頼の方法を、ウェブフォームで相談できます。センター自身が削除するわけではなく、助言が中心です。受付状況はセンターのページで確かめてください。
弁護士。 サイトが削除に応じない、投稿した人を特定したい、損害賠償を考えたい、という段階では弁護士の仕事になります。費用が心配なときの入口は法テラスとは?浮気・離婚の相談で使える無料相談と費用の立替えの条件、相談先の選び方は弁護士の無料相談を使うには:自治体・弁護士会・法テラスの違いと準備で整理しています。ネット上の書き込み全般の削除は、不倫のネット書き込みを消したいとき:削除の相談先と法務局の人権相談に詳しく書いています。
不倫の場面で、画像を使って脅される形
このサイトに来る人の多くは、次のような場面にいます。誰が脅しているかで、次の一歩が少し変わります。
- 不倫相手が、別れ話のあとに脅す。 「会わないなら写真を流す」という形は、別れた相手のつきまといと一緒に起きやすく、別れた不倫相手のストーカー行為に悩んだら:警察への相談と記録の状況と重なります。画像の脅しとつきまといを分けずに、同じ記録の中で警察に伝えます。
- 不倫相手の配偶者が、画像を手に入れて脅す。 スマホやクラウドから見つけた画像を持ち出して、職場や家族に送ると告げる形です。画像を見つけた側が拡散すれば、その側が処罰の対象になりえます。
- 配偶者が、証拠として手元に置いている。 不倫の証拠として画像を保存していること自体と、それを第三者に見せたり送ったりすることは、別の問題です。家族や職場など第三者に見せたり送ったりする前に、弁護士に確かめてください。
- 自分が画像を持つ側になっている。 配偶者や不倫相手の画像を見つけて、「晒したい」と思うほど苦しいことがあります。そのときは、浮気相手を晒す・家に乗り込む前に:加害側にならないための線を先に読んでください。
不倫をしていた事実と、画像で脅される被害は、別々に扱われます。不倫の責任が問われる場面があるとしても、脅されてよい理由にはなりません。
警察や窓口に相談するときの準備
電話や窓口で話す前に、次のメモを作っておくと伝えやすくなります。完全にそろわなくても、電話してかまいません。
- 相手の名前、アカウント名、連絡先(分かる範囲)
- 脅された日時と、そのときの言葉(画面保存があれば、その日付順の並び)
- 画像が載っている場所のURLと、確認した日時
- 相手が要求していること(金額、会う約束、追加の画像など)と、すでに応じたこと
- 画像を撮った経緯(二人で撮った、ひそかに撮られた、自分で送った、など)。話したくない部分は、無理に詳しく話さなくて大丈夫です。
話の順番は、「何が起きているか(結論)」「いつから」「何を要求されているか」「何を保存してあるか」の順にすると、聞く側が状況をつかみやすくなります。#9110のかけ方と、できること・できないことは#9110とは?浮気・不倫のトラブルで警察に相談できることにまとめています。
よくある質問
Q. 相手に画像をもう送ってしまいました。それでも警察に相談できますか?
相談できます。脅している側の行為(脅迫や強要、画像の提供)が問題になるのであって、送ってしまったことで相談の資格がなくなるわけではありません。恥ずかしさで電話をためらう人が多い場面ですが、性犯罪被害相談電話の#8103は24時間で、通話は無料です。
Q. 付き合っていたとき、合意して撮った画像でも対象になりますか?
法律の定義は、撮影された人が「第三者に見られることを認識したうえで、任意に撮影を承諾した、または撮影した」画像(商業作品など)を除いています。恋人どうしが二人だけのつもりで撮った画像は、この除外には当たらず、第三者が不特定多数に提供すれば処罰の対象になりえます。
Q. サイトに削除を頼むと、投稿した人に伝わりますか?
法律の特例(4条)は、サイト事業者が投稿者に「申出の内容を示して、削除に同意するか」を照会する流れを前提にしています。つまり、申出があったこと自体は投稿者に伝わる可能性があります。相手を刺激して危険が増しそうなときは、削除の依頼の前に警察か#8103で相談してください。
出典・参考にした公的な情報
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 第2条・第3条・第4条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 第2条・第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法 第222条・第223条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑事訴訟法 第230条・第235条・第241条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について(第3 私事性的画像に係る事案への対応状況)(警察庁)
- 犯罪被害者白書 資料9 相談・支援窓口(令和7年4月現在)(警察庁)
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府男女共同参画局)
- インターネット上の人権侵害をなくしましょう(法務省)
- みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)(法務省)
- 違法・有害情報相談センター(総務省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。