子供の前での夫婦喧嘩が続くとき:子供を守るための相談先
この記事のもくじ
子どもの前での暴言や暴力は、子どもへの心理的虐待にあたりうるとされています。児童虐待防止法2条4号は、子どもへの著しい暴言のほか、子どもが同居する家庭での配偶者への暴力(身体への暴力に準ずる、心身に有害な言動を含む)も心理的虐待として定めています。子どもの前での喧嘩が続いて心配なときは、一人で抱えず、下の窓口に相談してください。
いま、危険が迫っているとき
- 暴力をふるわれている、刃物などを持ち出されたなど、すぐに助けが必要なときは 110番
- 子どもの前で暴力や暴言が続いている、子どもが怖がっている、どうすればよいかわからないときは 189(児童相談所虐待対応ダイヤル。近くの児童相談所につながる。匿名で相談できる)
- 配偶者から暴力や暴言を受けているときは DV相談+ 0120-279-889(電話は24時間。チャットは12時〜22時)。近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる番号は、下の「暴力や脅しを受けている側の相談先」にあります
番号・受付時間の全体は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にあります。この記事は、相談先を選ぶ前に「いまの状況が何にあたるか」を知りたい人のために書いています。
子どもの前の夫婦喧嘩は、どこから「虐待」にあたりうるのか
児童虐待防止法2条は、18歳未満の児童について保護者が行う行為を、身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待の4つに分けています。夫婦喧嘩に関わるのは、4号の心理的虐待です。条文が挙げるのは次の3つです。
- 児童に対する著しい暴言、または著しく拒絶的な対応
- 児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(事実婚を含む。身体に対する不法な攻撃で生命や身体に危害を及ぼすもの、およびこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動)
- その他、児童に著しい心理的外傷を与える言動
判断の中心は、「著しい」かどうかと、子どもに与える影響です。目安として、次の表のように分けて考えられます(法律上の判断は、児童相談所や裁判所が個別の事情をみて行います)。
| 状況 | 見方 | 相談先の目安 |
|---|---|---|
| たまに意見が食い違って声が大きくなったが、子どもに向かない | 子どもを不安にさせやすいので避けたいが、直ちに虐待とは言えない | 話し合う場所と時間を子どもに届かない所へ移す。家庭内の工夫(後半)から始める |
| 怒鳴り合い、物に当たる、罵倒が子どもの前で日常的に続く | 「著しい暴言」「著しい心理的外傷」にあたる可能性がある | 189に相談できる。子ども自身も24時間こどもSOSダイヤルなどを使える |
| 配偶者に手を上げる、脅す、スマホ・外出を制限する言動を子どもが見聞きしている | 配偶者への暴力を子どもが目撃する状況(いわゆる面前DV)。心理的虐待にあたりうる | 110番(危険が迫るとき)、189、DV相談+、配偶者暴力相談支援センター |
| 子どもに直接、暴言・暴力が向かう | 児童虐待にあたりうる | 110番または189 |
警察庁によると、令和7年の児童虐待の通告児童数122,588人のうち、心理的虐待は91,492人で、うち面前DVが52,719人でした。子どもの前での配偶者への暴力・暴言は、児童虐待の通告のなかでも大きな割合を占めています。
189に相談すると、どうなるのか
こども家庭庁の案内によると、189は近くの児童相談所につながる全国共通の番号で、通話料は無料です(一部のIP電話はつながりません)。コールセンターのオペレーターがお住まいの地域を聞き取り、管轄の児童相談所に転送します(令和7年12月22日から、固定電話・携帯電話を問わずこの方法)。
- 匿名で相談できる:通告・相談は匿名でも行え、通告した人と内容に関する秘密は守られると案内されています。
- 相談だけでもよい:「虐待かどうかわからない」という段階でも、状況を話せます。
- 周りの人も通告できる:児童虐待防止法6条は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに市町村や児童相談所などに通告しなければならないと定めています。守秘義務の規定は、通告の妨げにならないとされています。
- 相談の結果は状況次第:児童相談所が子どもや家庭の状況を確認し、必要な支援や対応を判断します。「連絡すれば子どもと引き離される」と決まっているわけではありません。
自分が喧嘩の当事者である親が相談してもかまいません。警察庁の窓口一覧では、189は子育ての悩みと児童虐待の相談の窓口とされています。「子どもの前で怒鳴ってしまう」という悩みも、ここで話せます。
暴力や脅しを受けている側の相談先
配偶者から暴力や暴言を受けている場合は、子どもの安全とあなた自身の安全は別々ではなく、つながっています。
- DV相談+ 0120-279-889:内閣府の事業で、電話は24時間。チャットは12時〜22時。必要な場合は同行支援や安全な居場所の提供につながることがあります。
- #8008(DV相談ナビ):近くの配偶者暴力相談支援センターにつながります。センターでは、相談、カウンセリング、緊急時の安全の確保と一時保護、自立のための情報提供、保護命令制度の情報提供などが受けられます。受付はつながった先の時間内で、通話料がかかります。
- 警察相談専用電話 #9110:緊急ではないが警察に相談したいとき。受付時間は都道府県警察ごとに異なります。
相手から逃げる準備、保護命令などはDVから逃げる準備:持ち出すもの・相談先・住所を知られない手続き、保護命令とは?配偶者からの暴力で申し立てる手続きと相談先で説明しています。浮気を問い詰めたことがきっかけで暴力を受けている場合は、証拠集めや話し合いより安全を先にしてください。
暴力に至らない言い争いを、子どもに届かせない工夫
暴力や脅しがなくても、言い争いが続くと、子どもは不安を抱えます。裁判所の資料は、子どもにとって父母が争う姿を見るのはつらいものだとして、見せない・聞かせないことの大切さを述べています。浮気の問い詰めのように感情が高ぶる話ほど、次の工夫が役に立ちます。
- 話し合う時間と場所を決める:子どもが寝たあと、外出中、別室でも声が届かない時間に。その場で始まってしまったら、「あとで話そう」と区切る合図を二人で決めておく。
- 退席の合図を決める:声が荒れたら、どちらかが席を外す。5分でも距離を置く。
- 喧嘩を見てしまった子どもには、あとで声をかける:「怖かったね。あなたのせいではないよ」と伝える。
- 子どもに仲裁や味方をさせない:「どっちが悪いと思う?」は聞かない。
- 第三者の場へ移す:二人では冷静に話せないなら、夫婦カウンセリングや家庭裁判所の調停を使う方法もあります。効果の考え方は夫婦カウンセリングに効果はある?期待できること・できないことで整理しています。
子どもへの声かけの例や年齢別の言い方は浮気と子供:影響を小さくするために親ができることと決めること、親の浮気に子供が気づいたとき:その場の対応と年齢別の説明の仕方にあります。
子ども自身が使える窓口
子どもが自分から話したいときは、24時間こどもSOSダイヤル(文部科学省、0120-0-78310、通話無料)が使えます。親からも、子どもに「困ったらここにも電話していいよ」と伝えておけます。子ども向けの窓口の全体と受付時間は、浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表で確かめられます。
喧嘩が続いて、別居や離婚の話になっているときは、安全の確保が先です。落ち着いてから、別居するとき子供をどうする?連れて出る前に考えたいことと、暴力が背景にあるときの親権の考え方を扱うDVがあるときの親権:単独親権と定めなければならない場合を読んでください。
よくある質問
Q. 子供の前で夫婦喧嘩をすると、虐待になりますか?
すべての夫婦喧嘩が虐待になるわけではありません。児童虐待防止法2条4号は、児童に対する著しい暴言のほか、児童が同居する家庭での配偶者に対する暴力(身体への暴力に準ずる心身に有害な言動を含む)や、その他児童に著しい心理的外傷を与える言動を心理的虐待としています。日常的に怒鳴り合う、暴力や脅しを子どもが見聞きする状況は、これにあたりうるため、189などへの相談を検討してください。
Q. 189に電話すると、誰かに通報されて家族が引き離されますか?
189は、近くの児童相談所につながる全国共通の番号で、通告・相談は匿名で行うこともでき、通告・相談した人と内容に関する秘密は守られるとこども家庭庁は案内しています。相談の結果どう対応するかは、児童相談所が状況を確認して判断します。まずは相談として、いまの状況を話すことから始められます。
Q. 夫婦喧嘩が浮気の話し合いで、感情的になるのを止められません。どうすればよいですか?
話し合いの場所と時間を、子どもに届かないところへ移すのが最初の工夫です。子どもが寝たあと、外出中、別の部屋など、見えず聞こえない状況を選びます。それでも手が出そう、声が荒れて止まらないときは、第三者のいる場(相談窓口や家庭裁判所の調停)へ移す方法があります。
出典・参考にした公的な情報
- 児童虐待の防止等に関する法律 第2条・第6条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について(通話無料・匿名可・転送の仕組み)(こども家庭庁)
- 令和7年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について(警察庁)
- 犯罪被害者白書 資料9(相談窓口一覧)(警察庁)
- DV相談について(DV相談ナビ・DV相談+)(内閣府男女共同参画局)
- 「子どもにとって望ましい話し合いとなるために」概要資料(令和8年3月31日)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。