不倫のネット書き込みを消したいとき:削除の相談先と法務局の人権相談
この記事のもくじ
不倫のことをネットに書き込まれたときの基本の順番は、①画面を保存する、②サイト運営者に削除を依頼する、③進まなければ法務局(みんなの人権110番)や違法・有害情報相談センターに相談する、④書いた人を特定したい・賠償を求めたいなら弁護士に相談する、です。法務局が行うのは削除の「要請」で、強制力はありません。実名や勤務先、性的な画像、脅しが含まれるときは、削除の前に警察への相談も並行します。
いまの状況に合う窓口です。
- 脅されている、画像が載っている:#9110(受付時間は都道府県警察ごとに異なり、夜間・休日は当直や音声案内)、性犯罪被害相談電話 #8103(24時間・通話無料)。緊急は110番
- ネットの人権侵害を相談したい:みんなの人権110番 0570-003-110(平日8時30分〜17時15分)
- 気持ちがつらくて限界に近い:#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日)、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)
番号の一覧は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表にあります。つらさが強いときは、先に浮気や不倫で死にたいほどつらいとき:今すぐ話せる相談先を開いてください。
Q1. 書き込みを見つけたら、最初に何をしますか?
最初にするのは、消す前に残すことです。
- 書き込みの画面全体を保存する(日時や投稿者名が見える形)。
- 書き込みのURLを控える。
- 見つけた日時、見つけた経緯、書き込みにつけられた反応やコメントを残す。
- 投稿者のアカウント名、プロフィール、過去の投稿を保存する(分かる範囲)。
- 書き込みが拡散していそうなら、拡散先も保存する。
見つけた直後は、投稿者に反論したり、「やめて」と返信したくなります。それは、投稿者を刺激して書き込みが増えたり、自分の返信が新しい燃料になったりする場合があるため、いったん保留してください。
保存が済んだら、書き込みの種類を見分けます。種類によって、関わる法律と先に使う窓口が変わります。
| 書き込みの種類 | 関わる法律の例 | 先に考える窓口 |
|---|---|---|
| 不倫の事実を、実名・勤務先つきで書いた | 刑法230条(名誉毀損)、民法709条・710条 | サイト運営者、法務局 |
| 事実でないことや悪口を書いた | 刑法230条・231条(侮辱) | サイト運営者、法務局、弁護士 |
| 性的な画像や動画が載っている | 私事性的画像記録提供等被害防止法 | 警察(#8103)、サイト運営者。リベンジポルノの被害・脅しにあったら |
| 「会社にばらす」など、脅す内容が入っている | 刑法222条(脅迫) | 警察。「会社にばらす」と言われたとき |
| 住所・電話番号・家族の名前が載っている | プライバシー侵害(民法709条) | サイト運営者、法務局 |
名誉毀損は親告罪で、被害者の告訴がなければ起訴できません(刑法232条)。民事では、名誉を傷つけた人に対して損害賠償を求めることがあり、民法723条は、裁判所が名誉を回復する処分を命じられると定めています。不倫をした側であっても、実名や勤務先をネットで広められてよい理由にはなりません。ただし、求められる削除や責任が認められるかどうかは、書き込みの中身と状況によって変わります。
Q2. サイトの運営者に、削除をどう依頼しますか?
サイトや掲示板、SNSには、通報や削除依頼の窓口が用意されていることが多く、まずそこを使います。
手順
- 書き込みがあるサイトの、削除依頼・通報・問い合わせのページを探す。
- 削除してほしい書き込みのURLを正確に示す。
- どの権利が侵害されたかを書く(名誉、プライバシー、性的な画像など)。
- 侵害されたと考える理由を、事実に沿って短く書く。
- 送信した日時と、返事の有無を記録する。
法務省は、書き込みの削除依頼のために、「削除依頼の手引き」(PDF)と「削除依頼メールテンプレート」(Word)をウェブで公開しています。送付先や記載事項は、削除したい情報によって変わります。分からないときは、手引きやテンプレートを確認するか、最寄りの法務局に相談するよう案内されています。
文例:「次のURLの書き込みは、私の名誉とプライバシーを侵害していると考えます。実名と勤務先が示され、私が特定できる内容です。削除をお願いします。URL:( )」
文面は、感情や反論を入れず、URL・侵害された権利・理由に絞るほうが、運営者が判断しやすくなります。性的な画像が載っている場合は、特例の条文があり、撮影された本人から申出があると、運営者が投稿者に同意を照会し、2日を過ぎても同意しない旨の申出がなければ、削除しても運営者が賠償責任を負わない、と定められています(4条)。削除の義務づけではなく、運営者が応じやすくする仕組みです。
X・Instagram・YouTubeなど大きなサービスの場合。 2025年4月1日から、法律の名前が「情報流通プラットフォーム対処法」(正式名は、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)に変わりました。総務省は、X、Facebook・Instagram・Threads、YouTube、TikTok、LINEオープンチャット、Yahoo!知恵袋、ニコニコ、Amebaブログ、爆サイ.comなどを「大規模特定電気通信役務提供者」に指定しています(総務省のページ)。この事業者は、削除の申出を受け付ける方法を公表し(22条)、申出があれば遅滞なく調査し(23条)、申出を受けた日から14日以内の総務省令で定める期間内に、削除したかどうか(しなかったときは理由)を申出者に通知する(25条)ことが義務づけられています。各社の申出窓口は、総務省のページから、事業者が届け出たものを確かめられます。通知がないときの報告フォームが、違法・有害情報相談センターにあります。
運営者の返事がない、依頼を断られた、という場合は、次の窓口に進みます。
Q3. 法務局の人権相談では、何をしてもらえますか?
法務局は、法務省の人権擁護機関として、人権相談を受けています。
法務局が行うこと。 法務省のページによると、法務局は、被害の申告などをもとに、ネット上の情報が名誉毀損やプライバシー侵害に当たるかを判断します。人権侵害に当たると認めた情報については、プロバイダなどに削除を「要請」します。ページに「要請」と書かれているとおり、法務局が削除を強制できるという記載はなく、応じるかどうかは相手の判断です。このほか、削除依頼の方法の助言など、相談者自身が被害の回復を図るための支援も行います。
相談の方法。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| みんなの人権110番 0570-003-110 | 平日8時30分〜17時15分。最寄りの法務局につながる。地域によっては管轄外の法務局が受けることがある。一部のIP電話などからは使えず、その場合は各法務局の電話番号を使う。通話料は、法務省のページに記載がない |
| インターネット人権相談受付窓口 | ウェブフォームから相談。後日、メール・電話・面談のいずれかで法務局から連絡が来る。法務省のページは、偽サイトへの注意を呼びかけているため、検索結果ではなく法務省のページから入る |
| LINE人権相談 | LINEから各法務局の人権相談を利用できる |
| 法務局の窓口 | 面談で相談できる |
2025年10月1日からは、みんなの人権110番は音声案内で、女性、高齢者、障害者、その他の4つから相談内容の番号を選ぶ形になっています。
相談では、保存した画面、URL、日時、書き込みが事実とどう違うのか(違う場合)、自分の被害の状況を説明します。
- 画面・URL・日時を保存する
- サイト運営者の削除依頼窓口に依頼する(法務省の手引き・テンプレートを使える)
- 応じない・分からない場合:法務局(みんなの人権110番、インターネット人権相談、LINE人権相談)
- 削除の方法の助言がほしい場合:違法・有害情報相談センター
- 投稿者の特定、損害賠償を考える場合:弁護士
- 脅し・画像・つきまといが絡む場合:警察(#9110、#8103、緊急は110番)を並行
Q4. 違法・有害情報相談センターとは何ですか?
違法・有害情報相談センターは、総務省の委託事業として、ネット上の違法・有害な情報に関する相談を受けています。総務省のページでは、サイト管理者への削除依頼の方法が分からないときの相談先として案内されています。
- 相談の方法は、ウェブフォームのみです。電話では受け付けていません。
- センターが書き込みを削除してくれるわけではありません。削除依頼の方法などの助言が中心です。
- 相談の入口は、センターのウェブフォームです。受付の状況(相談マイページの利用可否を含む)は変わることがあるので、送る前にセンターのページで確かめてください。
法務局とセンターは、役割が重なる部分があります。法務局は、人権侵害と認めた情報について、削除の要請まで行う点が違いです。両方を並行して使う人もいます。
Q5. 書いた人を特定したい、損害賠償を求めたいときは?
削除と、投稿者を特定して責任を問うことは、別の手続きです。
投稿者の特定は、発信者情報の開示を求める手続きで、情報流通プラットフォーム対処法(旧称は、プロバイダ責任制限法)に関わります。サイト運営者や通信事業者に対する請求や、裁判所を通す手続きが必要になり、専門的な判断が入るため、弁護士に相談する分野です。通信の記録が残る期間は事業者ごとに異なるため、書き込みを見つけたら、早めに相談してください。
弁護士に相談するときは、次のものがあるとスムーズです。
- 保存した画面(URL、日時、全体が分かるもの)
- 書き込みによる影響のメモ(職場、家族、体調、周囲の反応など)
- 書いたのが誰か心当たりがあれば、その根拠
- 自分側の経緯(不倫の事実関係を含む、時系列のメモ)
費用が心配なときの入口は法テラスとは?浮気・離婚の相談で使える無料相談と費用の立替えの条件です。不倫を周囲に知らせた行為の責任の考え方は、不倫を周囲に知らせると名誉毀損になる?請求する側が気をつける線に整理しています。
書き込みへの対応と並んで、不倫そのものの法律上の意味を整理したいときは、不倫とは?浮気との違い・法律上の不貞行為・悩んだときの整理の順番に進んでください。
よくある質問
Q. 不倫が事実なら、書き込みを消してほしいと言う資格はありませんか?
依頼を出すこと自体はできます。刑法230条の名誉毀損は「その事実の有無にかかわらず」成り立ちうると定めていて、書かれた内容が本当かどうかだけで、削除を頼めるかどうかが決まるわけではありません。ただ、実際に削除されるかどうかは、サイト運営者の判断や、法務局による人権侵害かどうかの判断によって変わります。実名や勤務先の晒しか、単なる事実の指摘にとどまるかなど、書き込みの中身次第です。
Q. 削除を依頼すると、書いた人に知られますか?
サイトの運用によって違い、伝わる可能性は残ります。性的な画像に関する特例(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律4条)では、運営者が申出の内容を示して投稿者に同意を照会する流れが条文に書かれています。投稿者との関係が危険な場合は、依頼の前に警察か弁護士に相談してください。
Q. 書き込みを見つけました。先に削除を頼むのと、保存するのと、どちらが先ですか?
保存が先です。削除されると、あとから内容を示せなくなります。画面全体、URL、日時、書き込みに付いた反応を保存してから、削除依頼や相談に進んでください。
出典・参考にした公的な情報
- インターネット上の人権侵害をなくしましょう(削除依頼の手引き・テンプレート)(法務省)
- インターネット人権相談受付窓口(法務省)
- みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)(法務省)
- 違法・有害情報相談センター(総務省)
- 刑法 第222条・第230条・第230条の2・第231条・第232条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第709条・第710条・第723条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 第4条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法) 第22条・第23条・第25条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- まもろうよ こころ 電話相談(#いのちSOS・よりそいホットライン)(厚生労働省)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。