不倫とは?浮気との違い・法律上の不貞行為・悩んだときの整理の順番
この記事のもくじ
不倫とは、一般に、結婚している人が配偶者以外の人と恋愛や性的な関係を持つことを指す言葉です。ただし民法には「不倫」も「浮気」も出てこず、法律の話になると「不貞行為」(民法770条1項1号の「不貞な行為」)という別の言葉で考えます。いま悩んでいるなら、①安全、②起きた事実、③自分の気持ち、④これからの選択、の順に分けて考えると、焦って動いて後悔することを減らせます。
不倫とは:日常の言葉と、法律の言葉「不貞行為」の違い
不倫・浮気・不貞行為は、似ていても使われる場面が違います。日常の会話では「不倫」は既婚者が関わる関係、「浮気」は恋人どうしも含めた広い意味で使われることが多く、どこからを含めるかは人によって変わります。一方、法律が問題にするのは「不貞な行為」があったかどうかで、こちらは離婚の裁判や慰謝料の場面で判断される言葉です。
| 言葉 | 主に使われる場面 | 結婚している人が関わるか | 法律にある言葉か |
|---|---|---|---|
| 浮気 | 夫婦・恋人どうしの会話、SNS | 関わらない場合も含む | ない |
| 不倫 | 既婚者が関わる関係を指すとき | 一般に関わる | ない |
| 不貞行為 | 離婚の裁判・慰謝料の話 | 配偶者のある人の行為が対象 | 民法770条1項1号に「不貞な行為」 |
e-Gov法令検索で民法の本文を確かめると、「不倫」「浮気」「貞操」という語は条文にありません。「不貞」は770条1項1号に一度出てくるだけで、その中身(どんな行為が当たるか)は条文に定義がなく、裁判例や解釈で語られてきました。言葉の細かい対応は浮気と不倫の違いを言葉と法律の両面で整理した記事に、不貞行為の意味は不貞行為とは何かを条文に沿って説明した記事にまとめています。
「どこからが不倫か」は、気持ちの線と法律の線がずれやすいところです。食事やメッセージのやり取りだけでも裏切りと感じる人もいれば、体の関係がなければ違うと考える人もいます。夫婦の感覚の違いは浮気はどこからかを夫婦ですり合わせる話し合い方、既婚者との関係でどこから非難や責任が生じるかは不倫はどこからかを3つの線で整理した記事で扱います。
法律では不倫がどう扱われるか:離婚・慰謝料・刑罰の3つの場面
法律が不倫に関わるのは、主に「離婚」「慰謝料」の2つで、「刑罰」は原則として関わりません。どの場面の話をしているかを分けておくと、ネットの情報に振り回されにくくなります。
| 場面 | 根拠になる決まり | ここで押さえること |
|---|---|---|
| 離婚 | 民法770条1項1号・2項 | 裁判で離婚を求める理由の1つに「配偶者に不貞な行為があったとき」が挙がっている。ただし事情によって請求が退けられる余地もある(2項) |
| 慰謝料 | 民法709条・710条・719条と最高裁の判例 | 不貞行為は不法行為として、精神的な損害の賠償が問題になりうる。配偶者と不倫相手の責任の関係は判例で整理されてきた |
| 刑罰 | 刑法 | 現行の刑法に、不倫そのものを罰する罪は置かれていない。不倫の周辺で脅す・晒すなどをすると別の罪が問題になる |
離婚について大切なのは、770条は「裁判で離婚を求めるときの理由」だという点です。夫婦の話し合いで離婚する協議離婚(763条)では、理由は問われません。なお770条は2026年4月1日施行の改正で号の数が変わり、いまは4号までです。
慰謝料については、最高裁昭和54年3月30日判決が、夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、誘惑したかどうかや自然な愛情からかどうかにかかわらず、他方の配偶者の精神的な苦痛を慰謝する義務を負うと判断しています。一方で最高裁平成8年3月26日判決は、関係を持った当時すでに夫婦の関係が破綻していたときは、特段の事情がない限り第三者は責任を負わないとしました。さらに2026年6月5日の最高裁判決は、不倫相手の過失を考えるとき、離婚したと信じたかどうかだけでなく、夫婦関係が破綻していると信じ、そう信じる相当の理由があったかまで検討する必要があるとして、原審の判断を破棄して差し戻しました。配偶者と不倫相手それぞれの責任の整理は不倫と法律の関係をまとめた記事、判例の読み方は不貞行為の判例で知っておきたい考え方で詳しく説明します。
刑罰との関係は不倫は犯罪になるかを刑事と民事に分けて答えた記事で扱います。どの場面でも、自分の場合に請求できるか・いくらになるか・離婚が認められるかは、事実関係で変わる個別の判断です。ここでは仕組みまでにとどめ、判断は弁護士に確かめる流れで書いています。
立場で変わる次の一歩:された側・した側・知らなかった側
不倫の悩みは、立場によって最初にすることがまったく違います。自分がどこにいるかを先に決めてから記事を選ぶと、遠回りを減らせます。
| いまの状況 | 最初にすること | 次に読む記事 |
|---|---|---|
| 疑っているが、まだ確かではない | 日付・出来事・自分が見たことをメモに残す。問い詰めるのは急がない | 浮気の兆候と記録の付け方 |
| 証拠がほしい | 自分でやってよい範囲と、禁じる法律がある行為を先に知る | 浮気の証拠になるもの一覧 |
| 発覚した直後 | 当日にすること・急がなくてよいことを分ける | 浮気が発覚したらすること |
| 妻の不倫を疑う夫 | 親権・お金・仕事の不安を書き出し、確かめる順番を決める | 妻が浮気しているかもしれない夫へ |
| 妻の不倫を知った夫 | 離婚するかどうかの前に、親権・お金・仕事を整理する順番を決める | 妻の不倫を知った夫へ:親権・お金・仕事を考える前の整理の順番 |
| 夫の浮気を疑う妻 | 気持ち・証拠・生活の見通しを分けて考える | 夫の浮気かもと思ったら |
| 夫の不倫を知った妻 | 離婚する・しないを決める前に確かめることを分ける | 夫の不倫を知った妻へ:離婚する・しないを決める前に確かめたいこと |
| 自分が不倫をしている・バレた | 謝罪・事実の整理・相談の順番を決める | 不倫がバレたときにすること |
| 既婚者と知らずに付き合っていた | 知った経緯と時期を記録し、連絡の取り方を考える | 既婚者だと知らなかったのに慰謝料を請求されたら |
| 恋人・婚約者の浮気 | 結婚している夫婦とは法律上の扱いが違う点を先に知る | 彼氏の浮気に気づいたら・彼女の浮気が分かったときの判断材料・婚約者の浮気で婚約破棄はできるか |
事実婚(内縁)の場合は、婚姻届を出した夫婦との違いがあるので事実婚・内縁の相手の浮気の扱いを先に読んでください。ネットやSNSで見かける「サレ妻」「シタ夫」「再構築」などの言葉は、浮気の悩みで使われる言葉の意味一覧で法律の言葉と対応させています。なぜ浮気をするのかを知りたいときは浮気する心理とは何かを整理した記事が入口になります。
不倫に悩んだときの整理の順番:5つのステップ
不倫が分かった直後は、怒り・悲しみ・不安が一度に押し寄せ、「今日中に全部決めなければ」と感じやすくなります。けれども、離婚するか、慰謝料を求めるか、やり直すかは、多くの場合、今日決めなくてもよいことです。次の順番で、一つずつ片づけていきます。
- 安全を確かめる。 相手から暴力や脅し、つきまといがあるなら、証拠や話し合いより先に安全を守り、差し迫っているときは110番に電話します。窓口は浮気・不倫の相談先一覧にまとめています。
- 事実と推測を分けて書く。 「いつ・どこで・何を見たか」と「たぶんこうだろう」を別の欄に書きます。記録は後で弁護士やカウンセラーに話すときにも使えます。
- 自分の気持ちと体調を守る。 眠れない、食べられない状態が続くなら、まず体を休めることを優先します。
- 決めることを「急ぐもの」と「待てるもの」に分ける。 生活費や子どもの送り迎えなど日々の暮らしは急ぐもの、離婚・慰謝料・再構築は待てるものです。
- 目的に合う相談先を選ぶ。 法的な判断が要るなら弁護士、事実の確認が要るなら探偵業者、気持ちや夫婦関係なら夫婦カウンセリングや公的な相談窓口、と目的で分けます。
- 1 安全:暴力・脅し・つきまといがあれば窓口へ(証拠より先)
- 2 事実:見たこと・聞いたことを日付つきで記録(推測は別欄)
- 3 体と気持ち:眠る・食べる・話せる人を一人つくる
- 4 決めること:急ぐもの(生活費・子ども)/待てるもの(離婚・慰謝料・再構築)
- 5 相談先:法的な判断=弁護士、事実の確認=探偵業者、関係の修復=カウンセリング・公的窓口
やってはいけない行動もあります。不倫相手の職場や家族に知らせる、SNSに書き込む、相手のスマホのアカウントに無断でログインする、といった行動は、名誉毀損や不正アクセスを禁じる法律に触れるおそれがあり、された側が逆に責任を問われることにもなりかねません。どこに線があるかは、証拠集めや発覚後の行動の記事で一つずつ説明しています。
相談先の選び方:弁護士・探偵・カウンセラー・公的窓口の違い
不倫の悩みは、相談先ごとにできることが法律で分かれています。弁護士法72条は、弁護士でない人が報酬を得る目的で法律事件の代理や和解などの法律事務を扱うことを禁じています。そのため、慰謝料の交渉や離婚条件の話し合いを代わりに進めてもらえるのは弁護士です。
| 相談先 | できること | できないこと・注意 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 慰謝料・離婚・親権についての個別の判断、相手との交渉、調停・裁判の代理 | 費用がかかる。見積もりと委任契約の内容を確かめる |
| 探偵業者 | 尾行・張込み・聞込みなどで事実を調べて報告する(探偵業法2条) | 交渉や示談はできない。他の法律で禁じられた行為もできない(同法6条) |
| 夫婦カウンセリング | 気持ちの整理、夫婦の話し合いの手助け | 法律上の判断や交渉はできない |
| 公的な窓口 | 悩みの整理、制度や相談先の案内、危険があるときの支援 | 窓口ごとに対象と受付時間が違う |
相談先ごとの違いをもっと詳しく比べたいときは不倫の相談は誰にするかを役割の違いで比べた記事へ進んでください。費用が心配な場合は、法テラスの無料相談と費用の立替えの条件を確かめておくと、弁護士に相談するハードルが下がります。
不倫という言葉に答えは一つではありませんが、法律の場面と気持ちの場面を分ければ、次に何をするかは見えてきます。
このハブの記事を順に読む
言葉の線引きから、法律、相手別の入口、浮気をする心理まで、読む順に並べました。気になるところから開いて構いません。
- 風俗通いや心の浮気がどう扱われるか:風俗通いは不貞行為になる?法律上の見方と夫婦で話し合うときの材料、心の浮気は浮気?体の関係がないときの法律上の扱い
- 相手がいる関係の整理:夫の不倫を知った妻へ、妻の不倫を知った夫へ、彼女の浮気が分かったときの判断材料
- 浮気する心理:浮気する心理とは?よく挙げられる理由と話し合いで聞くべきこと、浮気の理由を聞いても納得できないときの考え方、浮気癖は治る?繰り返す相手と続けるかの判断材料
- 数字と、嘘への向き合い方:浮気率はどのくらい?司法統計で分かる異性関係の割合、浮気の嘘に振り回されないために言い分と事実を分ける方法
- 予防と気持ち:浮気されたくない人が夫婦で決めておけること、浮気心とは?一時の気持ちと夫婦関係の問題を分ける材料
よくある質問
Q. 不倫と不貞行為は同じ意味ですか?
同じではありません。不倫は日常の言葉で、指す範囲は人によって違います。不貞行為は民法770条1項1号の「不貞な行為」にもとづく法律の言葉で、離婚の裁判や慰謝料の話で使われます。気持ちのうえで不倫だと感じる関係でも、法律の話では別に考えます。
Q. 不倫されたら、まず弁護士に相談しないといけませんか?
最初にすることは、安全を確かめ、起きた事実を記録しておくことです。慰謝料を求めたい、離婚を考えている、請求の書面が届いたなど、相手との交渉や法的な判断が必要になった段階で弁護士に相談します。費用が心配なら法テラスの無料法律相談の条件を確かめる方法もあります。
Q. 自分が不倫をしてしまった側でも、このサイトの記事は役に立ちますか?
役に立つように書いています。終わらせ方、バレたときの順番、慰謝料を請求されたときの対応は、した側・請求された側のための記事にまとめています。責める内容ではなく、次に何をするかの整理として読んでください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第709条・第710条・第719条・第770条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 昭和54年3月30日 第二小法廷判決(昭和51年(オ)第328号)(裁判所)
- 最高裁判所 平成8年3月26日 第三小法廷判決(平成5年(オ)第281号)(裁判所)
- 最高裁判所 令和8年6月5日 第二小法廷判決(令和7年(受)第933号)(裁判所)
- 弁護士法 第72条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律 第2条・第6条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。