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財産分与を弁護士に頼むとき:費用と頼んだ方がよい場合

この記事のもくじ
  1. 頼んだ方がよい場面・自分で進められる場面
  2. 相談先ごとにできること・できないこと
  3. 弁護士費用の見方:着手金・報酬金・実費
  4. 取り決める額の広がりを知る(司法統計)
  5. 依頼する前に整えておくもの

財産分与は、弁護士に頼まなくても進められます。裁判所の家事事件Q&Aは、調停について、弁護士に依頼することもできるが、依頼しなくても手続は行えると説明しています。それでも、不動産が絡む、事業がある、財産を隠している疑いがある、請求の期限が近い、といった場面では、弁護士に頼む価値が大きくなります。

この記事は、頼んだ方がよい場面と自分で進められる場面を分け、費用の見方を日本弁護士連合会(日弁連)の説明に沿って整理します。弁護士費用の金額は事務所ごとに定めるもので、公的な標準額はありません。具体的な金額や、頼んだ場合の見通しは、相談先で見積もりを取って確かめます。

頼んだ方がよい場面・自分で進められる場面

比較表:自分で進める場合と弁護士に頼む場合
場面 自分で進める 弁護士に頼む理由
預貯金と車だけで、双方が内容に争いなし 話し合い、または調停を自分で申し立てる 争いがなければ、書面の確認だけの相談で足りることもある
不動産、とくにローンが残る家がある 一覧を作るところまで ローンの名義、連帯保証、売却か居住かの条件が複雑になりやすい
事業や法人の持分がある — 個人と事業の財産の線引き、評価の方法に専門性が要る
隠し財産の疑い 資料集めまで 調査の嘱託や開示命令を求める段取りを任せられる。弁護士会照会は受任した弁護士だけが使える
離婚の時から5年(2026年3月31日以前の離婚は2年)が近い 調停の申立て自体は自分でできる 申立てまでの準備の時間が足りない場合に、段取りを任せる
相手が弁護士に依頼している 自分で対応も可 書面のやりとりの基準が上がり、条件の読み違いのリスクが増える
相手と顔を合わせると身の危険を感じる 先に浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表で窓口を確かめる 連絡を代理人に一本化できる

頼んだ方がよい場面を一言でまとめると、「財産の中身が複雑」「相手が資料を出さない」「時間がない」のどれかに当てはまるときです。逆に、財産が少なく、双方が大筋で合意できているなら、書面の確認だけを相談する使い方もあります。

財産分与そのものを受けるか放棄するかを決める前には、財産分与をしない・放棄する合意の注意:後から請求できるかも読んでください。

相談先ごとにできること・できないこと

弁護士に頼む以外にも、手続の段階ごとに使える窓口があります。弁護士・司法書士・行政書士は、できる範囲が法律で分かれています。

早見表:窓口・専門職の役割(2026年10月23日時点)
窓口 できること できないこと・注意
家庭裁判所の手続案内 申立ての方法、費用、必要書類の説明 法律相談・身上相談には応じない。例として「慰謝料はいくらもらえるか」が挙げられている
弁護士会の法律相談センター 弁護士による法律相談。日弁連は全国約300か所で実施と説明 相談料は地域や内容で異なり、30分5,500円前後が目安とされる
法テラス(日本司法支援センター) 条件を満たす場合の弁護士費用の立替え、法律相談 立替えなので原則返す。利用には資力などの条件がある
弁護士 交渉の代理、家庭裁判所の手続の代理 費用は事務所ごとに定められる
司法書士 裁判所に提出する書類の作成、登記の手続(司法書士法3条) 家庭裁判所の手続の代理人にはなれない。弁護士でなければ手続代理人になれず、例外は家庭裁判所の許可を得た場合に限る
行政書士 権利義務に関する書類(合意書など)の作成 争いがある事項の交渉・調整は弁護士法72条の領域

窓口の番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧:悩み別の窓口と番号・受付時間の早見表に集めています。無料相談の種類と違いは弁護士の無料相談を使うには:自治体・弁護士会・法テラスの違いと準備、法テラスは法テラスとは?浮気・離婚の相談で使える無料相談と費用の立替えの条件で説明しています。

弁護士費用の見方:着手金・報酬金・実費

日弁連の「弁護士費用(報酬)とは」は、弁護士の費用は個々の弁護士が基準を定めることになっており、標準価格はないと説明しています。内訳の言葉は次のとおりです。

  • 着手金:依頼したときに払う。結果に関係なく返ってこない。
  • 報酬金:事件が成功したときに終了時に払う。一部成功も含み、全面的に不成功なら払わない。
  • 実費:裁判所に納める印紙代や郵便切手代、記録の謄写費用、保証金、鑑定料など。
  • 日当:出張が必要な事件でかかる。
  • 手数料:当事者間に争いのない手続(契約書の作成など)の費用。
  • 法律相談料:相談だけの費用。

財産分与で見積もりを見るときに、とくに確かめたいのは次の点です。

  1. 報酬金の計算のもとになる金額は何か。 「相手から得た金額」なのか、「提示額から増えた分」なのか、不動産を取得する場合は評価額なのか。
  2. 着手金は、調停と訴訟で別にかかるか。 段階が進むごとの追加の費用を聞く。
  3. 実費の概算と、預り金の扱い。 調停の申立て費用は、裁判所の案内で収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。それとは別に、戸籍謄本などの取得費がかかります。
  4. 日当や出張費の有無。 家庭裁判所が遠方にある場合に関係する。
  5. 途中で辞任・解任したときの精算。

見積書や委任契約書は、依頼を決める前に書面で受け取ります。費用の仕組みの全体は弁護士費用の仕組み:相談料・着手金・報酬金・実費の違い、離婚事件の費用は離婚の弁護士費用の内訳:着手金・報酬金・実費と見積もりの比べ方で読めます。

日弁連の別ページによると、自動車保険や火災保険などの特約として販売されている弁護士費用保険に入っていれば、対象となる事故等で弁護士に依頼したときの相談料や費用が保険から支払われます。離婚の財産分与が対象になるかは、このページに書かれていません。加入先の保険会社に確かめます。

取り決める額の広がりを知る(司法統計)

弁護士費用と、財産分与で動くお金の大きさを比べるために、参考になる公的な数字があります。裁判所の司法統計年報(家事編、2025年(令和7年))の第27表は、離婚の調停が成立した事件などのうち、財産分与の取り決めがあった8,605件の支払額を示しています。協議離婚の取り決めは含まず、表の「財産分与」に慰謝料を含むかの定義は表に書かれていないため、「財産分与として取り決められた額」として読みます。

支払額 件数
100万円以下 1,635
100万円超200万円以下 963
200万円超400万円以下 1,097
400万円超600万円以下 735
600万円超1,000万円以下 1,042
1,000万円超2,000万円以下 929
2,000万円超 573
総額が決まらず算定不能など 1,631

この数字は、自分の分与額の目安や見込みを示すものではありません。婚姻期間や財産の内容がそれぞれ違うため、個別の見通しは弁護士に聞きます。ただ、取り決めの額が100万円以下から2,000万円超まで広がっていることから、動くお金が大きいほど、費用をかけて準備する意味が増えます。

依頼する前に整えておくもの

相談の時間は短いので、資料があるほど話が進みます。

弁護士の選び方は離婚の弁護士の選び方:浮気が原因の事件で確かめる5つのこと、離婚の弁護士が必要かどうかは離婚に弁護士は必要か:自分で進められる場合と頼んだ方がよい場合で確かめられます。

よくある質問

Q. 調停は弁護士なしで申し立てられますか?

申し立てられます。裁判所の家事事件Q&Aは、調停を弁護士に依頼することもできるが、依頼しなくても調停の手続は行えると説明しています。ただし、家庭裁判所の手続で代理人になれるのは原則として弁護士です(家事事件手続法22条)。

Q. 相談だけして、依頼はしなくてもよいですか?

相談だけで終えることもできます。日本弁護士連合会の案内では、相談後にそのまま担当の弁護士に依頼することも、別の弁護士に相談することもできるとされています。相談料は地域や内容で異なり、日弁連のページでは30分で5,500円前後が目安として示されています。

Q. 弁護士費用が払えないときはどうしますか?

法テラスの民事法律扶助(弁護士費用の立替え)や、加入している保険の弁護士費用特約を確かめます。法テラスは資力が乏しい人などを対象に、代理人に支払う報酬・実費の立替えを行うと総合法律支援法30条に定められており、立替えなので原則は返す費用です。保険は、離婚が対象になるかを加入先に確かめてください。

出典・参考にした公的な情報

出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。

この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。

財産分与で隠し財産が疑われるとき:開示を求める手続きと調べ方

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