浮気されても離婚しない選択:選ぶ前に考えたいお金・子ども・気持ち
この記事のもくじ
浮気されても離婚しない選択は、法律の面からも、生活の面からも選べます。離婚は夫婦の合意と届出で成立する手続きで(民法763条)、浮気をされた側が離婚を選ばなければならない決まりはないからです。ただし「離婚しない」は「何も決めない」と同じではありません。離婚しないと決めるときほど、家計・約束・記録の3つを先に整えておくと、のちに考えが変わっても困りません。相手に暴力や脅しがあるときは、続けるかどうかの検討より安全が先です。浮気を問い詰めたら暴力を受けた:DVの相談窓口と浮気・不倫の相談先一覧で窓口を先に確かめてください。この記事は、離婚した場合としない場合を並べて比べる方法から、整える中身、見直しの目印までを順に説明します。
離婚しないのは「許す」ことではない
浮気を知った後の選択は、「離婚する」「離婚しない」の二択に見えますが、実際には中間がいくつもあります。離婚しないことと、浮気を許すことも別の話です。
| 形 | どういう状態か | 向く場面 | 整えておくこと |
|---|---|---|---|
| 様子を見る | 同居を続け、結論を出さない | 気持ちの整理がつかない | 記録の保管、家計の把握 |
| 条件つきで続ける | 約束を決めて関係をやり直す | 相手が反省し、続ける意思がある | 約束を書面にする、見直しの日を決める |
| 距離をとって続ける | 別居や家庭内別居をしつつ離婚はしない | 顔を合わせるのがつらい | 生活費の取り決め、子どもの生活の確保 |
どの形でも、今日決めたことを一生守る必要はありません。民法770条1項は、配偶者に不貞な行為があったときを裁判で離婚を求められる理由の一つに挙げています。離婚しないと決めたあとで気持ちが変わったとき、その決めたことが離婚の話し合いや裁判でどう扱われるかは事情で変わるため、離婚に切り替える前に弁護士へ確かめてください。許したあとで離婚や慰謝料を求めたとき、「許した」ことがどう扱われるかは、離婚する側にもしない側にも大きな不安です。確かめられる範囲は次のとおりです。民法770条には、「許した」ことを理由に離婚の請求を退けるという定めは書かれていません。同条2項は、不貞な行為があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できるとしており、許したあとの経過もその事情の一つとして見られる余地があります。慰謝料は、時効(損害と加害者を知った時から3年)が離婚とは別に進みます(民法724条)。一方、「許す」「請求しない」と書いた書面を渡すと、請求しない合意と読まれるおそれがあります。裁判例ごとの扱いは事案で変わるので、書面を書く前に弁護士へ確かめてください。
迷っている段階の整理は離婚したいと思ったら最初に整理することで扱っています。許すかどうかの判断材料は浮気を許すかどうかの判断材料を見てください。
選ぶ前に比べる:離婚した場合としない場合の1年後
気持ちだけで決めると、あとで生活が苦しくなってから迷いが出がちです。次の表の空欄を、離婚した場合としない場合で埋めてみてください。数字が分からない欄は、そのまま「調べること」の一覧になります。
| 比べる項目 | 離婚しない場合 | 離婚した場合 |
|---|---|---|
| 毎月の収入 | 自分の収入+相手の収入 | 自分の収入+養育費(子がいる場合)+手当 |
| 毎月の支出 | 今の家計 | 家賃・保険料・年金保険料を自分で負担 |
| 住まい | 今の家に住み続ける | 実家・賃貸・今の家に残る、のどれか |
| 子どもの生活 | 学校・園・友人関係が変わらない | 転校や生活リズムの変化がありうる |
| 年金 | 今の加入状況のまま | 自分で保険料を払う場合がある。年金分割を請求できる場合がある |
| 気持ち | 相手と毎日顔を合わせる | 相手と離れるが、手続きの連絡は続く |
離婚した場合の暮らしの見通しは、離婚後の生活費の見通し:収入・手当・支出の表の作り方で表を作れます。比べてみて「離婚したほうが楽」と感じるなら、その気持ちも大事な材料です。逆に「離婚すると生活が成り立たない」と分かったなら、続ける間に収入を増やす準備を始める、という選び方もあります。
離婚しない場合に整える3つ:家計・約束・記録
家計:通帳と収入の資料を控える
離婚しないつもりでも、家計の全体を知らないままだと、のちに離婚へ切り替えたときに必要な資料がそろいません。婚姻中なら通帳や保険証券を確かめやすいので、次を写真か写しで控えておきます。
- 双方の給与明細または源泉徴収票(直近1年分)
- 預貯金の通帳の表紙と直近の残高ページ
- 保険証券、住宅ローンの返済予定表、不動産の名義が分かる書類
- 共有の生活費の口座があるか、誰の名義か
相手のスマホやアカウントに無断でログインすることなどは、禁じる法律があります。どこまでが許されるかは浮気の証拠集めで違法になりうることで確かめてください。
約束:やり直すなら条件を書面にする
条件つきで続けるなら、口約束で済ませず、書面に残しておくと「言った・言わない」を避けられます。項目の例は次のとおりです。
- 浮気相手との連絡を絶つ方法(連絡先の削除、職場が同じ場合の対応)
- 約束が破られたときに夫婦で話し合う場(第三者を入れるか)
- お金の扱い(家計の共有、隠し口座の禁止)
- 見直しの時期(3か月後、半年後に話し合う日をあらかじめ決める)
書き方の例:「私たちは、○月○日までに、〇〇さんとの連絡先を互いの確認のもとで削除する。見直しのため、○月○日に夫婦で話し合う日を持つ」
書面にしたからといって、それだけで相手が約束を守るとは限りません。守らなかったときに何ができるかは内容次第なので、法的な効力まで持たせたいときは弁護士に文面を見てもらいます。項目の選び方と書き方は再構築の契約書として夫婦の約束を書面にするに、続けるための全体の流れは浮気からの再構築:やり直すと決める前の確認と、続けるための約束にあります。
記録:時効の時計は離婚と関係なく進む
不法行為による損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効になります(民法724条)。慰謝料の請求を考えるなら、離婚するかしないかとは別に、この時計が動いている点を覚えておく必要があります。配偶者に対する請求権については、婚姻の解消の時から6か月を経過するまで時効が完成しない定めがあります(民法159条)が、これは配偶者への請求だけの話で、不倫相手への請求には及びません。数え始めの日が争いになることもあるので、気になる場合は早めに弁護士へ相談してください。
そのために、次の記録を日付つきで残しておきます。
- 浮気に気づいた日と、確認できた事実(相手から聞いたこと、見たもの)
- 話し合いをした日付と内容の要点
- 約束をした日付と内容
記録は相手に見られない場所に、消えにくい形(印刷、別の端末への保存)で保管します。
気持ちの整理:結論を急がず、週に一度だけ見直す
離婚しないと決めても、気持ちは日によって上下します。「許したはずなのに急に腹が立つ」ことは珍しくありません。次の方法で、気持ちの動きを自分で見える形にしておくと、あとで判断を見直しやすくなります。
- 週に一度、決めた曜日に5分だけ時間をとる
- 「この1週間で、相手を信じられると感じた回数」と「疑いが強くなった回数」を数える
- 眠れたか、食べられたか、仕事に集中できたかを一言で書く
第三者の力を借りる方法もあります。夫婦で話すと感情的になるなら、家庭裁判所の円満調停は、離婚するかどうか迷っている場合にも使えると裁判所が案内しています。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。カウンセリングの選び方は夫婦カウンセリングとは?受ける流れ・相談先の種類・選ぶときの確認点を見てください。
離婚に切り替えるかを考える目印
離婚しない選択は、あとから変えられます。次のような変化があったら、立ち止まって選び直す時期です。
| 目印 | 起きていること | 次に読むもの |
|---|---|---|
| 約束が破られた | 連絡の再開、嘘が見つかった | 約束の見直し、再構築の続け方 |
| 自分の体調が崩れた | 眠れない、食べられない、仕事に行けない | 受診、休む手続き |
| 子どもに影響が出ている | 夫婦の緊張が家に満ちている | 子どもの様子を優先 |
| 暴力や脅しがある | 身の危険を感じる | 安全の確保が先 |
暴力や脅しがあるときは、続けるかどうかの検討より安全が先です。浮気・不倫の相談先一覧から窓口を選んでください。全体の手続きの流れは浮気・不倫が原因の離婚:準備・話し合い・調停の流れと決めることで地図にしています。
相手から離婚を求められて応じたくない側の準備は、離婚したくないのに離婚を求められたら:応じない場合に起きることと準備にまとめています。
よくある質問
Q. 離婚しないと決めたら、慰謝料はもう請求できませんか?
離婚しないという選択を条文が慰謝料の請求権の消滅事由にしているわけではありません。不法行為による損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年で時効にかかる定め(民法724条)があり、離婚の有無とは別に時間が進みます。「許す」「請求しない」と書いた書面を渡すと、のちに請求しない合意と読まれるおそれがあるため、書く前に弁護士に確かめてください。
Q. 離婚しないまま別居して、生活費をもらうことはできますか?
別居中でも夫婦である間は、資産・収入その他一切の事情を考慮して婚姻から生ずる費用を分担する決まりがあります(民法760条)。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てられ、費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です。別居の進め方は[浮気が原因の別居:始める前の準備・別居中のお金・その後の選択](/uwaki-bekkyo/)にまとめています。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第159条・第724条・第760条・第763条・第770条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 夫婦関係調整調停(円満)(裁判所)
- 婚姻費用の分担請求調停(裁判所)
- 民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕(法務省)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。