浮気相手に誓約書を書いてもらうとき:接触禁止などの項目と無理強いの危うさ
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浮気相手に誓約書を書いてもらうのは、相手が内容を読んで納得し、自分の意思で署名する限り、関係を終わらせる約束を形に残す方法の一つです。入れる項目は**「事実を認めること」「配偶者と接触しないこと」「約束を破ったときの扱い」「書面と出来事を広めないこと」**が中心になります。反対に、「書かないなら職場に知らせる」と迫って書かせると、刑法の脅迫や強要に当たるおそれがあり、書面そのものが後から取り消される理由にもなります。この記事では、項目と文例、頼み方、断られたときの道筋を順に整理します。
浮気相手の誓約書に入れる項目と書き方
浮気相手に書いてもらう誓約書は、配偶者に書いてもらう誓約書とは中身の重心が違います。配偶者には夫婦としての今後の約束を求めますが、浮気相手に求めるのは、主に「関係を断つこと」と「二度と近づかないこと」です。項目ごとに、書き方の例と気をつける点をまとめました。
| 項目 | 書き方の例 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 事実の確認 | 「○○氏と、20XX年X月頃から不貞な関係にあったことを認めます」 | 時期と相手が分かれば足ります。性的な場面の詳しい描写は書かせません |
| 関係の解消 | 「本日以降、○○氏と私的な関係を持ちません」 | 「別れました」という過去形より、これからの行動として書きます |
| 接触の禁止 | 電話・メール・SNS・手紙・直接会うこと・人を介した連絡を挙げる | 手段を具体的に挙げます。職場が同じなら、業務上の連絡の扱いを決めます |
| 違約金 | 「違反したときは違約金として金○○円を支払います」 | 金額は自由に決められるわけではありません(次の段落) |
| 口外しない約束 | 「本件を正当な理由なく第三者に話しません」 | 自分の側も広めないと約束すると、相手が応じやすくなります |
| 日付・住所・氏名 | 作成日と、本人が自筆で書いた氏名 | 日付のない書面は、いつの約束か争いの種になります |
違約金について、民法420条は、約束を破ったときの損害賠償の額を前もって決めておけること、違約金はその予定額と推定されることを定めています。一方で民法90条は、公の秩序や善良の風俗に反する約束を無効としています。極端に高い金額は、この90条との関係で効力を争われるおそれがあるので、金額をいくらにするかは弁護士に相談して決めてください。金額の考え方は浮気の誓約書に効力はある?違約金や離婚の約束が問題になる場面で詳しく扱います。
職場が同じ相手の場合、「一切連絡しない」と書いても仕事上は守れないことがあります。守れない約束は、違反かどうかでもめる原因になります。「業務上やむを得ない連絡は会社のメールに限り、2人きりで会わない」のように、例外と方法を最初から書いておくほうが現実的です。
誓約書
○○○○様
私は、あなたの配偶者である△△△△氏と、20XX年X月頃から20XX年X月頃まで不貞な関係にあったことを認め、あなたに謝罪します。
- 私は、本日以降、△△氏と私的な関係を持ちません。
- 私は、△△氏と、電話、メール、SNS、手紙その他の方法で連絡を取らず、会いません。人を介した連絡もしません。ただし、業務上やむを得ない連絡は、会社のメールで必要な範囲に限ります。
- 私が前2項に違反したときは、違約金として金○○円を、あなたの指定する口座に振り込んで支払います。
- 私は、本件を正当な理由なく第三者に話しません。
20XX年X月X日 住所 氏名(自署)
この文例は一般的な形の例です。慰謝料の支払いまで同じ書面で決めたいときは、誓約書ではなく示談書としてまとめる形もあります。入れる条項は不倫の示談書の書き方で扱っています。
無理に書かせると何が問題になるか
誓約書は、相手が自分の意思で署名してはじめて意味を持ちます。怒りが強いと「書くまで許さない」という気持ちになりますが、迫り方によっては、こちらが刑事上・民事上の責任を問われる側に回ります。
- 脅迫(刑法222条):生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告げて脅すと、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。「会社にばらす」「家族に言う」は名誉への害の告知になりうる言い方です。
- 強要(刑法223条):脅迫や暴行で、人に義務のないことを行わせると、3年以下の拘禁刑の対象になり、未遂も罰せられます。脅して誓約書に署名させる場面がこれに当たるおそれがあります。
- 取り消し(民法96条1項):強迫による意思表示は取り消すことができます。脅されて書いたと相手が主張すれば、誓約書の約束そのものが崩れるおそれがあります。
- 恐喝(刑法249条):脅してお金を払わせると、10年以下の拘禁刑の対象です。慰謝料を求めること自体は正当な権利の行使でも、言い方次第で問題になりえます。
| 避けたい言い方・やり方 | 問題になりうる点 | 代わりの言い方・やり方 |
|---|---|---|
| 「書かないなら職場に知らせる」 | 名誉に害を加える旨の告知(脅迫・強要) | 「書面で約束してもらえるか、考えてほしい」 |
| 「今ここで書くまで帰さない」 | 自由への害の告知、強要 | 「持ち帰って読んでから返事をください」 |
| 相手の自宅に押しかけ、帰るよう言われても居座る | 住居侵入・不退去(刑法130条) | 人目のある場所で、時間を決めて会う |
| 「払わなければネットに書く」 | 恐喝、名誉毀損(刑法230条) | お金の話は弁護士を通す |
| 数人で取り囲む、深夜に長時間話す | 署名が本人の意思によらないと争われる | 同席者は1人まで、時間を区切る |
浮気相手への頼み方:会う・書面で送る・弁護士を通す
頼み方は大きく3つです。どれを選ぶかは、相手の連絡先が分かっているか、直接会って冷静に話せそうか、慰謝料まで話を進めたいかで決まります。
| 頼み方 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 直接会って渡す | 相手と冷静に話せそうなとき | 場所・同席者・時間を先に決める。浮気相手と直接会う前にを参考に |
| 書面やメッセージで送る | 会うと感情的になりそうなとき | 文面は送る前に一晩置いて読み直す。浮気相手に連絡するときの注意を参考に |
| 弁護士を通す | 慰謝料も求めたい、相手が強く反発しそう | 費用はかかるが、文面と交渉を任せられる |
自分で頼むときの流れは次のとおりです。
- 目的を一つに絞る:関係を断ってほしいのか、事実を認めてほしいのか、慰謝料も求めたいのかを決めます。目的が多いほど相手は身構えます。
- 文案を用意する:上の文例をもとに、日付・名前・連絡手段を自分の場合に合わせます。
- 考える時間を渡す:その場で署名を迫らず、数日の期限を伝えます。
- 原本を受け取る:署名した原本は自分が持ち、相手には写しを渡します。保管のしかたは浮気の念書と誓約書の違いで整理しています。
文例:「○○との関係について、今後連絡を取らないことを書面で約束していただきたいと考えています。案を同封しましたので、内容を読んだうえで、X月X日までにお返事をください。」
連絡する前に、そもそも浮気相手に何を求めるのかを整理したい場合は、浮気相手にどう対応する?連絡する前に決めておく目的と避けたい行動から読むと順番が見えやすくなります。
断られたとき・返事がないときの道筋
誓約書は、相手が署名を拒めば作れません。書かせる手段はないので、断られたら別の方法に切り替えます。
- 配偶者の側の約束を固める:浮気相手が応じなくても、配偶者に関係を断つ約束をしてもらうことはできます。項目は浮気・不倫の誓約書の書き方で扱っています。
- 慰謝料の請求を考える:話し合い・内容証明・調停・訴訟と段階があります。流れは不倫慰謝料の請求方法にまとめました。
- 証拠を整える:相手が事実を否定しても、請求に使える材料が残っているかを確かめます。浮気の証拠になるもの一覧が手がかりになります。
- 期限を意識する:不法行為の損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年で時効にかかります(民法724条1号)。数え始めの考え方は不倫の慰謝料の時効は3年と20年で扱います。
相手から逆に「訴える」「家族にばらす」と言われたり、相手の配偶者が押しかけてきたりして身の危険を感じるときは、書面の話より安全を先にしてください。最初に連絡する先は不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けにまとめています。
書いてもらった後に気をつけること
署名をもらった後も、扱い方を誤ると、こちらが責められる材料になってしまいます。
- 書面を人に見せない:誓約書の写しを相手の職場の人や共通の知人に見せたり、SNSに載せたりすると、名誉毀損の問題になりえます。刑法230条は、事実の有無にかかわらず、公然と事実を示して名誉を傷つける行為を罰しています。
- 約束を守らせようと、つきまとわない:違反がないか確かめるために相手の行動を探ったり、何度も連絡したりすると、今度はこちらが迷惑行為を問われかねません。
- 効力に不安があれば確かめる:違約金の額や書き方に不安があれば、浮気の誓約書に効力はある?を読んだうえで弁護士に見てもらいます。
- 公正証書にするか考える:違約金や慰謝料の支払いを強制執行できる形にしたいなら、浮気の誓約書を公正証書にできる?を参考にしてください。
- 破られたときの準備をしておく:違反されたときに何を記録するかは、浮気の誓約書に違反されたらで整理しています。
発覚から書面づくりまでの全体の順番を確かめたいときは、浮気が発覚したらすること:当日・1週間・1か月の順番に戻ってください。書面に進むのは、記録と相談先の目星がついてからでも遅くありません。
よくある質問
Q. 浮気相手が誓約書に署名したら、慰謝料はもう請求できなくなりますか?
署名しただけで慰謝料の請求がなくなるわけではなく、書面に何を書いたかで変わります。注意したいのは「この書面に定めるほか、互いに何の債権債務もないことを確認する」という清算条項で、入っていると、書いていない慰謝料を後から求めにくくなるおそれがあります。慰謝料を別に考えているなら、清算条項を入れるかどうかを署名の前に弁護士へ確かめてください。
Q. 浮気相手に書いてもらう誓約書は、手書きでなければいけませんか?
契約は、法令に特別の定めがある場合を除き、書面などの決まった形がなくても成立します(民法522条2項)。本文はパソコンで作ってもかまいません。ただ、本人の署名か押印がある私文書は本人の意思で作られたと推定されるので(民事訴訟法228条4項)、氏名だけは本人に自筆で書いてもらうと、後で「自分は書いていない」と言われにくくなります。
Q. 配偶者にも同じ誓約書を書いてもらったほうがいいですか?
配偶者との約束と浮気相手との約束は、中身も、破られたときに考えることも違います。1枚にまとめると誰が何を約束したのかが読み取りにくくなるので、別々の書面にしておくと後で整理しやすくなります。配偶者に書いてもらう誓約書の項目は、[浮気・不倫の誓約書の書き方](/furin-seiyakusho/)で扱っています。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第90条(公序良俗)・第96条(詐欺又は強迫)・第420条(賠償額の予定)・第522条(契約の成立と方式)・第724条(不法行為の消滅時効)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 刑法 第130条(住居侵入等)・第222条(脅迫)・第223条(強要)・第230条(名誉毀損)・第249条(恐喝)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民事訴訟法 第228条(文書の成立)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 離婚(Q23 清算条項とは)(日本公証人連合会)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。