風俗通いは不貞行為になる?法律上の見方と夫婦で話し合うときの材料
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配偶者の風俗通いが不貞行為になるかは、「お金を払ったか」「店のサービスか」ではなく、配偶者以外の人と自分の意思で性的関係を結んだかが判断の軸です。最高裁が示した不貞行為の定義には、対価や相手の職業についての条件がありません。ただし、店の種類やサービスの中身、回数、店の外での関係の有無で、法律上の見方も夫婦の受け止め方も変わります。
風俗通いは不貞行為になる?判断の軸は「性的関係」の有無
不貞行為の意味は、最高裁昭和48年11月15日の判決が「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」と示しています(定義の読み方は不貞行為とは何かの記事で解説しています)。この定義を風俗の利用に当てはめると、次の3点に分けて考えることになります。
- 本人が自分の意思で行ったか:誘われた、付き合いだった、という事情があっても、自分で店に行ったなら、この要素はほとんど争点になりにくい
- 相手が配偶者以外か:店で働く人は配偶者以外の人であり、相手が仕事として応じたかどうかは定義の要素に入っていない(判決は相手方の自由な意思かどうかを問わないとしている)
- 性的関係があったか:ここがいちばん事実によって分かれる点
3点目について、法律は「性交」と、それ以外の性的なサービスを分けて書くことがあります。たとえば売春防止法2条は、売春を「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定め、3条で「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」としています。風俗店のサービスは業態によって中身が違い、性交があったかどうかも店や場面で異なります。この記事が根拠にしている最高裁の判決(昭和48年・昭和54年)は、風俗店の利用そのものを扱った事案ではありません。条文と判決の言葉から言えるのは、定義の軸が性的関係の有無にあることまでで、個々の利用がそれにあたるかは事実の中身で決まる、という範囲です。
店の種類・サービスの中身で変わる判断材料
風俗の利用と一口に言っても、夫婦の話し合いや弁護士への相談で見られる点は複数あります。下の表は、結論を出すためではなく、どの事実を確かめれば話が進むかを整理するためのものです。
| 確かめる事実 | なぜ大事か |
|---|---|
| 性交があったか、それ以外のサービスか | 不貞行為の定義の「性的関係」にあたるかの中心 |
| 1回か、継続しているか | 回数や期間は、夫婦関係への影響を考えるときの事情になりうる |
| 同じ相手を指名し続けているか | 店の利用を超えた個人的な関係に近づいていないかの手がかり |
| 店の外で会っている・私的に連絡しているか | 店のサービスではなく交際の話になりうる |
| 家計からいくら出ているか | 生活費や借金の問題として別に話し合う必要が出る |
| 隠していたか、嘘をついていたか | 信頼の問題として話し合いの議題になる |
同じ相手と店の外で会うようになっている場合は、話は「風俗の利用」から「既婚者の交際」に移ります。その段階の線の引き方は不倫はどこからかの記事を参照してください。体の関係はないが気持ちが向いている、という場合は心の浮気は浮気かを法律と夫婦の両面で整理した記事の整理が合います。
不貞行為にあたらない場合でも問題になりうる点
性的関係があったと言えない、または示す材料がない場合でも、法律上それで話が終わるとは限りません。
- 離婚の理由:民法770条1項4号は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を挙げています。風俗通いそのものだけでなく、家計の圧迫、嘘の積み重ね、話し合いを拒む態度などが合わさって、夫婦関係がどうなっているかが見られます。
- 不貞な行為があっても離婚が自動的に認められるわけではない:770条2項は、1号から3号の事由があっても、一切の事情から婚姻を続けるのが相当なら、裁判所が離婚の請求を退けられると定めています。
- 慰謝料:配偶者や店で働く人への請求は、民法709条の要件(故意・過失、権利や利益の侵害、損害)と、最高裁昭和54年判決が示す相手方の「故意又は過失」が軸になります。
どの場合も、裁判で離婚を求める場面や慰謝料を求める場面の話です。夫婦が話し合って離婚するなら理由は問われません。法律上の責任の全体像は不倫と法律の関係の記事、慰謝料の条文と最高裁の考え方は不貞行為の慰謝料の仕組みにまとめています。
夫婦で話し合うときに持っていく材料の分け方
風俗通いが分かった直後は、怒り・嫌悪感・不安が一度に来て、事実の確認と責める言葉が混ざりやすくなります。話し合いの前に、紙を4つに分けて書き出しておくと、論点が散らばりにくくなります。
| 分ける箱 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 事実 | いつ・どこ・回数・金額・どう知ったか | 「3月と5月の明細に同じ店名、計2回」 |
| 気持ち | 自分が何に傷ついたか | 「隠されていたことがいちばんつらい」 |
| 聞きたいこと | 相手に答えてほしい問い | 「いつから」「店の外で会っているか」 |
| これからの約束 | やめるか、家計をどうするか | 「利用をやめる」「カードの明細を共有する」 |
切り出すときは、責める言葉より、知った事実と自分の気持ちを短く伝えるほうが答えを引き出しやすくなります。
文例:「カードの明細でこの店の名前を見た。責める前に、まず何があったのか正直に聞きたい。私は隠されていたことがいちばんつらい。」
話し合いの段取りは浮気の話し合いの進め方、決めたことを残す型は浮気後の夫婦の話し合いシート、約束を書面にする方法は浮気・不倫の誓約書の書き方で扱っています。
相談先は「何を決めたいか」で選ぶ
風俗通いの悩みは、法律の問題と夫婦関係の問題が重なっています。決めたいことごとに、相談先を分けて考えます。
- 離婚や慰謝料を考えている:弁護士。事実の時系列、明細などの材料、自分が望む結論を持っていく
- 関係を続けたい・話し合いが成り立たない:夫婦カウンセリングの受け方と相談先の種類を参照し、第三者を入れる
- 家庭裁判所で話し合いたい:夫婦関係調整調停(円満)は、夫婦関係を回復するための話し合いの場で、離婚するか迷っている場合にも使えると裁判所が案内しています。流れは円満調停とは?家庭裁判所の手続きと流れへ
- どこに相談すればよいか分からない:浮気・不倫の相談先一覧で状況から窓口を選ぶ
配偶者のスマートフォンやメールを無断で開いて確かめようとするのは避けてください。禁じる法律がある行為の線は証拠集めでしてはいけないことの記事にまとめています。
よくある質問
Q. 「風俗は浮気に入らない」と言われました。法律上もそうなのですか?
法律上の不貞行為の定義は、配偶者以外の人と自分の意思で性的関係を結ぶことで、お金を払ったか、店のサービスかは定義の要素に入っていません。逆に、店に行った事実だけで性的関係があったとも言えません。夫婦の約束として許せるかどうかは、法律の線とは別に二人で決める話です。
Q. クレジットカードの明細や店の領収書は、不貞行為の証拠になりますか?
店を利用したことや日付・金額を示す材料にはなりえますが、性的関係があったかまで示すかは、店の種類やサービスの中身、他の材料との組み合わせで変わります。家計の書類を自分の手元で控えることと、配偶者のアカウントに無断でログインして取り出すことは別の話です。取り方の線は証拠集めの記事で確かめてください。
Q. 風俗店で働く人に慰謝料を求めることはできますか?
不倫相手の責任について、最高裁昭和54年判決は「故意又は過失がある限り」責任を負うとしています。店で働く人が客を既婚と知っていたか、知ることができたかなど、事実によって見方が変わる部分です。請求を考える場合は、事実の経過をまとめて弁護士に相談してください。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第770条・第709条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 昭和48年11月15日 第一小法廷判決(民法770条1項1号の不貞な行為の意義)(裁判所)
- 最高裁判所 昭和54年3月30日 第二小法廷判決(不貞の相手方の責任)(裁判所)
- 売春防止法 第2条・第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 裁判所 夫婦関係調整調停(円満)(裁判所)
出典の確認日:2026-10-23。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。