再構築をやめて離婚を考えるとき:それまでの約束と証拠の扱い
再構築をやめて離婚を考え始めても、発覚のときに残した証拠や、再構築中に交わした約束・誓約書は、それだけで意味を失うわけではありません。 ただし、どう扱われうるかは、書面に何が書かれているか、約束が守られたかどうか、発覚からどれだけ時間がたったか、再構築中に新しい浮気があったかで変わります。順番としては、身の安全を確かめ、発覚から今までの経緯を時系列にまとめ、書面と証拠をそろえてから弁護士に見せ、そのうえで話し合いや調停に進むと、取りこぼしが少なくなります。
再構築をやめて離婚を考えるときに最初に整理すること
再構築を経た離婚は、発覚の直後に離婚する場合より経緯が長く、出来事が多くなります。話し合いでも弁護士への相談でも、最初に求められるのは「いつ、何があったか」の整理です。次の4つの時期に分けて、書くことと手元にそろえる資料を確かめます。
| 時期 | 書くこと | そろえる資料 |
|---|---|---|
| 発覚の前 | 浮気が始まったと考える時期、気づいたきっかけ | 当時の記録、明細の写し |
| 発覚したとき | 発覚した日、相手が認めた内容、不倫相手の名前を知った日 | メッセージや写真の写し、発覚の日のメモ |
| 再構築の期間 | 再構築を決めた日、交わした約束、守られた約束・守られなかった約束 | 誓約書・約束の書面の原本、守られなかった日の記録 |
| 離婚を考えた今 | 再構築をやめようと思った理由、新しい浮気の有無、今の生活の状況 | 新しい証拠があればその写し、家計の一覧 |
とくに「不倫相手が誰かを知った日」と「再構築を決めた日」は、期限を考えるうえで大切な日付です。思い出せない場合は、当時のメッセージの日付やカレンダーから手がかりを探しておきます。経緯をまとめる型は浮気の記録ノートの付け方を使うと書きやすくなります。
暴力や脅しがある場合は、この整理より先に安全を確保してください。最初の一歩は不倫で脅迫されたとき:110番と#9110の使い分けと最初にすることにまとめています。
再構築中の約束・誓約書は離婚の話し合いでどう扱われうるか
再構築中の誓約書や約束の書面は、相手が浮気の事実を認めたこと、どんな約束をしたかを示す材料になりえます。離婚の話し合いでは、なぜ再構築をやめるに至ったかを説明する土台になります。
以前の民法には、婚姻中の夫婦間の契約をいつでも取り消せるとする754条がありましたが、2026年4月の改正で削除されています。そのため、「夫婦の間の約束だから、いつでも取り消せる」とは言えなくなっています。一方で、書面の中身によって扱いは変わります。
| 誓約書・約束の中身 | 離婚の話し合いでの位置づけ(一般的な考え方) |
|---|---|
| 浮気の事実を認める文 | 浮気の事実を示す材料の一つになりうる |
| 不倫相手と接触しない約束 | 守られなかった場合、再構築をやめる理由の説明に使える |
| 違約金の定め | 民法420条は損害賠償の額を前もって決めることを認めているが、内容が行き過ぎると民法90条(公序良俗)との関係で問題になりうる |
| 「次に浮気したら離婚する」 | 離婚そのものは協議(民法763条)や調停・裁判で成立するため、この一文だけで離婚が成立するわけではない |
| 財産や親権についての約束 | 離婚のときの取り決めとして改めて話し合う必要がある。親権は子の利益を中心に決まる |
違約金や離婚の約束の効力が問題になる場面は浮気の誓約書に効力はある?違約金や離婚の約束が問題になる場面で、約束が破られた後の整理は浮気の誓約書に違反されたら:違約金や離婚を考える前の整理で詳しく扱っています。再構築を続けると決めたことや「許す」と言ったことが、慰謝料の額や離婚の判断でどう見られるかは事情によって変わるので、誓約書の原本と経緯のメモをそのまま弁護士に見せてください。
証拠と期限:再構築前の浮気と再構築中の出来事
離婚の方法のうち、協議離婚や調停離婚は、夫婦が合意すれば理由を問わず成立します。相手が離婚に応じず裁判になったときに、民法770条1項の離婚の理由が問題になります。1号に「配偶者に不貞な行為があったとき」、4号に「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」が挙がっていますが、2項で、1号から3号の事由があっても一切の事情を考慮して婚姻の継続が相当と認めるときは請求を退けることができるとされています。再構築の経緯は、この「一切の事情」の一部になりうるものです。
慰謝料については、期限と請求の相手で分けて考えます。時効の数え方の細部は不倫の慰謝料の時効は3年と20年:いつから数えるかの考え方、再構築中の期限の例は再構築中に水面下で離婚の準備をしておく理由に任せ、ここでは再構築と離婚のつながりだけを示します。
- 配偶者への慰謝料:夫婦の一方が他方に対して持つ権利は、婚姻の解消から6か月を経過するまで時効が完成しません(民法159条)。
- 不倫相手への慰謝料:損害と加害者を知った時から3年で時効により消滅します(民法724条)。再構築の期間が長いと、離婚を考えたときにはこの期限が過ぎている、または近づいていることがあります。
- 再構築中に新しい浮気があった場合:新しい出来事として、知った日から改めて考えることになります。新しい証拠は、前の証拠とは分けて保管します。
最高裁平成31年2月19日判決は、不倫相手に対して「離婚させられたこと」を理由とする慰謝料は、夫婦を離婚させる意図で婚姻関係に不当に干渉したなどの特段の事情がない限り請求できない、と判断しました。この事件では、夫が不貞を知った頃に妻は関係を解消して同居を続け、その数年後に別居し、調停で離婚が成立していました。判決は、不貞行為そのものを理由とする責任は別だとしています。再構築を経て離婚する場合、不倫相手に何を請求できるかは、この区別と期限の両方に関わります。仕組みは不貞行為の慰謝料の仕組み:民法の条文と最高裁の考え方、離婚慰謝料との違いは離婚の慰謝料とは?不倫の慰謝料との違いと請求する相手の考え方で確かめてください。
| 日付 | 関わること |
|---|---|
| 不倫相手が誰かを知った日 | 不倫相手への慰謝料の3年の数え始めの目安 |
| 再構築を決めた日・誓約書の日付 | 約束の内容と、その後に守られたかの確認 |
| 新しい浮気を知った日 | 新しい出来事としての期限の数え始めの目安 |
| 離婚が成立した日 | 配偶者への請求の時効の完成猶予(6か月)、財産分与の期間(5年)の起点 |
相談と話し合いの順番
再構築をやめると決めた直後は、相手にすぐ伝えたくなるものです。ただ、伝えた後は相手が証拠を消したり、お金の管理を変えたりすることもあるため、伝える前にしておくことがあります。
- 安全を確かめる:伝えたときに相手が荒れるおそれがないかを考え、不安があれば先に相談先を使う。
- 経緯と資料をまとめる:上の表の4つの時期で書いた記録と、証拠・書面の写しを1つのファイルにする。家計の一覧も添える。
- 弁護士に相談する:再構築を経ていること、期限が気になっていることを最初に伝える。選び方は離婚の弁護士の選び方:浮気が原因の事件で確かめる5つのことにある。費用が心配なら法テラスなどの窓口も使える(番号は浮気・不倫の相談先一覧)。
- 相手に伝える:結論と理由を短く伝え、条件の話し合いは日を改める。
- 話し合いで決まらなければ調停を考える:裁判所の案内では、夫婦関係調整調停(離婚)では離婚そのものだけでなく、親権者、養育費、財産分与、慰謝料なども話し合える。
文例:「この1年、再構築を続けようとしてきたけれど、約束が守られなかったことが重なって、私の気持ちが戻らなかった。離婚を考えたいと思っている。条件のことは、今日ではなく日を改めて話したい」
離婚の方法と手続の流れは離婚の方法は4種類:協議・調停・審判・裁判の流れと選び方で、離婚とお金の全体像(婚姻費用・養育費・財産分与・慰謝料)は浮気が原因の離婚とお金で整理しています。子どもがいる場合は、2026年4月から父母の双方か一方を親権者に定める仕組みに変わっているので、離婚の法改正2026年4月施行:共同親権・法定養育費・財産分与の変更点も確かめてください。
まだ離婚を決めきれず、準備だけを進めたい段階なら、前の記事再構築中に水面下で離婚の準備をしておく理由に戻って備えを整えるのも一つの道です。慰謝料の請求を具体的に考えるときは、次に浮気・不倫の慰謝料とは?請求できる場面・金額の決まり方・進め方の全体像を読んで、全体の流れをつかんでください。
よくある質問
Q. 誓約書に「次に浮気したら離婚に応じる」と書いてもらいました。それで離婚できますか?
誓約書があるだけで離婚が成立するわけではありません。離婚は、夫婦が合意して届け出る協議離婚か、家庭裁判所の調停・裁判を通じて成立します。誓約書は、相手が過去に何を認めて何を約束したかを示す材料として、話し合いや調停で意味を持ちうるものなので、原本を保管し、どう使うかは弁護士に見せて確かめてください。
Q. 再構築中は浮気のことを責めないと約束しました。離婚の話し合いで持ち出すと約束違反になりますか?
再構築中に「責めない」と約束したことと、離婚の条件を話し合う場で過去の事実を示すことは、場面が違います。離婚の話し合いでは、なぜ離婚を考えるに至ったかの経緯として浮気の事実を伝える必要が出てきます。言い方で揉めそうなら、事実と日付だけを書面にまとめて伝えるか、調停など第三者のいる場を使うと落ち着いて進めやすくなります。
Q. 再構築をやめたいと伝えた後も、同じ家で暮らし続けてよいですか?
すぐに別居しなければならない決まりはなく、同じ家で暮らしながら話し合いを進める夫婦もいます。ただ、言い争いが増えたり、相手の態度が荒くなったりした場合は、身の安全と生活費の見通しを優先してください。暴力や脅しがあるときは、話し合いの前に安全を確保する相談先を使います。
出典・参考にした公的な情報
- 民法 第90条・第159条・第420条・第724条・第763条・第770条、第753条及び第754条(削除)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁平成31年2月19日第三小法廷判決(平成29年(受)第1456号)判決全文(最高裁判所)
- 夫婦関係調整調停(離婚)(裁判所)(最高裁判所)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。