不倫は犯罪になる?刑罰はなくても民事の責任が問われる仕組みと例外
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日本では、不倫そのものは犯罪ではありません。e-Gov法令検索で現行の刑法を確かめても、配偶者のある人が配偶者以外と関係を持つことを罰する罪は置かれておらず、不倫を理由に逮捕されたり刑罰を受けたりすることはありません。ただし、刑罰がないことと責任がないことは別です。不倫は民事の場面で、慰謝料(精神的な損害の賠償)や、裁判で離婚を求める理由として問題になります。また、重婚や、不倫の周辺で脅す・晒す・押しかけるといった行為は、刑罰のある罪に当たるおそれがあります。
脅された、家に押しかけられたなど、身の危険を感じるときは、先に110番です。緊急ではないが怖いときは警察相談専用電話の#9110に相談できます。窓口の番号と受付時間は浮気・不倫の相談先一覧にまとめています。
不倫は犯罪になる?刑事と民事の違いから答える
「犯罪になるか」と「責任を問われるか」を分けるには、刑事と民事の違いを知っておくと分かりやすくなります。刑事は国が罪を犯した人に刑罰を科す手続き、民事は個人どうしの争いを解決する手続きです。
| 比べる点 | 刑事 | 民事 |
|---|---|---|
| 何を決めるか | 罪を犯したか、どんな刑罰を科すか | 損害を賠償する責任があるか、いくら払うか、離婚を認めるか |
| 誰が進めるか | 警察・検察が捜査し、検察官が起訴する | 当事者(された側など)が請求し、話し合い・調停・裁判で決める |
| 結果 | 拘禁刑・罰金など | 慰謝料の支払い、離婚の成立など |
| 不倫との関係 | 不倫そのものを罰する罪はない | 慰謝料や離婚の理由として問題になりうる |
「不倫はダメなのか」と聞かれれば、犯罪ではなくても、慰謝料や離婚の場面で責任が問われうる行為です。つまり「不倫は犯罪ではないから何の責任もない」という考えは正確ではありません。刑罰の対象ではなくても、民事の責任は残ります。反対に、された側が「犯罪だから警察に訴える」と考えても、不倫そのものでは警察は動けません。どちらの立場でも、まずこの区別を押さえておくことが大切です。
刑罰はなくても問われる民事の責任の仕組み
不倫で問われる民事の責任は、主に「慰謝料」と「離婚」の2つです。民法709条は、故意または過失で他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者に賠償の責任を負わせ、710条は財産以外の損害、つまり精神的な損害も賠償の対象としています。不倫について条文に直接の言葉はありませんが、最高裁昭和54年3月30日判決は、夫婦の一方と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、他方の配偶者の精神的な苦痛を慰謝する義務を負うと判断しました。
| 責任の種類 | 誰が誰に対して | 根拠 |
|---|---|---|
| 不倫相手の責任 | 不倫相手が、された側の配偶者に対して | 民法709条・710条、最高裁昭和54年3月30日判決 |
| 不倫をした配偶者の責任 | 不倫をした配偶者が、された側に対して | 民法709条・710条 |
| 二人の責任の関係 | 配偶者と不倫相手が、共同して | 民法719条(共同の不法行為は各自が連帯して賠償) |
| 離婚 | された側が、裁判で離婚を求める場合 | 民法770条1項1号(配偶者に不貞な行為があったとき) |
配偶者と不倫相手の責任がどう分かれるか、両方に請求できるのかといった点は不倫と法律の関係を、配偶者と不倫相手の責任で整理した記事で扱います。慰謝料の条文と判例の全体は不貞行為の慰謝料の仕組みにまとめています。請求できるか、いくらになるかは、関係を持った時期の夫婦の状態や、既婚と知っていたかなどの事情で変わる個別の判断です。
例外:不倫の周辺で刑事の問題になりうる行為
不倫そのものは罪にならなくても、次の行為には刑罰を定めた法律があります。された側・した側・不倫相手のどの立場の人でも、怒りや焦りからこうした行為に及ぶと、逆に罪に問われるおそれがあります。罪になるかどうかは、目的ややり方などの事情で決まり、最後は捜査機関と裁判所が判断します。
| 行為の例 | 関係する条文 | 定められている刑 |
|---|---|---|
| 離婚しないまま別の人と婚姻する(重婚) | 刑法184条 | 2年以下の拘禁刑(相手方となって婚姻した者も同じ) |
| 「会社や家族にばらす」と告げて脅す | 刑法222条(脅迫) | 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 脅してお金を払わせる | 刑法249条(恐喝) | 10年以下の拘禁刑 |
| 職場やSNSで不倫の事実を広める | 刑法230条(名誉毀損) | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(事実の有無にかかわらない) |
| 不倫相手の家に勝手に入る・帰ってと言われても居座る | 刑法130条(住居侵入・不退去) | 3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金 |
| 配偶者のLINEやSNSに、そのID・パスワードで無断ログインする | 不正アクセス禁止法3条・11条 | 3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 |
| 性的な画像を、相手を特定できる形でネットに出す | 私事性的画像記録提供等被害防止法3条 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 |
| 性行為の場面を隠しカメラでひそかに撮る | 性的姿態撮影等処罰法2条 | 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金 |
- 不倫そのもの:刑罰なし(民事の責任=慰謝料・離婚の問題になりうる)
- 重婚:刑法184条の罪(民法732条で、配偶者のある者は重ねて婚姻できない)
- 周辺の行為:脅す・脅してお金を取る・晒す・押しかける・無断ログイン・画像の拡散・隠し撮り → それぞれ刑罰を定めた法律がある
重婚について補足すると、民法732条は「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」と定めています。不倫相手と結婚したいときは、まず今の婚姻を解消する必要があり、その流れは浮気相手と結婚・再婚を考えるときに確かめることで説明しています。
刑罰は2025年6月1日から「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」にまとめられています。古い記事で「懲役〇年」と書かれていても、いまの条文の表記は拘禁刑です。晒す・押しかける前に知っておきたい線は浮気相手を晒す・家に乗り込む前に知っておきたい線、証拠集めで禁じる法律がある行為は浮気の証拠集めで違法になりうることの線引きにまとめています。
刑罰とは別に、仕事や暮らしで起きうること
刑罰がないからといって、不倫が暮らしに影響しないわけではありません。民事の責任のほかにも、次のようなことが起きえます。
- 職場での処分。 職場の規則に照らして懲戒が検討されることがあり、どう扱われるかは会社の就業規則や事情によります。確かめ方は不倫が会社にバレたときの懲戒の考え方で説明しています。
- 家庭の変化。 別居や離婚、子どもとの関係、生活費の分担など、法律の手続きにつながる問題が出てきます。
- 人間関係の変化。 家族や友人に知られることで、相談できる相手が減ることがあります。
不倫をしてしまった側で、このまま終わらせたい人は不倫をやめたいのにやめられないときの終わらせる手順、すでに発覚した人は不倫がバレたときにすることが次の一歩になります。
不倫をめぐって脅されたとき・脅してしまいそうなとき
不倫の問題では、怒りや恐れから、刑事の問題に近い出来事が起きやすくなります。不倫相手やその配偶者から「職場にばらす」「お金を払え」と迫られている、家に押しかけられた、という場合は、不倫をしていたかどうかにかかわらず、警察に相談できます。身の危険が迫っているときは迷わず110番です。緊急でないときの相談先と、最初にすることは不倫で脅迫されたときの110番と#9110の使い分けにまとめています。
反対に、された側として「相手を社会的に罰したい」と考えてしまうこともあると思います。その気持ちは自然なものですが、晒す・脅すといった方法を選ぶと、自分が罪に問われる側に回るおそれがあります。怒りを法的な手続きに置きかえる考え方は浮気の復讐を考えたときにやってはいけない仕返しと法律で認められる手段で、窓口の一覧は浮気・不倫の相談先一覧で確かめられます。
刑罰の有無とは別に、どの行動から問題になるかを知りたいときは、不倫はどこから?既婚者との食事・デート・肉体関係で変わる3つの線へ進んでください。ネットで見かける言葉の意味を確かめたいときは、サレ妻・シタ夫・再構築とは?浮気の悩みで使われる言葉の意味一覧へ進んでください。
よくある質問
Q. 不倫で慰謝料の支払いを命じられたら、刑罰を受けたことになりますか?
なりません。慰謝料を求める裁判は民事の手続きで、刑罰を科すための手続きではないからです。民事の裁判で支払いを命じられても、それは損害の賠償で、拘禁刑や罰金とは別のものです。ただし支払いを命じられたのに払わないと、財産の差押えなどの強制執行を受けることがあります。
Q. 警察に相談すれば、不倫をやめさせてもらえますか?
不倫そのものは犯罪ではないので、警察に逮捕や取り締まりをしてもらうことはできません。一方で、不倫をめぐって脅された、つきまとわれている、性的な画像をばらまくと言われた、といった場合は警察に相談できます。危険を感じているときは、証拠より先に安全を確保してください。
Q. 不倫相手に慰謝料を請求すること自体が、脅迫や恐喝になりませんか?
慰謝料を請求すること自体は、法律で認められうる権利の行使です。ただし「払わなければ会社にばらす」のように、名誉などに害を加えると告げて迫ると、言い方によっては脅迫や恐喝の問題になりえます。請求の仕方に迷ったら、送る前に弁護士に相談するのが安全です。
出典・参考にした公的な情報
- 刑法 第130条・第184条・第222条・第230条・第249条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 民法 第709条・第710条・第719条・第732条・第770条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 最高裁判所 昭和54年3月30日 第二小法廷判決(昭和51年(オ)第328号)(裁判所)
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第3条・第11条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
出典の確認日:2026-10-24。制度や受付条件は変わることがあります。手続きの前に、各窓口の最新の案内を確認してください。
この記事は一般的な情報で、個別の法律判断・医療的な診断をするものではありません。